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第四章 南大陸
拾われ子と惨禍 十二 ―奇跡―
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堕龍出現の報告は、すぐに闘技場にいる各ギルドの支部長の元に届いた。
突如発生した膨大な魔力と、町中に響き渡った咆哮。心の根底から恐怖を煽る存在は限られている。
各支部長は報告を聞くまでもなく勘づいていたが、事実と認めざるを得なくなった。
闘技場にいたハンターや冒険者、魔導師達の中にも勘づいている者がいる。不安や疑念が周囲に広がっていく中で、追い討ちを掛けるようにそれは伝令のハンターから知らされた。
「支部長!?」
「フリーデ支部長、落ち着いてください!」
ハンターイザベラが、堕龍に敗北した。
凶報を聞いた瞬間、フリーデはハンターの襟首を掴んだ。詳細を訊ねるよりも早く、身体が動いていた。
己がしている事に気付いたフリーデは謝罪して手を話したが、動揺が治まっていないのが見て取れた。
「すまない。詳細は解るか? ……生死は……」
「……アレックスの腕の中にいるイザベラは……」
南大陸最強のハンターの変わり果てた姿を、心苦しさを感じながら伝令のハンターはフリーデに伝える。
「…………!!」
イザベラは、全身に酷い火傷を負い、腕が炭化して両肘から下を失くした。
フリーデにとって、イザベラは旧来の友人だ。重すぎるその報告は、常時冷静なフリーデの表情を歪ませた。
「普通のハンターなら諦めるしかないけど、あのイザベラだ……! まだ生きてるって俺は信じ……信じ……たい……」
それは、別の言い方をすれば現実を受け容れたくないと言っているのと同じだ。
「……ハンターイザベラが……」
「終わりだ……。この町は終わった……!」
「ま、まだ死んだって決まった訳じゃ……!」
「仮に生きていたとして! そんな身体でどうやって戦うんだよ……!? ドラゴンどころか、リザード種すら倒せねぇだろうが!」
「…………っ」
フリーデと共に凶報を聞いていた職員やハンター達の顔が絶望に染まる。同じ報告が冒険者や魔導師、医療ギルドにも入った様で、そちらからも騒めきが広がり始めていた。啜り泣く声も聞こえてくる。
「…………っ」
大襲撃から始まり、堕龍の出現、そしてイザベラの凶報。
天災に次ぐ天災、それに打ち勝つ希望も消えた。
それでも。
「(……諦めるな……!)」
ハンターズギルドの支部長としても、Aランクハンターだった者としても、フリーデはリーディンシャウフに生きる人々を守る事を諦める事は出来ない。
「(こんな時だって、きっとあの人は諦めずに向かっていく。そうだろう? イザベラ)」
まだ若い時分、フリーデとイザベラの二人がハンターを目指すきっかけとなった、一人のハンター。
大柄な体格だったが、その存在感は体格以上に大きかった。
強く、揺るがない芯があり、強大な敵にさえ一切怯まずに立ち向かい、巨大な斧槍を振り下ろして戦っていた。
イザベラが己の得物に斧を選んだのも、そのハンターの影響だ。
数々の伝説を打ち立てた、偉大なる先達。
共に同じ人に憧れ、ハンターになり、走り続けた。途中、フリーデは引退して支部長となったが、それでも二人は同じ意志を持って生きている。
それを知っているから、フリーデは確信している。
イザベラも、まだ諦めていない筈だと。
「……アレックス達は? 堕龍についても、詳細が解るなら聞かせてくれ」
「アレックス達はもうじき此処に着く筈だ。堕龍が何処から来たのかは解らない。まるで、突然現れたかの様だった。咆哮が聞こえた時にはそこに、アレックス達が走って行った方向にいたんだ。だから、あいつらはもしかしたら堕龍が来る事に気付いていたのかもしれない」
「……そうか。他には? 何でも良い、変わった事、気になった事、些末な事でも良いから教えてくれ」
「……気になったと言えば、町の中に入ってきたモンスターだが……」
「そう言えば、モンスターも突然湧いた様に感じた時があったな。まるでダンジョンの様だと思ったが」
「…………!」
ハッとしたハンターは、フリーデを凝視する。
「……きっとそうだ。それなら納得出来る。だって、南大陸にいる筈のないモンスターまでいたんだ……」
「そんな訳は……いや、堕龍も何処から来たのか解らないのだから、最早常識は捨てるべきだね。アレックス達からも話を聞かないと」
ハンターの反応にフリーデが独り言の様に呟いた直後、闘技場の入口が騒めいた。
何事かと眼を向ければ、赤い髪と白い髪が見えた。スイのマントに包まれた何かを抱えて、アレックスは真っ直ぐに医療ギルドの方へ向かう。
それを見て、フリーデも医療ギルドへと早足で向かった。
「医療ギルド支部長か、上位治癒士に至急――」
「此方だ、アレックス」
アレックスは呼ばれた方へと顔を向ける。そこにはギルバートともう一人、男が立っていた。
「エドゥアルドさん」
医療ギルド、リーディンシャウフ支部長のエドゥアルド。南大陸の人間にしては細身の体格であり、黄身が強いくすんだ赤髪には白髪が混じっている。
「お前達は仕切の向こう側へ回れ。職員、誰も入れない様に」
「待て、私も入る」
到着したフリーデにエドゥアルドは頷くと、共に仕切の向こうへ消えた。
「……生きているんだな?」
エドゥアルドは、眼鏡の奥にある、髪と同系統の色の眼をアレックスの腕の中に向ける。
「生きてる。辛うじて、だけど」
充血した目でアレックスはエドゥアルドとギルバートを見上げた。
「まだ此処に在る。だから、母さんを治して」
そう頼んだアレックスは、ベッドにイザベラを寝かせる。マントを外されたイザベラの現状に、三人は目を見開いた。
ギルバートは何も言わずに魔力を流して診察を始める。
「……これで生きているのは奇跡だ」
そう言ったギルバートは、声も表情も淡々としていた。伴侶としてではなく、あくまで一介の治癒士として冷静にイザベラを診ている。
それが余計に痛ましくて、スイは自分の心が潰される様な感覚を覚えた。
「母さんだもん」
「そうだな」
イザベラは幾つものAランクモンスターを討伐してきた。
複数回ドラゴンを討った事もある。Aランクハンターイザベラは、何度も奇跡を起こして生きてきた。
今回だって奇跡を起こしている。
これ以上の奇跡だって起こせる。
アレックスはそう思っている。
「エドゥアルド。俺もアレックスも諦めていない。支部長のお前はどうだ?」
「……諦めたら、その時点で未来は決まる。諦めなければ未来は変わる可能性がある」
「であれば、お前の力も貸してくれ。俺はその可能性に縋り付いて、未来を変えたい」
「アタシからもお願い。エドゥアルドさん」
「言われなくとも」
袖を捲ったエドゥアルドが、イザベラを挟んでギルバートの反対側に立つ。二人の身体から放たれた光の治癒の魔力が、イザベラを包んだ。
「「ハイキュア」」
対象範囲は一人だけと極めて狭いが、その分治癒効果は高い。欠損部位の再生は出来ないが殆どの傷は治せる、筈だった。
「! 火傷すら治せんだと……!?」
「魔力が抜けていく……!?」
イザベラに吸い込まれた魔力が、先のない両腕から放出されていく。
負けじとエドゥアルドとギルバート、上位治癒士の二人が更に魔力を込めて治癒魔法をかけるが、放出される勢いと量が増しただけだった。
「はぁっ、はぁ……くそっ、どういう事だ!?」
「このままでは埒が明かん……原因は何だ?」
『……!』
光を放っていたイザベラの身体に、炎の様に揺らめく何かが見えた。それは次第に、光の魔力を飲み込んで大きく燃え上がる。
「何だこれは……!?」
「紫の炎……この魔力、呪いの類か?」
『「!」』
スイとアレックスはその炎の正体を同時に理解した。
『「ノズチの炎……!」』
ノズチは闇魔法の使い手だ。堕龍となり、強い魔力と怨みを抱いたノズチならば、他人を呪えてもおかしくない。
スイとアレックスから話を聞いたエドゥアルドは、顔を険しくした。
「……闇魔法と負の感情は相性が良い。その紫炎が、光の魔力を喰い人の身体を死に至らしめる呪いの可能性は充分にある」
「イザベラは高い火耐性を持っている。にも拘らず、これ程の重傷を負ったのはそのせいかもしれん」
本来なら、炎に包まれても火傷もしなければ腕が炭となる事もない筈なのだ。
耐性を無効化し、身体を焼いて尚その身に残り、治癒の阻害をする滅殺の炎。
解呪しなければ、イザベラは死ぬだろう。
「教会に……!」
「無理だ。こんな状態の町の中を司祭に来てもらうのも、瀕死のイザベラを教会まで運ぶのも危険過ぎる。そもそも、治癒を阻害するような強力過ぎる呪いを、司祭が解呪出来るかどうか……」
「じゃあどうすれば良いの!? エドゥアルドさんだって言ってたじゃん! 諦めたらその時点で未来は決まるって!」
食ってかかってきたアレックスに、エドゥアルドは抵抗しない。その眼は諦めてはいないが、閉じられた唇が何も方法が無い事を言外に告げている。
『(呪い……)』
スイはそっとショートソードに触れる。二度に渡って自分を呪いから護ってくれた、龍の力。
自分以外も護ってくれるのか。
既に掛けられた呪いを解く事は出来るのか。
そして、この呪いに剣は耐えられるのか。
不安と疑念はある。
『(それでも、可能性があるなら)』
スイは不安を抱えたまま、ショートソードを鞘から抜いた。
ギルバートとアレックスが、信じられない物を見るような眼をスイに向ける。
「スイ、何をしようとしている」
努めて冷静に、しかし返答次第ではスイに掴みかかろうとしているギルバートに、ソウジロウがスイの前に出た。
「スイ……?」
余程衝撃的だったのか、アレックスは声を震わせてスイを呼ぶ。
スイは一度深く呼吸すると、ポンメルをイザベラに向けた。
『イザベラさんを傷付けるつもりはありません。ただ、可能性に賭けたいんです』
「……あっ!? 待ってスイ、そんな事したら……」
ドワーフの町での出来事を思い出したアレックスが止めるが、その声には躊躇いがある。助けられる可能性があるなら、アレックスも縋りたいのだ。
『龍の力には、龍の力を。効果は無いかもしれませんし、あっても押し負けるかもしれません。でも、何とかなるかもしれないなら』
「スイ……」
ギルバートの腕に添えたアレックスの手に、力が込められる。
「ごめん、スイ……! でも、でも……! アタシもその可能性に賭けたい……!」
アレックスの願いに頷いたスイは、剣に語りかけた。
『助けたいんだ。お願い』
冷たい魔力が広がる。薄ら青い剣身がぼんやり光った。
それに対抗する様に、イザベラを蝕む紫炎が大きく揺らめく。肌をちりちりと灼き、心を圧迫する様な悍ましい感覚がスイを襲う。
『……っ。力を、貸して……!』
――クオーーン――
龍の鳴き声が、スイの頭の中で木霊する。
『……!』
ひんやりとした霊力。擦り付けてくる鼻先。美しい青い鱗。響き渡る澄んだ声。優しく深い眼差し。
蘇る記憶、その龍の名は。
『――セイ』
剣身から迸った水の霊力が、燃え上がった紫炎を打ち消して霧散した。
ポンメルにひびが入り、瞬く間に広がる。そして、破裂音と共に粉々に砕け散った。
『…………あ』
ぎゅっと閉じた瞼の裏に、幼き日に見た蒼龍の姿が浮かぶ。
『(ありがとう、セイ……!)』
――クオーーン――
応える様に、スイにだけ龍の鳴き声が聴こえた。
消えてはいないが、また弱くなった龍の力を感じながら、スイはショートソードを鞘に納める。
「炎が、消えた……」
「今なら治せるかもしれん。ギルバート」
「おう!」
エドゥアルドとギルバートは再びイザベラにハイキュアをかける。しかし、肌は爛れたままで、焦げた脚も変化は無い。
「何故だ!? ハイキュアでは、治癒魔法では治せないのか!?」
堪えきれずにギルバートが声を荒らげた。ギルバートの腕にしがみつくアレックスも俯いている。
僅かに見えた希望が、また闇の中に消える。
セイが力を貸してくれたのに、それは意味を成さなかったのか。
『呪いの炎は消えたのに……呪い?』
頭の隅で何かが記憶に引っ掛かった。
ボルカウィッチで呪いと戦う前にあった事。
そこで得た物は。
『――!』
スイは弾かれた様にアイテムポーチの中に手を入れた。
万能薬と共にエルフから渡され、異常個体コカトリス戦では使われなかったそれは、そのままポーチの中に眠っている。
小瓶に入った、叡智の結晶。
ヒトにとっては奇跡の域にあるその薬。
『これなら、きっと……!』
「! そうだ、完全回復薬!」
「完全回復薬!? 馬鹿な、そんな物が……!」
「ある! エルフからスイが貰ったんだ!」
スイと顔を見合わせると、アレックスが慎重にイザベラの頭を傾ける。半開きとなった口に、スイはそっと小瓶を触れさせ、完全回復薬を流し込んだ。イザベラの喉が動き、ゆっくりと嚥下していく。
「お願い、お願いだ……!」
『どうか、イザベラさんを……!』
皆が固唾を呑んで祈る。小瓶の中身が空になってからどれくらいそうしていたか、一欠片の炭が床に落ちた。
『!?』
「え……」
駄目なのか。
完全回復薬ですら、イザベラを治せないのか。
チラついては消える希望に、ぎりぎりと拗られる心が悲鳴をあげそうになった時。
『え?』
「え、え……!?」
一欠片、また一欠片と炭が剥落していく。炭の下からハリのある肌が見え、アレックスが目を潤ませた瞬間、本当の奇跡は起こった。
『……腕が……!』
崩れ落ちた肘下。凸凹の傷口から、ゆっくりとだが腕が生えていく。
その様子に、ハッとしたギルバートは直ぐに光の魔力をイザベラに降らせた。
「エドゥアルド、もう一度だ!」
「! 解った!」
二人で今日三度目のハイキュアを発動する。消費魔力の多い上級治癒魔法の連発は、いかに上位治癒士と言えども掛かる負担が大きい。
汗がこめかみを流れ、顎先から滴り落ちる。身体が倦怠感に襲われる。それでも二人は、灯された希望が消えない様に魔力を込める。
「何と……!」
イザベラの両肘の先に光が集まり、腕の形を成す光景にソウジロウが驚愕の声をもらす。
焦げた脚や、酷く爛れた皮膚も光が覆い、一際大きく輝いた。あまりの眩しさに、皆目を瞑る。
「……!」
瞼を開けたアレックスは、恐る恐る手を伸ばす。そして、先程まで失われていたイザベラの手に触れた。
「………………っ!!」
確かな感触に、涙が溢れる。
焦げていた脚も、火傷で酷く爛れていた皮膚も、爪で裂かれた傷も痕跡は無い。綺麗な肌だ。
「か、母さん……!!」
手はまだ冷たい。涙が頬に落ちてもイザベラは眠ったままだ。だが、その胸は穏やかに上下している。徐々に手も温度を取り戻すだろう。
欠損した部位すら再生させる完全回復薬は、治癒魔法の魔力を受けた事で効力を増幅し、肘から下をあっという間に治した。
『よ、良かった……良かった……!』
スイが止まらない涙を両手で拭う。
汗も涙も拭わずに、ギルバートがイザベラのもう片方の手を握る。
エドゥアルドとフリーデは笑みを浮かべて安堵の息を吐いた。潤んだ目を瞑り、フリーデが静かに呟く。
「奇跡だな……。本当、そうとしか言いようが無い」
イザベラの傷は癒え、生命を繋ぎ止めた。次第に目を覚ますだろう。
その知らせは瞬く間に闘技場内に広がり、戦士達の絶望を希望へと変えた。
突如発生した膨大な魔力と、町中に響き渡った咆哮。心の根底から恐怖を煽る存在は限られている。
各支部長は報告を聞くまでもなく勘づいていたが、事実と認めざるを得なくなった。
闘技場にいたハンターや冒険者、魔導師達の中にも勘づいている者がいる。不安や疑念が周囲に広がっていく中で、追い討ちを掛けるようにそれは伝令のハンターから知らされた。
「支部長!?」
「フリーデ支部長、落ち着いてください!」
ハンターイザベラが、堕龍に敗北した。
凶報を聞いた瞬間、フリーデはハンターの襟首を掴んだ。詳細を訊ねるよりも早く、身体が動いていた。
己がしている事に気付いたフリーデは謝罪して手を話したが、動揺が治まっていないのが見て取れた。
「すまない。詳細は解るか? ……生死は……」
「……アレックスの腕の中にいるイザベラは……」
南大陸最強のハンターの変わり果てた姿を、心苦しさを感じながら伝令のハンターはフリーデに伝える。
「…………!!」
イザベラは、全身に酷い火傷を負い、腕が炭化して両肘から下を失くした。
フリーデにとって、イザベラは旧来の友人だ。重すぎるその報告は、常時冷静なフリーデの表情を歪ませた。
「普通のハンターなら諦めるしかないけど、あのイザベラだ……! まだ生きてるって俺は信じ……信じ……たい……」
それは、別の言い方をすれば現実を受け容れたくないと言っているのと同じだ。
「……ハンターイザベラが……」
「終わりだ……。この町は終わった……!」
「ま、まだ死んだって決まった訳じゃ……!」
「仮に生きていたとして! そんな身体でどうやって戦うんだよ……!? ドラゴンどころか、リザード種すら倒せねぇだろうが!」
「…………っ」
フリーデと共に凶報を聞いていた職員やハンター達の顔が絶望に染まる。同じ報告が冒険者や魔導師、医療ギルドにも入った様で、そちらからも騒めきが広がり始めていた。啜り泣く声も聞こえてくる。
「…………っ」
大襲撃から始まり、堕龍の出現、そしてイザベラの凶報。
天災に次ぐ天災、それに打ち勝つ希望も消えた。
それでも。
「(……諦めるな……!)」
ハンターズギルドの支部長としても、Aランクハンターだった者としても、フリーデはリーディンシャウフに生きる人々を守る事を諦める事は出来ない。
「(こんな時だって、きっとあの人は諦めずに向かっていく。そうだろう? イザベラ)」
まだ若い時分、フリーデとイザベラの二人がハンターを目指すきっかけとなった、一人のハンター。
大柄な体格だったが、その存在感は体格以上に大きかった。
強く、揺るがない芯があり、強大な敵にさえ一切怯まずに立ち向かい、巨大な斧槍を振り下ろして戦っていた。
イザベラが己の得物に斧を選んだのも、そのハンターの影響だ。
数々の伝説を打ち立てた、偉大なる先達。
共に同じ人に憧れ、ハンターになり、走り続けた。途中、フリーデは引退して支部長となったが、それでも二人は同じ意志を持って生きている。
それを知っているから、フリーデは確信している。
イザベラも、まだ諦めていない筈だと。
「……アレックス達は? 堕龍についても、詳細が解るなら聞かせてくれ」
「アレックス達はもうじき此処に着く筈だ。堕龍が何処から来たのかは解らない。まるで、突然現れたかの様だった。咆哮が聞こえた時にはそこに、アレックス達が走って行った方向にいたんだ。だから、あいつらはもしかしたら堕龍が来る事に気付いていたのかもしれない」
「……そうか。他には? 何でも良い、変わった事、気になった事、些末な事でも良いから教えてくれ」
「……気になったと言えば、町の中に入ってきたモンスターだが……」
「そう言えば、モンスターも突然湧いた様に感じた時があったな。まるでダンジョンの様だと思ったが」
「…………!」
ハッとしたハンターは、フリーデを凝視する。
「……きっとそうだ。それなら納得出来る。だって、南大陸にいる筈のないモンスターまでいたんだ……」
「そんな訳は……いや、堕龍も何処から来たのか解らないのだから、最早常識は捨てるべきだね。アレックス達からも話を聞かないと」
ハンターの反応にフリーデが独り言の様に呟いた直後、闘技場の入口が騒めいた。
何事かと眼を向ければ、赤い髪と白い髪が見えた。スイのマントに包まれた何かを抱えて、アレックスは真っ直ぐに医療ギルドの方へ向かう。
それを見て、フリーデも医療ギルドへと早足で向かった。
「医療ギルド支部長か、上位治癒士に至急――」
「此方だ、アレックス」
アレックスは呼ばれた方へと顔を向ける。そこにはギルバートともう一人、男が立っていた。
「エドゥアルドさん」
医療ギルド、リーディンシャウフ支部長のエドゥアルド。南大陸の人間にしては細身の体格であり、黄身が強いくすんだ赤髪には白髪が混じっている。
「お前達は仕切の向こう側へ回れ。職員、誰も入れない様に」
「待て、私も入る」
到着したフリーデにエドゥアルドは頷くと、共に仕切の向こうへ消えた。
「……生きているんだな?」
エドゥアルドは、眼鏡の奥にある、髪と同系統の色の眼をアレックスの腕の中に向ける。
「生きてる。辛うじて、だけど」
充血した目でアレックスはエドゥアルドとギルバートを見上げた。
「まだ此処に在る。だから、母さんを治して」
そう頼んだアレックスは、ベッドにイザベラを寝かせる。マントを外されたイザベラの現状に、三人は目を見開いた。
ギルバートは何も言わずに魔力を流して診察を始める。
「……これで生きているのは奇跡だ」
そう言ったギルバートは、声も表情も淡々としていた。伴侶としてではなく、あくまで一介の治癒士として冷静にイザベラを診ている。
それが余計に痛ましくて、スイは自分の心が潰される様な感覚を覚えた。
「母さんだもん」
「そうだな」
イザベラは幾つものAランクモンスターを討伐してきた。
複数回ドラゴンを討った事もある。Aランクハンターイザベラは、何度も奇跡を起こして生きてきた。
今回だって奇跡を起こしている。
これ以上の奇跡だって起こせる。
アレックスはそう思っている。
「エドゥアルド。俺もアレックスも諦めていない。支部長のお前はどうだ?」
「……諦めたら、その時点で未来は決まる。諦めなければ未来は変わる可能性がある」
「であれば、お前の力も貸してくれ。俺はその可能性に縋り付いて、未来を変えたい」
「アタシからもお願い。エドゥアルドさん」
「言われなくとも」
袖を捲ったエドゥアルドが、イザベラを挟んでギルバートの反対側に立つ。二人の身体から放たれた光の治癒の魔力が、イザベラを包んだ。
「「ハイキュア」」
対象範囲は一人だけと極めて狭いが、その分治癒効果は高い。欠損部位の再生は出来ないが殆どの傷は治せる、筈だった。
「! 火傷すら治せんだと……!?」
「魔力が抜けていく……!?」
イザベラに吸い込まれた魔力が、先のない両腕から放出されていく。
負けじとエドゥアルドとギルバート、上位治癒士の二人が更に魔力を込めて治癒魔法をかけるが、放出される勢いと量が増しただけだった。
「はぁっ、はぁ……くそっ、どういう事だ!?」
「このままでは埒が明かん……原因は何だ?」
『……!』
光を放っていたイザベラの身体に、炎の様に揺らめく何かが見えた。それは次第に、光の魔力を飲み込んで大きく燃え上がる。
「何だこれは……!?」
「紫の炎……この魔力、呪いの類か?」
『「!」』
スイとアレックスはその炎の正体を同時に理解した。
『「ノズチの炎……!」』
ノズチは闇魔法の使い手だ。堕龍となり、強い魔力と怨みを抱いたノズチならば、他人を呪えてもおかしくない。
スイとアレックスから話を聞いたエドゥアルドは、顔を険しくした。
「……闇魔法と負の感情は相性が良い。その紫炎が、光の魔力を喰い人の身体を死に至らしめる呪いの可能性は充分にある」
「イザベラは高い火耐性を持っている。にも拘らず、これ程の重傷を負ったのはそのせいかもしれん」
本来なら、炎に包まれても火傷もしなければ腕が炭となる事もない筈なのだ。
耐性を無効化し、身体を焼いて尚その身に残り、治癒の阻害をする滅殺の炎。
解呪しなければ、イザベラは死ぬだろう。
「教会に……!」
「無理だ。こんな状態の町の中を司祭に来てもらうのも、瀕死のイザベラを教会まで運ぶのも危険過ぎる。そもそも、治癒を阻害するような強力過ぎる呪いを、司祭が解呪出来るかどうか……」
「じゃあどうすれば良いの!? エドゥアルドさんだって言ってたじゃん! 諦めたらその時点で未来は決まるって!」
食ってかかってきたアレックスに、エドゥアルドは抵抗しない。その眼は諦めてはいないが、閉じられた唇が何も方法が無い事を言外に告げている。
『(呪い……)』
スイはそっとショートソードに触れる。二度に渡って自分を呪いから護ってくれた、龍の力。
自分以外も護ってくれるのか。
既に掛けられた呪いを解く事は出来るのか。
そして、この呪いに剣は耐えられるのか。
不安と疑念はある。
『(それでも、可能性があるなら)』
スイは不安を抱えたまま、ショートソードを鞘から抜いた。
ギルバートとアレックスが、信じられない物を見るような眼をスイに向ける。
「スイ、何をしようとしている」
努めて冷静に、しかし返答次第ではスイに掴みかかろうとしているギルバートに、ソウジロウがスイの前に出た。
「スイ……?」
余程衝撃的だったのか、アレックスは声を震わせてスイを呼ぶ。
スイは一度深く呼吸すると、ポンメルをイザベラに向けた。
『イザベラさんを傷付けるつもりはありません。ただ、可能性に賭けたいんです』
「……あっ!? 待ってスイ、そんな事したら……」
ドワーフの町での出来事を思い出したアレックスが止めるが、その声には躊躇いがある。助けられる可能性があるなら、アレックスも縋りたいのだ。
『龍の力には、龍の力を。効果は無いかもしれませんし、あっても押し負けるかもしれません。でも、何とかなるかもしれないなら』
「スイ……」
ギルバートの腕に添えたアレックスの手に、力が込められる。
「ごめん、スイ……! でも、でも……! アタシもその可能性に賭けたい……!」
アレックスの願いに頷いたスイは、剣に語りかけた。
『助けたいんだ。お願い』
冷たい魔力が広がる。薄ら青い剣身がぼんやり光った。
それに対抗する様に、イザベラを蝕む紫炎が大きく揺らめく。肌をちりちりと灼き、心を圧迫する様な悍ましい感覚がスイを襲う。
『……っ。力を、貸して……!』
――クオーーン――
龍の鳴き声が、スイの頭の中で木霊する。
『……!』
ひんやりとした霊力。擦り付けてくる鼻先。美しい青い鱗。響き渡る澄んだ声。優しく深い眼差し。
蘇る記憶、その龍の名は。
『――セイ』
剣身から迸った水の霊力が、燃え上がった紫炎を打ち消して霧散した。
ポンメルにひびが入り、瞬く間に広がる。そして、破裂音と共に粉々に砕け散った。
『…………あ』
ぎゅっと閉じた瞼の裏に、幼き日に見た蒼龍の姿が浮かぶ。
『(ありがとう、セイ……!)』
――クオーーン――
応える様に、スイにだけ龍の鳴き声が聴こえた。
消えてはいないが、また弱くなった龍の力を感じながら、スイはショートソードを鞘に納める。
「炎が、消えた……」
「今なら治せるかもしれん。ギルバート」
「おう!」
エドゥアルドとギルバートは再びイザベラにハイキュアをかける。しかし、肌は爛れたままで、焦げた脚も変化は無い。
「何故だ!? ハイキュアでは、治癒魔法では治せないのか!?」
堪えきれずにギルバートが声を荒らげた。ギルバートの腕にしがみつくアレックスも俯いている。
僅かに見えた希望が、また闇の中に消える。
セイが力を貸してくれたのに、それは意味を成さなかったのか。
『呪いの炎は消えたのに……呪い?』
頭の隅で何かが記憶に引っ掛かった。
ボルカウィッチで呪いと戦う前にあった事。
そこで得た物は。
『――!』
スイは弾かれた様にアイテムポーチの中に手を入れた。
万能薬と共にエルフから渡され、異常個体コカトリス戦では使われなかったそれは、そのままポーチの中に眠っている。
小瓶に入った、叡智の結晶。
ヒトにとっては奇跡の域にあるその薬。
『これなら、きっと……!』
「! そうだ、完全回復薬!」
「完全回復薬!? 馬鹿な、そんな物が……!」
「ある! エルフからスイが貰ったんだ!」
スイと顔を見合わせると、アレックスが慎重にイザベラの頭を傾ける。半開きとなった口に、スイはそっと小瓶を触れさせ、完全回復薬を流し込んだ。イザベラの喉が動き、ゆっくりと嚥下していく。
「お願い、お願いだ……!」
『どうか、イザベラさんを……!』
皆が固唾を呑んで祈る。小瓶の中身が空になってからどれくらいそうしていたか、一欠片の炭が床に落ちた。
『!?』
「え……」
駄目なのか。
完全回復薬ですら、イザベラを治せないのか。
チラついては消える希望に、ぎりぎりと拗られる心が悲鳴をあげそうになった時。
『え?』
「え、え……!?」
一欠片、また一欠片と炭が剥落していく。炭の下からハリのある肌が見え、アレックスが目を潤ませた瞬間、本当の奇跡は起こった。
『……腕が……!』
崩れ落ちた肘下。凸凹の傷口から、ゆっくりとだが腕が生えていく。
その様子に、ハッとしたギルバートは直ぐに光の魔力をイザベラに降らせた。
「エドゥアルド、もう一度だ!」
「! 解った!」
二人で今日三度目のハイキュアを発動する。消費魔力の多い上級治癒魔法の連発は、いかに上位治癒士と言えども掛かる負担が大きい。
汗がこめかみを流れ、顎先から滴り落ちる。身体が倦怠感に襲われる。それでも二人は、灯された希望が消えない様に魔力を込める。
「何と……!」
イザベラの両肘の先に光が集まり、腕の形を成す光景にソウジロウが驚愕の声をもらす。
焦げた脚や、酷く爛れた皮膚も光が覆い、一際大きく輝いた。あまりの眩しさに、皆目を瞑る。
「……!」
瞼を開けたアレックスは、恐る恐る手を伸ばす。そして、先程まで失われていたイザベラの手に触れた。
「………………っ!!」
確かな感触に、涙が溢れる。
焦げていた脚も、火傷で酷く爛れていた皮膚も、爪で裂かれた傷も痕跡は無い。綺麗な肌だ。
「か、母さん……!!」
手はまだ冷たい。涙が頬に落ちてもイザベラは眠ったままだ。だが、その胸は穏やかに上下している。徐々に手も温度を取り戻すだろう。
欠損した部位すら再生させる完全回復薬は、治癒魔法の魔力を受けた事で効力を増幅し、肘から下をあっという間に治した。
『よ、良かった……良かった……!』
スイが止まらない涙を両手で拭う。
汗も涙も拭わずに、ギルバートがイザベラのもう片方の手を握る。
エドゥアルドとフリーデは笑みを浮かべて安堵の息を吐いた。潤んだ目を瞑り、フリーデが静かに呟く。
「奇跡だな……。本当、そうとしか言いようが無い」
イザベラの傷は癒え、生命を繋ぎ止めた。次第に目を覚ますだろう。
その知らせは瞬く間に闘技場内に広がり、戦士達の絶望を希望へと変えた。
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