異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第四章 人狼編

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「3件目の被害者のことは既に報告受けている。それ以外で変わったことはあったか?」


「これといって、特に何もなかったよ。被害者のパーティーメンバーからも、特に有用な証言は得られていないみたいだしね。ですよね、アルフォンスさん?」


「ええ、そうですね。人狼の特定につながる様な新しい情報は特にありません。ただし、アース君は何か気になっていることがあるのですよね? アルベルト殿下からの許可が出たことですし、皆さんに相談されてはいかがでしょう?」


アルフォンスがにこやかにそういうと、アースは表情を引き締めて頷いた。

……この2人は昔から仲がいい。
俺がいるときはアースの護衛役を俺が代わりにできないだろうか? はっ、側近が主に護衛をされるという本末転倒な状況になってもいいなら許されるか・・・・。

俺は邪念を振り払うように拳を強く握りしめた後に、アースの方をみやった。



「気になっている、というほどではないかもしれないけど……人狼の毒に対する執着が異常のように思う。「シェールスティングレー」に引き続き、「ハルテック茸」を用いるなんて、何か理由があるとしか思えない。毒を盛る隙があるなら、外傷を与える隙もあるはずだからね。どうしても、腑に落ちない点が多い。」


「確かに、アースの言うとおりだな。少し付け加えるなら、毒に対する執着も異常だが、人狼の行動としても異常といえるかもしれない。これまでの例を見ても、明らかに通常の人狼とは異なっている。」



ローウェルもアースの意見に賛同しつつ、自分の意見を付けたした。
腕を組みながら、アースの情報をもとに再度、何かを考えている様子だ。文官として、俺達とは別の切り口で思案しているのだろう。


「そもそも、人狼はどうやって毒を盛ったんッスかね? 冒険者って、そういう危機管理に長けているんじゃないッスかね? 満月のうちに対象の居場所を見つけて、気づかれないように毒を盛るッスよね? 人狼とはいってももとは人間ッス。どうやってやるんッスかね?」


「俺みたいに広範囲の感知ができるなら対象を見つけらなくもないとは思うけど……。」



アースがまじめな顔でそういうと、俺たちは思わずアースを二度見した。
アースレベルの感知ができる人間が、この国にどれだけいるだろうか? いや、世界中を見渡しても片手に収まるほどしかないだろう。この国にそんな人材がいるなら、ぜひ王国の魔導士団に推薦したい。



「感知についてはよくわからないが、人に気付かれずに毒を盛る方法ならあるだろ。」



軌道を修正するようにキースがあきれたようにそういうと、全員の視線がキースに集まった。
どうやら、キースには心当たりがあるらしい。



「え? 本当? どんな方法なの、キース!」



前のめりになりながら、キースに詰め寄るアースを制しながら、俺もキースの方を向いた。
キースはいつもの無表情を少し不快気に歪めながら、アースの横を指さした。



「は? 何だよ。」



突然指さされた張本人のローウェルは、嫌そうに顔をしかめながらキースの指を折ろうと手を伸ばした。
それに対して、騎士であるキースは軽く手を払いのけながら、ため息交じりに言葉を続けた。



「だから、影属性だ。お前なら、ある程度の人間には気づかれずに毒を盛ることができるだろ。」



……確かに、隠密性のに優れた影属性を持つものなら、対象に気付かれずに毒を盛ることができるかもしれない。
他のみんなも納得したようで、ローウェルを見ながら頷いた。


「今のところ、容疑者の筆頭といったところッスね。」


「冗談でもそんなこというなよ!」


「で、実際にどうなんだローウェル。できるのか?」



犯人扱いされて今にもキースにつかみかかろうとしているローウェルを片手で制しながら、俺がそう尋ねると、ローウェルは表情をスッと変えて座りなおした。


「可能です。「気」を読む殿下たちには厳しいですけど、感知を発動していないうちの魔導士組は確実にやれますね。中堅の冒険者程度なら、かなりの実力者であるうちの魔導士組より簡単にやれます。」


「じゃあ、お前で確定だな。」


「うるせーよ!」


 
影属性の使い手がここまで断言するなら、確実にやれるのだろう。
人狼が影属性である証拠は何一つないが、手掛かりが殆どなかったこの村の人狼に近づくヒントにはなるはずだ。それに、属性にあたりをつけることができたなら……。


「人狼は影属性持ちということで調べる価値は十分にある。魔力判定の結果は記録されるから、珍しい影属性ということも相まってすぐに該当者を調べられるだろう。それに、魔法を使うということは貴族階級もしくは、元貴族のものに限られる。影属性の該当者の調査は王都に依頼するとして、俺達はこの村の貴族に的をしぼりを調べてみよう。」


「キルの言うとおりだね。冒険者も入れると、貴族階級の人の正確な数はわからないけど、かなり絞られるはずだからね! 可能性の1つを潰すと思って、調べてみよう!」



他のみんなも賛成の様で、全員が頷いた。


「だけど、本当に影属性の魔法を使用しているのだとしたら・・・・それって本当に人狼なのか?」


ローウェルが放ったその言葉は、この場にいる全員が胸に抱いていた問題を提起したものだった。







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