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ローランド
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やれやれ、私の可愛いダ犬は今日も元気に脳筋だな。剣を振ること以外にもやれることはあるのだが、本人は気付いていない。
どんなに愚かでも私にとってはたった一人の弟。可愛くない訳がない。
昔はよく私の後ろを付いてくる可愛い子犬が、今は大型犬に成長したが、中身は子供のままだ。進歩がない。
だから、私と父上で身の振り方を考えていたのに、弟は騎士を目指した。彼は何処までも真っ直ぐで眩しい位誠実な男だ。
他人を直ぐに信じ、あっけなく許してしまう姿は聖人君子の様だが、貴族としては致命的。貴族社会は騙し、化かし合いそして、他人を蹴落とすことなど何とも思っていない連中の集まりの様なもの。そんな中で一人、自分の正義を貫ける程、社交は甘くない。
父と相談して、叔父の養子縁組で伯爵家を継がそうと決めたのは、彼が10才の時。叔父が突然やって来たことに驚いていたが、叔父との仲も良好で何とか上手くいきそうだと安堵した。
アレクセイが成人した時に、結婚を機に叔父の養子になって伯爵家の家業を手伝う様に、父が言い渡した。酷く不満の様で、素直な彼にしては納得がいかないと駄々をこねた。
そして出した条件が御前試合で勝ったなら、彼の思う様に生きて良いと。
彼は年少部門の勝利者となり、その名を轟かせてしまった。自分は凡人だと思っている彼は、誰より努力を惜しまない秀才だという事に、まったく気付かない。
そこから彼は本格的に騎士を目指して、騎士学校に入った。その上、上下身分の隔たりが無いと信じているアレクセイは平民との交流を求めて、寄宿学校にまで入ったのだ。
これには私も呆れて物が言えなかった。身分の差はどこまで行っても付きまとうのに、彼の頭からは抜け落ちているらしい。
体ばかり大きくなって、手間のかかる事この上ない。
そんな彼にも良きライバルが出来た。アイゼンという平民での男だ。私からすれば彼の方が弟よりよほど貴族社会を理解している。惜しいな。家に妹がいれば彼を家に取り込めるのに。残念でならない。
ククク、良い事を考えたぞ。私の従妹にあたるペドラー侯爵家のリディアに彼を紹介してやろう。確か侯爵家は婿を探している。彼女が気に入れば婿に招き入れるだろう。今あそこの領地は砂漠の民ルガールの度重なる略奪で、強い男が必要だ。アレクセイを婿に欲しがったくらいだ。見目も良い逞しい男のアイゼンならきっと彼女のお気に召すだろう。
アレクセイもあれで無意識で我々の役にたってくれた。オルフェ侯爵の愛娘を射止めるとは、ある意味大した男だ。
オルフェ家のコーネリアは家族に愛された箱入り娘。しかも最大の派閥『中立派』で、筆頭侯爵家の娘だ。社交にでる前から彼女を誰が射止めるか噂になっていたほど。
見目麗しい彼女の愛くるしさに狂った男はバーナードだけではない。他にも大勢の男が彼女を狙っている。そんな彼女に一目惚れしたアレクセイが父の反対を押し切って、猛突進した。
父は相手が政敵だから慎重に事を勧めたかったのに、アレクセイは『待て』の出来ないダ犬で、誰の忠告も聞かずにコーネリアを探し回った。
全く困った奴だ。でも、相手の懐に無自覚で入り込む癖のあるアレクセイは、その誠意を侯爵に認めさせた。
あの気難しいと言われる侯爵に娘婿として扱われ出した時の周りの反応は、実に気分が良かった。
内心、良くやったと思ったが、逆に不安も覚えた。どちらの家も政敵が多い。いくら愛があっても周りは政治がらみだとみているだろう。だからこそ心配だった。
王太子派は『貴族派』の連中が多い。何か仕掛けてくるのではと懸念していたが、まさか結婚式で仕掛けるとは思わなかった。計算外の出来事をまたもや規格外な行動をしたアレクセイのおかげで、危機を脱出できた。
結婚式での王太子の発言が元で冤罪をかけられたアレクセイは、自ら無実を証明して王太子の力量の無さを貴族達に示したのだ。
今まで王太子に付いていた『王族派』の残りも、その筆頭であるギャロット公爵家を貶めたのだ。最早、これ以上王太子を支持する必要はないとばかりに見限った。
政権は既に王妃マデリーナ様の実家ローレン公爵家にある。王太子が倒れ、次の国王となるのは私の親友第二王子ルイナード殿下だ。
もうすぐ、この事件も結末を迎える。犯人の目星も付いた。後は蟻の子一匹逃さない。
私達が受けた屈辱を何倍にして返すことにするよ。
大切な弟の初夜が待っているからね。なるべく早く片付ける事にしよう。
どんなに愚かでも私にとってはたった一人の弟。可愛くない訳がない。
昔はよく私の後ろを付いてくる可愛い子犬が、今は大型犬に成長したが、中身は子供のままだ。進歩がない。
だから、私と父上で身の振り方を考えていたのに、弟は騎士を目指した。彼は何処までも真っ直ぐで眩しい位誠実な男だ。
他人を直ぐに信じ、あっけなく許してしまう姿は聖人君子の様だが、貴族としては致命的。貴族社会は騙し、化かし合いそして、他人を蹴落とすことなど何とも思っていない連中の集まりの様なもの。そんな中で一人、自分の正義を貫ける程、社交は甘くない。
父と相談して、叔父の養子縁組で伯爵家を継がそうと決めたのは、彼が10才の時。叔父が突然やって来たことに驚いていたが、叔父との仲も良好で何とか上手くいきそうだと安堵した。
アレクセイが成人した時に、結婚を機に叔父の養子になって伯爵家の家業を手伝う様に、父が言い渡した。酷く不満の様で、素直な彼にしては納得がいかないと駄々をこねた。
そして出した条件が御前試合で勝ったなら、彼の思う様に生きて良いと。
彼は年少部門の勝利者となり、その名を轟かせてしまった。自分は凡人だと思っている彼は、誰より努力を惜しまない秀才だという事に、まったく気付かない。
そこから彼は本格的に騎士を目指して、騎士学校に入った。その上、上下身分の隔たりが無いと信じているアレクセイは平民との交流を求めて、寄宿学校にまで入ったのだ。
これには私も呆れて物が言えなかった。身分の差はどこまで行っても付きまとうのに、彼の頭からは抜け落ちているらしい。
体ばかり大きくなって、手間のかかる事この上ない。
そんな彼にも良きライバルが出来た。アイゼンという平民での男だ。私からすれば彼の方が弟よりよほど貴族社会を理解している。惜しいな。家に妹がいれば彼を家に取り込めるのに。残念でならない。
ククク、良い事を考えたぞ。私の従妹にあたるペドラー侯爵家のリディアに彼を紹介してやろう。確か侯爵家は婿を探している。彼女が気に入れば婿に招き入れるだろう。今あそこの領地は砂漠の民ルガールの度重なる略奪で、強い男が必要だ。アレクセイを婿に欲しがったくらいだ。見目も良い逞しい男のアイゼンならきっと彼女のお気に召すだろう。
アレクセイもあれで無意識で我々の役にたってくれた。オルフェ侯爵の愛娘を射止めるとは、ある意味大した男だ。
オルフェ家のコーネリアは家族に愛された箱入り娘。しかも最大の派閥『中立派』で、筆頭侯爵家の娘だ。社交にでる前から彼女を誰が射止めるか噂になっていたほど。
見目麗しい彼女の愛くるしさに狂った男はバーナードだけではない。他にも大勢の男が彼女を狙っている。そんな彼女に一目惚れしたアレクセイが父の反対を押し切って、猛突進した。
父は相手が政敵だから慎重に事を勧めたかったのに、アレクセイは『待て』の出来ないダ犬で、誰の忠告も聞かずにコーネリアを探し回った。
全く困った奴だ。でも、相手の懐に無自覚で入り込む癖のあるアレクセイは、その誠意を侯爵に認めさせた。
あの気難しいと言われる侯爵に娘婿として扱われ出した時の周りの反応は、実に気分が良かった。
内心、良くやったと思ったが、逆に不安も覚えた。どちらの家も政敵が多い。いくら愛があっても周りは政治がらみだとみているだろう。だからこそ心配だった。
王太子派は『貴族派』の連中が多い。何か仕掛けてくるのではと懸念していたが、まさか結婚式で仕掛けるとは思わなかった。計算外の出来事をまたもや規格外な行動をしたアレクセイのおかげで、危機を脱出できた。
結婚式での王太子の発言が元で冤罪をかけられたアレクセイは、自ら無実を証明して王太子の力量の無さを貴族達に示したのだ。
今まで王太子に付いていた『王族派』の残りも、その筆頭であるギャロット公爵家を貶めたのだ。最早、これ以上王太子を支持する必要はないとばかりに見限った。
政権は既に王妃マデリーナ様の実家ローレン公爵家にある。王太子が倒れ、次の国王となるのは私の親友第二王子ルイナード殿下だ。
もうすぐ、この事件も結末を迎える。犯人の目星も付いた。後は蟻の子一匹逃さない。
私達が受けた屈辱を何倍にして返すことにするよ。
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