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18.ルカ
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その日の夜、部屋へと戻った私はベッドへ 突っ伏して、考え込んでいた。
セラさんは両親を元に戻すことを目標に、聖女の力を上げようと頑張っていると言う。ロイからは「口移しの話は聞いていない」と問いただされたが、「ジョンさんからセラさんに、一目惚れは勘違いだと、説明してほしい。」とお願いをした。ロイも、わかってくれたと思う……。
「はぁ……」
深いため息が漏れた。
ストーリーが全然違う……。ゲームの世界というのは私の思い違いなのだろうか?
どうしたら、セラさんとジョンさんが上手くいくだろう……。ラストの敵は本当にルカなのか?
数々の疑問に不安が押し寄せた。
『どうした?……泣いてるのか?』
ルカが心配そうに聞いてきた。言われて、涙が出ていたことに気づく。
「大丈夫、……なんでもない。」
嘘だ。なんでもなくない……私が勝手な行動取ったから変わってしまったのか……
どうしてもマイナス思考になってしまう。
『お前は良くやってる。』
ペロっとルカに頬の涙を舐められた。突然で驚いたが、慰めてくれようとしてくれたのが伝わる。
「ありがとう、ルカ。」
『我に話してみないか?お前は我の契約者だ。絶対にお前を嫌いになったりしない。』
「……。」
前足を私の手の甲に乗せる姿は、なんだか猫のようだ。
ルカに話してもいいのかな……。
…………話してみよう。何か良い方法を一緒に考えてくれるかもしれない。
「ほんとに、嫌いにならないでね?」
『あぁ。ドラゴンに誓って。』
キリッとしたドヤ顔で言われても可愛いだけだ。
「なにそれ?」
フフっと、つい笑ってしまった……。そして全てをルカに話した。私の前世、ゲームのストーリー、これまで私がとった行動……。
『ほぉ。面白いな。普通の魂ではないと思っていたが……。ところで……我が、あいつらに討伐されると?』
ジロッと睨まれた。
「ゲームのストーリーでは!って言ったでしょ。今は……違うかもしれない。」
『力を取り戻したら、あいつらなんぞ屁でもない。
で、さっき悩んでた件だが、……いっそ、セラに嫌いだと言って、突き放したらどうだ?』
「その手があった!私が冷たくしたら、ジョンさんを好きになるかも!」
『ロイとアルにも……』
ルカは言いかけて、言葉を辞めた。
「何?」
『いや、いい。』
「?」
『さぁ、今日は もう寝よう。』
「うん。なんか話したらスッキリしたかも……。ルカ、ありがとう。おやすみ……。」
『おやすみ。』
ルカは猫のように、私のスリっと頭を擦り寄せ、横で丸くなった。
◇◇◇◇
―――ルカリオンside―――
我が名はルカリオン。
ブラック・ドラゴンという脅威の存在。と言うのも三百年前、我はレッド・ドラゴンと力比べをするかの如く、暴れ回っていた。誰もが恐れ、『赤と黒の厄災』とも言われた。
しかし、我らを止める存在などいないと自惚れていた。大魔導士率いる〈勇者〉と名乗る一行が現れ、レッド・ドラゴンは敗れた。
レッド・ドラゴンの死体を見たわけではないが、討伐されたと噂になり、姿を見る者はいなかった。そして、勇者一行は、我を封印したのだ。そう、討伐ではなく封印。倒せないと悟った大魔導士は、自身の身と引き換えに我をダンジョンの奥深くに封印した……。
三百年もの間ずっと一人。あ、この姿だと一匹というべきか……
遠いところに人の気配は感じてはいたが、声は届かなかった……。
そこへ現れたのがルーナだ。我の声が聞こえし、不思議な力を持つ女性。この力は、なんだ?魔力??
彼女を逃すまいと、契約方法を端折りに端折って契約した。
不服そうな顔が なんとも面白くて、からかいたくなった。
なぜ、彼女が宿屋なんかで働いているのか。疑問しかないが、近くにいると魔力が貯まるので我も付き合ってやっている。ルーナといると楽しい。
どうやら、ロイというヤツと、幼馴染だというアルは、ルーナに気があるらしい。本人は気づいていないのか?それとも、気づいていて 気づかないふりをしているのだろうか……。
そして、ルーナは何かを隠している。悩んでいるようだが……何を隠しているのか知りたい。
涙を見て、思わず舐めてしまった……。
怒らないところを見ると、本当に悩んでいるようだ。
ルーナは弱い人間だ。
『ロイとアルにも』話したらどうだ?、という言葉を飲み込んだ。我がルーナの側にいればいい。二人に話す必要はない。
早く〈人〉の姿にも なれるように力を蓄えなければ───。
セラさんは両親を元に戻すことを目標に、聖女の力を上げようと頑張っていると言う。ロイからは「口移しの話は聞いていない」と問いただされたが、「ジョンさんからセラさんに、一目惚れは勘違いだと、説明してほしい。」とお願いをした。ロイも、わかってくれたと思う……。
「はぁ……」
深いため息が漏れた。
ストーリーが全然違う……。ゲームの世界というのは私の思い違いなのだろうか?
どうしたら、セラさんとジョンさんが上手くいくだろう……。ラストの敵は本当にルカなのか?
数々の疑問に不安が押し寄せた。
『どうした?……泣いてるのか?』
ルカが心配そうに聞いてきた。言われて、涙が出ていたことに気づく。
「大丈夫、……なんでもない。」
嘘だ。なんでもなくない……私が勝手な行動取ったから変わってしまったのか……
どうしてもマイナス思考になってしまう。
『お前は良くやってる。』
ペロっとルカに頬の涙を舐められた。突然で驚いたが、慰めてくれようとしてくれたのが伝わる。
「ありがとう、ルカ。」
『我に話してみないか?お前は我の契約者だ。絶対にお前を嫌いになったりしない。』
「……。」
前足を私の手の甲に乗せる姿は、なんだか猫のようだ。
ルカに話してもいいのかな……。
…………話してみよう。何か良い方法を一緒に考えてくれるかもしれない。
「ほんとに、嫌いにならないでね?」
『あぁ。ドラゴンに誓って。』
キリッとしたドヤ顔で言われても可愛いだけだ。
「なにそれ?」
フフっと、つい笑ってしまった……。そして全てをルカに話した。私の前世、ゲームのストーリー、これまで私がとった行動……。
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ジロッと睨まれた。
「ゲームのストーリーでは!って言ったでしょ。今は……違うかもしれない。」
『力を取り戻したら、あいつらなんぞ屁でもない。
で、さっき悩んでた件だが、……いっそ、セラに嫌いだと言って、突き放したらどうだ?』
「その手があった!私が冷たくしたら、ジョンさんを好きになるかも!」
『ロイとアルにも……』
ルカは言いかけて、言葉を辞めた。
「何?」
『いや、いい。』
「?」
『さぁ、今日は もう寝よう。』
「うん。なんか話したらスッキリしたかも……。ルカ、ありがとう。おやすみ……。」
『おやすみ。』
ルカは猫のように、私のスリっと頭を擦り寄せ、横で丸くなった。
◇◇◇◇
―――ルカリオンside―――
我が名はルカリオン。
ブラック・ドラゴンという脅威の存在。と言うのも三百年前、我はレッド・ドラゴンと力比べをするかの如く、暴れ回っていた。誰もが恐れ、『赤と黒の厄災』とも言われた。
しかし、我らを止める存在などいないと自惚れていた。大魔導士率いる〈勇者〉と名乗る一行が現れ、レッド・ドラゴンは敗れた。
レッド・ドラゴンの死体を見たわけではないが、討伐されたと噂になり、姿を見る者はいなかった。そして、勇者一行は、我を封印したのだ。そう、討伐ではなく封印。倒せないと悟った大魔導士は、自身の身と引き換えに我をダンジョンの奥深くに封印した……。
三百年もの間ずっと一人。あ、この姿だと一匹というべきか……
遠いところに人の気配は感じてはいたが、声は届かなかった……。
そこへ現れたのがルーナだ。我の声が聞こえし、不思議な力を持つ女性。この力は、なんだ?魔力??
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不服そうな顔が なんとも面白くて、からかいたくなった。
なぜ、彼女が宿屋なんかで働いているのか。疑問しかないが、近くにいると魔力が貯まるので我も付き合ってやっている。ルーナといると楽しい。
どうやら、ロイというヤツと、幼馴染だというアルは、ルーナに気があるらしい。本人は気づいていないのか?それとも、気づいていて 気づかないふりをしているのだろうか……。
そして、ルーナは何かを隠している。悩んでいるようだが……何を隠しているのか知りたい。
涙を見て、思わず舐めてしまった……。
怒らないところを見ると、本当に悩んでいるようだ。
ルーナは弱い人間だ。
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