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3・つかの間の幸せ
日常に戻る(1)
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――土曜に上司の披露宴に出席した翌日。
清広と同棲することになったつぐみは、月曜の朝から通常通りに出勤する予定だ。
(清広さんが、いない……)
ベッドの上で目覚めたつぐみは寝ぼけ眼を擦りながら、いつの間にかソファーから寝台へと移動してきた息子の存在を確認したあと、清広の姿を探す。
しかし、何度部屋の中を確認しても彼の姿は見当たらない。
(まさか、もう……。仕事に行ったんじゃ……)
つぐみは気持ちよさそうに眠る広春を起こさないように気をつけながら急いで身支度を整えた。
その後、不安な気持ちでいっぱいになりながら息子を抱き上げてリビングに向かう。
「おはよう」
そこにはこちらの危惧とは裏腹に、朝食の準備を済ませた清広がいた。
彼は優しく口元を緩めながら、彼女を出迎えた。
「おはよう……」
「時間に余裕があったからな。食事の準備は、こちらで簡単に済ませておいた」
お皿の上に並べられたトーストとサラダ、スクランブルエッグを目にしたつぐみは、何度も目を瞬かせながら意外そうに言葉を紡ぐ。
「料理、作れるんだ……」
「切って焼くだけなら、誰にだってできるだろう」
息子にはきちんとしたものを食べさせてやらなければという思いはあるが、自身の食事にはほとんどと言ってもいいほどに無頓着だった。
用意が面倒で食パンやおにぎり1つで済ませて出社するつぐみにとって、清広の謙遜は耳が痛い。
「ん……。ご飯……?」
腕の中で目を覚ました息子とともに渋々対面の席に座ったつぐみは、家族みんなで雑談をしながら朝食を口に運ぶ。
「おいしー!」
トーストは焼きたて。
咀嚼するたびにサクサクと音が鳴り、スクランブルエッグはふわふわとした食感を楽しめる。
サラダはシャキシャキしており、瑞々しい。
広春は父親のおかげで朝から豪華な食事を堪能できたことに感動しているようだ。
満面の笑みでお礼を告げた息子に倣い、つぐみもか細い声でぽつりと呟く。
「用意してくれて、本当にありがとう……」
「喜んでもらえたようで、よかった。俺が家にいる時は、家事は任せてくれ」
(どうして今日は、出勤日なんだろう……)
清広と愛を育む時間がないことを残念に思いながら、つぐみは荷物を持って息子と一緒に玄関先へ立つ。
通勤がてら、広春を勤務先と別の保育士へ預けるためだ。
「パパは、一緒に行かないの?」
「うん。お留守番だよ」
「ええ……。パパも、一緒がいい……」
息子はこのまま父親と別れたら、もう二度と会えないのではないかと危惧しているようだ。
涙目でぐずる広春の様子を見かねて、その場にしゃがみ込んで目線を合わせた彼は子どもとある約束をした。
「帰りは、迎えに行こう」
「ほんと!? 僕、いい子で待ってる!」
清広と指切りげんまんをした広春は、先程まで泣きそうになっていたのが嘘のように満面の笑みを浮かべて「早く行こう」とつぐみを急かした。
清広と同棲することになったつぐみは、月曜の朝から通常通りに出勤する予定だ。
(清広さんが、いない……)
ベッドの上で目覚めたつぐみは寝ぼけ眼を擦りながら、いつの間にかソファーから寝台へと移動してきた息子の存在を確認したあと、清広の姿を探す。
しかし、何度部屋の中を確認しても彼の姿は見当たらない。
(まさか、もう……。仕事に行ったんじゃ……)
つぐみは気持ちよさそうに眠る広春を起こさないように気をつけながら急いで身支度を整えた。
その後、不安な気持ちでいっぱいになりながら息子を抱き上げてリビングに向かう。
「おはよう」
そこにはこちらの危惧とは裏腹に、朝食の準備を済ませた清広がいた。
彼は優しく口元を緩めながら、彼女を出迎えた。
「おはよう……」
「時間に余裕があったからな。食事の準備は、こちらで簡単に済ませておいた」
お皿の上に並べられたトーストとサラダ、スクランブルエッグを目にしたつぐみは、何度も目を瞬かせながら意外そうに言葉を紡ぐ。
「料理、作れるんだ……」
「切って焼くだけなら、誰にだってできるだろう」
息子にはきちんとしたものを食べさせてやらなければという思いはあるが、自身の食事にはほとんどと言ってもいいほどに無頓着だった。
用意が面倒で食パンやおにぎり1つで済ませて出社するつぐみにとって、清広の謙遜は耳が痛い。
「ん……。ご飯……?」
腕の中で目を覚ました息子とともに渋々対面の席に座ったつぐみは、家族みんなで雑談をしながら朝食を口に運ぶ。
「おいしー!」
トーストは焼きたて。
咀嚼するたびにサクサクと音が鳴り、スクランブルエッグはふわふわとした食感を楽しめる。
サラダはシャキシャキしており、瑞々しい。
広春は父親のおかげで朝から豪華な食事を堪能できたことに感動しているようだ。
満面の笑みでお礼を告げた息子に倣い、つぐみもか細い声でぽつりと呟く。
「用意してくれて、本当にありがとう……」
「喜んでもらえたようで、よかった。俺が家にいる時は、家事は任せてくれ」
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涙目でぐずる広春の様子を見かねて、その場にしゃがみ込んで目線を合わせた彼は子どもとある約束をした。
「帰りは、迎えに行こう」
「ほんと!? 僕、いい子で待ってる!」
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