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3・つかの間の幸せ
結婚式とサーベルアーチ (2)
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家族みんなで目黒夫妻が披露宴を上げたホテルにやって来れば、見覚えのある顔がつぐみ達を出迎えてくれる。
「あらあら。主役のお出ましだわ~」
「重役出勤、お疲れ様~」
「ばーば!」
そこにはすでに両親が揃っており、遅れてやってきた3人を茶化す。
広春はつぐみの母親を目にした直後、嬉しそうな声を上げた。
「お母さん……」
「よかったわね、つぐみ! 子どもの頃の夢が叶って! 清広くんと事前に打ち合わせしておいて、本当によかったわ~」
「それって……どう言う……」
2人は息をぴったり合わせて我が子を急かすと、状況の飲み込めていないつぐみを控室に押し込み、ウエディングドレスに着替えるように指示を出す。
「さぁ、ウエディングドレスに着替えて! 清広も! 皆さん、お待ちかねよ!」
「ああ」
「広春は、ばーばと一緒にいようね」
「うん!」
その後、清広の胸元から息子を預かり、姿を消してしまった。
(まったく……。みんな、勝手なんだから……)
つぐみは文句を言いたい気持ちでいっぱいになりながら、控室の中央に鎮座していた純白の花嫁衣装に目を奪われた。
(このドレス……)
このデザインに、見覚えがあると気づいたからだ。
『私、清広さんと結婚する時は、このウエディングドレスが着たい!』
『お母さんのお下がりがいいなんて、変わった子ねぇ……』
しかし、母親のお下がりの割には、自分の身体にぴったりと合う。
(お直しに出したのかな……?)
それを不思議に思いながらヘアメイクを済ませると、海上自衛官の礼服を身に纏った清広と合流した。
「つぐみ」
「清広さん……」
「綺麗だ……。よく、似合っている」
「あ、ありがとうす……」
「このまま誰にも披露することなく、俺だけが独占したいくらいだ……」
清広はなぜつぐみのウエディングドレス姿を参列者達に披露しなければならないのかと、悔しそうに拳を握り締めた。
「フォトウェディングにすれば……」
「駄目だ。貧相な結婚式を挙げたと上司に知られたら、面倒なことにある」
「上司、ですか……?」
「ああ」
つぐみはなぜ職場の上司がプライベートなことにまで首を突っ込んでくるのかと首を傾げていたが、すぐに合点がいく。
(そういえば……目黒夫妻の披露宴も、今どき珍しい大規模な式だった……)
しっかりと事前に準備をしていたと思われる目黒夫妻と、急に結婚を決めた自分達に差が生まれるのは、当然だ。
だからこそ、つぐみはてっきり親族だけの小さな式を挙げるつもりだとばかり思っていたのだが……。
「準備ができたのなら、行こう」
「……はい」
その予想は、大きく裏切られた。
清広に差し出された手を取ってチャペルへと向かったところ、思ったよりも参列者がいると気づいたからだ。
「愛し合うと誓いますか」
「誓います」
つぐみがうまく状況を飲み込めず、ぼんやりとしている間にも式は進んでいく。
(集中しなきゃ……)
彼が嘘偽りのない瞳で神父に誓う姿を目にし、意識を現実に引き戻す。
その後、固い表情でじっと前を見つめた。
「新婦、誓いますか」
「はい。誓います……」
「それでは、誓いの口づけを」
清広は神父に促されるままつぐみの顔を覆い隠すベールを外し、唇同士を重ね合わせる。
(長いなぁ……)
永遠とも思える口づけを終えたあと、ゆっくりと身体を離した。
(やっと、清広さんの妻になれたんだ……)
些細なすれ違いが二人の仲を阻み、ここに至るまで随分と長い時間が経過してしまった。
(本当に、よかった……)
このうえない幸福感に包まれたつぐみが清広とともにチャペルをあとにしようとすれば、通常の結婚式では見られない不思議な光景が繰り広げられた。
「あらあら。主役のお出ましだわ~」
「重役出勤、お疲れ様~」
「ばーば!」
そこにはすでに両親が揃っており、遅れてやってきた3人を茶化す。
広春はつぐみの母親を目にした直後、嬉しそうな声を上げた。
「お母さん……」
「よかったわね、つぐみ! 子どもの頃の夢が叶って! 清広くんと事前に打ち合わせしておいて、本当によかったわ~」
「それって……どう言う……」
2人は息をぴったり合わせて我が子を急かすと、状況の飲み込めていないつぐみを控室に押し込み、ウエディングドレスに着替えるように指示を出す。
「さぁ、ウエディングドレスに着替えて! 清広も! 皆さん、お待ちかねよ!」
「ああ」
「広春は、ばーばと一緒にいようね」
「うん!」
その後、清広の胸元から息子を預かり、姿を消してしまった。
(まったく……。みんな、勝手なんだから……)
つぐみは文句を言いたい気持ちでいっぱいになりながら、控室の中央に鎮座していた純白の花嫁衣装に目を奪われた。
(このドレス……)
このデザインに、見覚えがあると気づいたからだ。
『私、清広さんと結婚する時は、このウエディングドレスが着たい!』
『お母さんのお下がりがいいなんて、変わった子ねぇ……』
しかし、母親のお下がりの割には、自分の身体にぴったりと合う。
(お直しに出したのかな……?)
それを不思議に思いながらヘアメイクを済ませると、海上自衛官の礼服を身に纏った清広と合流した。
「つぐみ」
「清広さん……」
「綺麗だ……。よく、似合っている」
「あ、ありがとうす……」
「このまま誰にも披露することなく、俺だけが独占したいくらいだ……」
清広はなぜつぐみのウエディングドレス姿を参列者達に披露しなければならないのかと、悔しそうに拳を握り締めた。
「フォトウェディングにすれば……」
「駄目だ。貧相な結婚式を挙げたと上司に知られたら、面倒なことにある」
「上司、ですか……?」
「ああ」
つぐみはなぜ職場の上司がプライベートなことにまで首を突っ込んでくるのかと首を傾げていたが、すぐに合点がいく。
(そういえば……目黒夫妻の披露宴も、今どき珍しい大規模な式だった……)
しっかりと事前に準備をしていたと思われる目黒夫妻と、急に結婚を決めた自分達に差が生まれるのは、当然だ。
だからこそ、つぐみはてっきり親族だけの小さな式を挙げるつもりだとばかり思っていたのだが……。
「準備ができたのなら、行こう」
「……はい」
その予想は、大きく裏切られた。
清広に差し出された手を取ってチャペルへと向かったところ、思ったよりも参列者がいると気づいたからだ。
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その後、固い表情でじっと前を見つめた。
「新婦、誓いますか」
「はい。誓います……」
「それでは、誓いの口づけを」
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(長いなぁ……)
永遠とも思える口づけを終えたあと、ゆっくりと身体を離した。
(やっと、清広さんの妻になれたんだ……)
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