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第10話 霊獣園と期限付きの誓い
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【霊獣園と早波川の兄妹】
山霧がゆっくりと流れ、太陽の光はその隙間から細い金色の線となって差し込んでいた。
ここは、霧獣法流の奥深くに隠された霊獣園――。その広大さは山々の尾根と一体化し、人工の柵を超えて、大地全体が巨大な霊域の結界と化しているようだった。
日差しの下で、二つの首を持つ巨大な麒麟獅子が、温められた大岩の上で悠然と眠りこけている。二つの口から吐き出される息は、白い霊煙となって揺らめき、時折、唸りにも似た低い喉鳴りが大地を震わせた。
巨大な尾が床を叩くたび、柔らかな砂利がさざ波のように弾け飛ぶ。その一体の存在感だけで、この園の格の高さが知れた。
少し離れた場所では、長い鼻を自在に操る三匹の火霊小獣が、赤い火玉を弄んでいた。鼻先で火玉をくすぐるように転がし、追いかけっこをするその仕草は、幼子の遊びのように愛らしい。
しかし、その転がる火玉から放たれる霊力の波動は、正雪の皮膚をぴりぴりと痺れさせる。もし彼らが本気で霊力を解放すれば、あの火玉一つで、麓の村を消し飛ばすことも容易だろう。
別の柵では、巨大な土霊巨象が、ゆっくりと身体を木製の柵に擦りつけ、そのたびにギシギシと悲鳴をあげる。その柵は特別な術で強化されているはずだが、巨象の体重はそれをねじ曲げかねない。
さらにその隣――灰色の影が、稲妻のように空間を縫って走り回る。小柄なその霊獣は、地面を蹴ったかと思えば、次の瞬間には空中で姿を攪き消し、まったく別の地点から幻影のように現れる。その動きは風の脈動よりも速く、正雪の目には存在すら曖昧に見えた。
「……すげえ、これは仙界の獣みたいだ」
感嘆の声が、思わず口から漏れ出た。
横を歩く案内役――早波川朔夜は柔らかく笑う。
「初めて見た者は皆そう驚くよ、正雪。ここにいる霊獣たちは、霧獣法流の修行者と共に修練し、生死を共にし、やがては宗門の根幹を支える柱となる。今日から君も、その一匹の魂を預かる主となるのだ。その誇りを胸に刻むがいい」
朔夜の声は穏やかでありながら、重く響く。
その少し後ろでは、小柄な少女――朔夜の妹である朔月が、霊獣園の柵の間をぴょんぴょんと跳ねるように歩き、まるで花園を散策するかのようにはしゃいでいる。
彼女は朔夜とは対照的に、活発で、まだ修行が浅いが、その眼差しには霊獣への深い愛情が宿っていた。
正雪は唾を飲み込む。
この中から、俺が選ぶ。胸の奥がざわつく。期待と畏れ、誇りと不安。全てが混ざり合い、自分の魂が試されているようで、呼吸が浅くなる。
「望みはあるか、正雪」朔夜が尋ねた。
「……飛翔の霊獣を、願います」
正雪が望むのは、この狭い世界から抜け出し、空から全てを見下ろす広大な未来だった。飛翔能力を、彼は第一に求めた。
【双翼霊馬の壁】
「飛べる霊獣か。そうだな、性質が最も温厚で、扱いやすい飛翔霊獣なら、あの馬のようなものだ」
朔夜は一段と大きな柵の前で足を止めた。
「これは、双翼霊馬だ。性格は優しく、飛翔速度は決して速くはないが、その代わり持久力が群を抜いている。半月、食事と休息なしで大空を駆け続けることができるという」
その霊獣は、神話に聞く天馬のように堂々とした翼を背に持っているが、角はなく、体には黒い雲のような霊妙な模様が浮かんでいた。翼が巨大な分、足は短く、いかにも長距離の修行飛行に適したその姿は、優雅そのものだった。
正雪は双翼霊馬の荘厳さに目を奪われたが、朔夜は霊獣園の揺るぎない現実を突きつけた。
「ところで、正雪。君の今の階級は?」
「……壱階です」
正雪は、霧獣法流の最も下位の階級であることを、顔を赤らめながら答えた。
「壱階か。そうか。すまないが、双翼霊馬を乗りこなすには、弐階以上の霊力と、宗門からの許可が必要となる」
正雪の希望は、あっさりと、そして冷酷に打ち砕かれた。
「空に飛ぶというのは、常に墜落し、命を落とす危険を伴う。本来であれば、参階以上で、自力で虚空を翔る術を会得した者でなければ、飛翔霊獣を飼うこと自体、宗門の掟で固く禁じられている。この双翼霊馬は、その遅さゆえに、特別に弐階でも許される例外中の例外なのだ」
「そんな……」
正雪は唇を強く噛み締め、悔しさで深く息を吐いた。壱階という自分の今の無力さ、霊力の足りなさが、目の前の夢を遮る分厚い壁であることを痛感させられた瞬間だった。
【蛇頸灰鳥と三年の誓約】
その時、遊び回っていた早波川朔月が、ぴょこんと朔夜の後ろに戻ってきた。朔月の柔和な琥珀色の瞳は、正雪の悔しさを、静かに、しかししっかりと受け止めている。
「兄様。あの蛇頸灰鳥が、生まれたばかりで、まだ飛べないみたいだよ。飛べるようになるまで三年はかかるから、丁度今の正雪に、良い修練の機会になるんじゃない?」
朔月の声は、単なる提案ではなく、正雪への細やかな配慮が込められた、救いの言葉のように聞こえた。
「そうだね」朔夜は妹の言葉にうなずいた。
「蛇頸灰鳥は、幼年期には飛ぶことができないが、走るのは俊足だ。そして成年を迎えると、風の霊力をその長い頸に宿し、天を裂いて飛翔できるようになる。たしかに、今の君には、ちょうどいい」
そう言いながら、朔夜は正雪を一つの大きな木柵の前に連れて来た。
柵の中にいたのは、丸々とした不格好な体に、不自然なほど長い頚を持った、灰色の奇妙な雛鳥だった。その姿は、霊獣というよりも、ひょろりと首が伸びた、滑稽な鳥にしか見えない。
正雪は、正直なところこの怪しい鳥に満足できなかった。しかし、今の自分に許された飛翔霊獣、霊禽(れいきん)はこれしかない。彼は、自らの境遇と、この鳥の未来を受け入れようと、静かに決意した。
だが、朔夜から、さらなる厳しい言葉が飛んできた。
「この鳥を選んでも良いが、宗門の霊獣飼育には厳格な規約がある。参階(さんかい)にならなければ、飛翔霊獣を完全に己のものとすることはできない。つまり、この鳥が飛翔の霊力を得るまでの三年以内に、君が参階にならなければ、飼い主としての地位は即座に剥奪され、この鳥は他の者に渡される」
正雪の修行に、猶予と期限という名の、残酷な枷(かせ)が設けられたのだ。
「故に、覚悟は良いか、正雪。これは、君と宗門、そしてこの霊獣との三年の誓約だ」
朔夜の眼差しは、周囲の霧よりも冷たく澄んでいたが、正雪の魂の奥底の意志を、試しているようだった。
正雪は深く息を吸い込んだ。胸のざわめきが鎮まり、代わりに、鋼のような熱が灯る。
「……やります。三年で、必ず参階になります」
その目に、もう迷いはなかった。飛翔への渇望が、彼を突き動かしていた。
「よし。では、契りだ。霊魂札に血を落とせ。それで仮の主従関係が結ばれる。ただし――」
朔夜の表情が、一瞬で鋭くなった。
「契りを交わした後、霊獣より弱くなったなら、主が従に落ちる。これは霊獣園の最も古い掟だ。この灰鳥と己の魂を繋いだ以上、忘れるな」
正雪は一瞬息を止め――そして力強く頷いた。
【紫衣の少女】
朔夜が管理人に霊魂札を受け取るよう指示し、正雪が懐刀を取り出した、その瞬間。
「お待ちになって」
遠くから、鈴を転がすような、爽やかな声が響いた。
正雪が振り返ると、薄紫色の豪華な紋衣をまとった、年若い少女が悠然と歩いてくる。彼女の瞳は青色に鋭く輝き、その歩みは軽いのに、周りの霊気さえも従わせるような威厳をまとっていた。彼女の額には、宗門の紋が輝いている。
「その蛇頸灰鳥――わたくしが、先に目をつけていたものよ。新入りが、わたくしの獲物に触れる資格、あるのかしら?」
風が止まり、園の巨獣たちさえ、緊張して息を潜めた。
正雪の胸に、先ほどの悔しさと、新たな闘志が、再び熱となって灯る。
逃げない。この理不尽と、この壁こそが、彼にとっての本当の修行の始まりだった。
山霧がゆっくりと流れ、太陽の光はその隙間から細い金色の線となって差し込んでいた。
ここは、霧獣法流の奥深くに隠された霊獣園――。その広大さは山々の尾根と一体化し、人工の柵を超えて、大地全体が巨大な霊域の結界と化しているようだった。
日差しの下で、二つの首を持つ巨大な麒麟獅子が、温められた大岩の上で悠然と眠りこけている。二つの口から吐き出される息は、白い霊煙となって揺らめき、時折、唸りにも似た低い喉鳴りが大地を震わせた。
巨大な尾が床を叩くたび、柔らかな砂利がさざ波のように弾け飛ぶ。その一体の存在感だけで、この園の格の高さが知れた。
少し離れた場所では、長い鼻を自在に操る三匹の火霊小獣が、赤い火玉を弄んでいた。鼻先で火玉をくすぐるように転がし、追いかけっこをするその仕草は、幼子の遊びのように愛らしい。
しかし、その転がる火玉から放たれる霊力の波動は、正雪の皮膚をぴりぴりと痺れさせる。もし彼らが本気で霊力を解放すれば、あの火玉一つで、麓の村を消し飛ばすことも容易だろう。
別の柵では、巨大な土霊巨象が、ゆっくりと身体を木製の柵に擦りつけ、そのたびにギシギシと悲鳴をあげる。その柵は特別な術で強化されているはずだが、巨象の体重はそれをねじ曲げかねない。
さらにその隣――灰色の影が、稲妻のように空間を縫って走り回る。小柄なその霊獣は、地面を蹴ったかと思えば、次の瞬間には空中で姿を攪き消し、まったく別の地点から幻影のように現れる。その動きは風の脈動よりも速く、正雪の目には存在すら曖昧に見えた。
「……すげえ、これは仙界の獣みたいだ」
感嘆の声が、思わず口から漏れ出た。
横を歩く案内役――早波川朔夜は柔らかく笑う。
「初めて見た者は皆そう驚くよ、正雪。ここにいる霊獣たちは、霧獣法流の修行者と共に修練し、生死を共にし、やがては宗門の根幹を支える柱となる。今日から君も、その一匹の魂を預かる主となるのだ。その誇りを胸に刻むがいい」
朔夜の声は穏やかでありながら、重く響く。
その少し後ろでは、小柄な少女――朔夜の妹である朔月が、霊獣園の柵の間をぴょんぴょんと跳ねるように歩き、まるで花園を散策するかのようにはしゃいでいる。
彼女は朔夜とは対照的に、活発で、まだ修行が浅いが、その眼差しには霊獣への深い愛情が宿っていた。
正雪は唾を飲み込む。
この中から、俺が選ぶ。胸の奥がざわつく。期待と畏れ、誇りと不安。全てが混ざり合い、自分の魂が試されているようで、呼吸が浅くなる。
「望みはあるか、正雪」朔夜が尋ねた。
「……飛翔の霊獣を、願います」
正雪が望むのは、この狭い世界から抜け出し、空から全てを見下ろす広大な未来だった。飛翔能力を、彼は第一に求めた。
【双翼霊馬の壁】
「飛べる霊獣か。そうだな、性質が最も温厚で、扱いやすい飛翔霊獣なら、あの馬のようなものだ」
朔夜は一段と大きな柵の前で足を止めた。
「これは、双翼霊馬だ。性格は優しく、飛翔速度は決して速くはないが、その代わり持久力が群を抜いている。半月、食事と休息なしで大空を駆け続けることができるという」
その霊獣は、神話に聞く天馬のように堂々とした翼を背に持っているが、角はなく、体には黒い雲のような霊妙な模様が浮かんでいた。翼が巨大な分、足は短く、いかにも長距離の修行飛行に適したその姿は、優雅そのものだった。
正雪は双翼霊馬の荘厳さに目を奪われたが、朔夜は霊獣園の揺るぎない現実を突きつけた。
「ところで、正雪。君の今の階級は?」
「……壱階です」
正雪は、霧獣法流の最も下位の階級であることを、顔を赤らめながら答えた。
「壱階か。そうか。すまないが、双翼霊馬を乗りこなすには、弐階以上の霊力と、宗門からの許可が必要となる」
正雪の希望は、あっさりと、そして冷酷に打ち砕かれた。
「空に飛ぶというのは、常に墜落し、命を落とす危険を伴う。本来であれば、参階以上で、自力で虚空を翔る術を会得した者でなければ、飛翔霊獣を飼うこと自体、宗門の掟で固く禁じられている。この双翼霊馬は、その遅さゆえに、特別に弐階でも許される例外中の例外なのだ」
「そんな……」
正雪は唇を強く噛み締め、悔しさで深く息を吐いた。壱階という自分の今の無力さ、霊力の足りなさが、目の前の夢を遮る分厚い壁であることを痛感させられた瞬間だった。
【蛇頸灰鳥と三年の誓約】
その時、遊び回っていた早波川朔月が、ぴょこんと朔夜の後ろに戻ってきた。朔月の柔和な琥珀色の瞳は、正雪の悔しさを、静かに、しかししっかりと受け止めている。
「兄様。あの蛇頸灰鳥が、生まれたばかりで、まだ飛べないみたいだよ。飛べるようになるまで三年はかかるから、丁度今の正雪に、良い修練の機会になるんじゃない?」
朔月の声は、単なる提案ではなく、正雪への細やかな配慮が込められた、救いの言葉のように聞こえた。
「そうだね」朔夜は妹の言葉にうなずいた。
「蛇頸灰鳥は、幼年期には飛ぶことができないが、走るのは俊足だ。そして成年を迎えると、風の霊力をその長い頸に宿し、天を裂いて飛翔できるようになる。たしかに、今の君には、ちょうどいい」
そう言いながら、朔夜は正雪を一つの大きな木柵の前に連れて来た。
柵の中にいたのは、丸々とした不格好な体に、不自然なほど長い頚を持った、灰色の奇妙な雛鳥だった。その姿は、霊獣というよりも、ひょろりと首が伸びた、滑稽な鳥にしか見えない。
正雪は、正直なところこの怪しい鳥に満足できなかった。しかし、今の自分に許された飛翔霊獣、霊禽(れいきん)はこれしかない。彼は、自らの境遇と、この鳥の未来を受け入れようと、静かに決意した。
だが、朔夜から、さらなる厳しい言葉が飛んできた。
「この鳥を選んでも良いが、宗門の霊獣飼育には厳格な規約がある。参階(さんかい)にならなければ、飛翔霊獣を完全に己のものとすることはできない。つまり、この鳥が飛翔の霊力を得るまでの三年以内に、君が参階にならなければ、飼い主としての地位は即座に剥奪され、この鳥は他の者に渡される」
正雪の修行に、猶予と期限という名の、残酷な枷(かせ)が設けられたのだ。
「故に、覚悟は良いか、正雪。これは、君と宗門、そしてこの霊獣との三年の誓約だ」
朔夜の眼差しは、周囲の霧よりも冷たく澄んでいたが、正雪の魂の奥底の意志を、試しているようだった。
正雪は深く息を吸い込んだ。胸のざわめきが鎮まり、代わりに、鋼のような熱が灯る。
「……やります。三年で、必ず参階になります」
その目に、もう迷いはなかった。飛翔への渇望が、彼を突き動かしていた。
「よし。では、契りだ。霊魂札に血を落とせ。それで仮の主従関係が結ばれる。ただし――」
朔夜の表情が、一瞬で鋭くなった。
「契りを交わした後、霊獣より弱くなったなら、主が従に落ちる。これは霊獣園の最も古い掟だ。この灰鳥と己の魂を繋いだ以上、忘れるな」
正雪は一瞬息を止め――そして力強く頷いた。
【紫衣の少女】
朔夜が管理人に霊魂札を受け取るよう指示し、正雪が懐刀を取り出した、その瞬間。
「お待ちになって」
遠くから、鈴を転がすような、爽やかな声が響いた。
正雪が振り返ると、薄紫色の豪華な紋衣をまとった、年若い少女が悠然と歩いてくる。彼女の瞳は青色に鋭く輝き、その歩みは軽いのに、周りの霊気さえも従わせるような威厳をまとっていた。彼女の額には、宗門の紋が輝いている。
「その蛇頸灰鳥――わたくしが、先に目をつけていたものよ。新入りが、わたくしの獲物に触れる資格、あるのかしら?」
風が止まり、園の巨獣たちさえ、緊張して息を潜めた。
正雪の胸に、先ほどの悔しさと、新たな闘志が、再び熱となって灯る。
逃げない。この理不尽と、この壁こそが、彼にとっての本当の修行の始まりだった。
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