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本編 この度、記憶喪失の公爵様に嫁ぐことになりまして
仁義なき夫婦の戦い
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それは、畑仕事が終わり、晩餐までの時間を持て余していた時にやって来た。
ドアをノックする音が聞こえてきて、扉をメイドのマリーが開けると、旦那様の執事ルファスさんが立っている。
「今日から公爵閣下のご命令で、奥方様と共寝をするそうです」
ルファスさんは私の部屋の続きになっている夫婦の寝室を指さした。
「えっ…?」
さっき確かに同じ部屋で寝るとは言ったけれど、同じベッドを使うとは言って無いよね…?
「あのう…できれば部屋にもう一つベッドを用意してもらえないでしょうか?できなければ、ソファーで休みます」
「そうですか。ではベッドをご用意します」
ルファスさんは、快く引き受けてくれた。
この屋敷の使用人には、まだ慣れていないけれど、ここへきてから旦那様に何かあったらルファスさんを頼る様に言われている。ニコニコと親しみやすい笑顔をしているけれど、心の中で何を考えているのか分からない人だと私は思っている。
亡くなった母から「ニコニコと笑って近づく男は腹黒い」と教えられて育ったので、何となく私の中の野生の勘が働いていた。
彼は旦那様以上に怒らせると怖い人だと警告音が鳴っている。保身の為にも大人しく従った方がいいだろうと判断する。
晩餐をいつもの様に旦那様と済ませた後、部屋に帰ると侍女たちが私の寝支度を手伝おうとした。はっきり言って、私一人で十分支度できるから、彼女らの手を煩わせたくない。
それに伯爵家でも使用人らにまともな扱いを受けていなかった私は、見知らぬ人間は怖い。冷たい視線や侮蔑の籠った眼差しには慣れているものの、直接向けられるのはやっぱり辛いものがあった。
ビクビクと侍女たちに夜の支度念入りにされながら、私は思う。
なんで寝るだけなのに寝化粧や下着の吟味が必要なの?だって寝るだけだよ。「おやすみなさい」って言って……。
そして、侍女頭リタの真剣な目が血走っていて怖い……。後ろに控えているメイドたちも二マニマと笑っている。なんだか不気味だ……。
これから何が起こるのか段々不安になる私を他所に、着実に支度が整えられている。
そうこうするうちに、夫婦の寝所に置きざれにされ、私は旦那様が来るのを待っていた。
本音を言うと早く休みたいのだが、一応寝る前の挨拶はしておきたい。
自分のベッドに座っていると、旦那様がランプを持って部屋に入ってきた。
「あれ、まだ寝てなかったの?」
「はい、就寝の挨拶をしようかと思いまして…」
「そう」
「ではお休みなさい」
「えっ、ちょっと待って!!なんでそっちで寝るの?ベッドが二つもあるのはおかしいよ」
「おかしくありません。二人で寝たら熟睡できません」
「いや、そうじゃなくて…」
「もう、子供ではないのですから、大人しく一人で寝て下さい!!」
「だから、子供じゃないから一緒に……」
スヤ~私は速攻で夢の住人と化した。
「って寝るの早っ!!」
その後、旦那様がぶつぶつと何かを呟いていたようだが、夢の住人と化している私には聞こえなかった。
次の日、屋敷中に響き渡る私の雄叫びで使用人たちが目を覚ますことになる。
「ぎゃああああああ─────────っ!!!!!!」
まあ、普通は鳥の囀りとか鶏の「コケコッコー」じゃないのかって思うよね。
でも、目覚めたら超絶美麗な旦那様に抱き枕ヨロシク状態で、密着していたら誰だって叫ぶでしょう?
別々のベッドで寝ていたはずなのに、どうしてこうなった……?
旦那様が私のベッドに忍び込んでいる。何故だ!どうしてなんだ!一体この御仁は何がしたかったんだ?
それにしても我ながらなんて色気のない悲鳴なんだろう……。
「おはよう。奥さん目が覚めた?」
あざとさを含んだ似非笑顔の微笑みを浮かべながら、私の髪に口付けを落とてくる。
ねえ、旦那様?貴方本当は記憶戻っているでしょう?こんな仕草10才の子供しないよ。してたら将来女たらしか結婚詐欺になる不安要素しかないよ。
旦那様のキラキラ笑顔にダメージを受け、私のHPは朝からかなり消耗している。
そして、全身が火照って来るのを感じていたのだった。
ドアをノックする音が聞こえてきて、扉をメイドのマリーが開けると、旦那様の執事ルファスさんが立っている。
「今日から公爵閣下のご命令で、奥方様と共寝をするそうです」
ルファスさんは私の部屋の続きになっている夫婦の寝室を指さした。
「えっ…?」
さっき確かに同じ部屋で寝るとは言ったけれど、同じベッドを使うとは言って無いよね…?
「あのう…できれば部屋にもう一つベッドを用意してもらえないでしょうか?できなければ、ソファーで休みます」
「そうですか。ではベッドをご用意します」
ルファスさんは、快く引き受けてくれた。
この屋敷の使用人には、まだ慣れていないけれど、ここへきてから旦那様に何かあったらルファスさんを頼る様に言われている。ニコニコと親しみやすい笑顔をしているけれど、心の中で何を考えているのか分からない人だと私は思っている。
亡くなった母から「ニコニコと笑って近づく男は腹黒い」と教えられて育ったので、何となく私の中の野生の勘が働いていた。
彼は旦那様以上に怒らせると怖い人だと警告音が鳴っている。保身の為にも大人しく従った方がいいだろうと判断する。
晩餐をいつもの様に旦那様と済ませた後、部屋に帰ると侍女たちが私の寝支度を手伝おうとした。はっきり言って、私一人で十分支度できるから、彼女らの手を煩わせたくない。
それに伯爵家でも使用人らにまともな扱いを受けていなかった私は、見知らぬ人間は怖い。冷たい視線や侮蔑の籠った眼差しには慣れているものの、直接向けられるのはやっぱり辛いものがあった。
ビクビクと侍女たちに夜の支度念入りにされながら、私は思う。
なんで寝るだけなのに寝化粧や下着の吟味が必要なの?だって寝るだけだよ。「おやすみなさい」って言って……。
そして、侍女頭リタの真剣な目が血走っていて怖い……。後ろに控えているメイドたちも二マニマと笑っている。なんだか不気味だ……。
これから何が起こるのか段々不安になる私を他所に、着実に支度が整えられている。
そうこうするうちに、夫婦の寝所に置きざれにされ、私は旦那様が来るのを待っていた。
本音を言うと早く休みたいのだが、一応寝る前の挨拶はしておきたい。
自分のベッドに座っていると、旦那様がランプを持って部屋に入ってきた。
「あれ、まだ寝てなかったの?」
「はい、就寝の挨拶をしようかと思いまして…」
「そう」
「ではお休みなさい」
「えっ、ちょっと待って!!なんでそっちで寝るの?ベッドが二つもあるのはおかしいよ」
「おかしくありません。二人で寝たら熟睡できません」
「いや、そうじゃなくて…」
「もう、子供ではないのですから、大人しく一人で寝て下さい!!」
「だから、子供じゃないから一緒に……」
スヤ~私は速攻で夢の住人と化した。
「って寝るの早っ!!」
その後、旦那様がぶつぶつと何かを呟いていたようだが、夢の住人と化している私には聞こえなかった。
次の日、屋敷中に響き渡る私の雄叫びで使用人たちが目を覚ますことになる。
「ぎゃああああああ─────────っ!!!!!!」
まあ、普通は鳥の囀りとか鶏の「コケコッコー」じゃないのかって思うよね。
でも、目覚めたら超絶美麗な旦那様に抱き枕ヨロシク状態で、密着していたら誰だって叫ぶでしょう?
別々のベッドで寝ていたはずなのに、どうしてこうなった……?
旦那様が私のベッドに忍び込んでいる。何故だ!どうしてなんだ!一体この御仁は何がしたかったんだ?
それにしても我ながらなんて色気のない悲鳴なんだろう……。
「おはよう。奥さん目が覚めた?」
あざとさを含んだ似非笑顔の微笑みを浮かべながら、私の髪に口付けを落とてくる。
ねえ、旦那様?貴方本当は記憶戻っているでしょう?こんな仕草10才の子供しないよ。してたら将来女たらしか結婚詐欺になる不安要素しかないよ。
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そして、全身が火照って来るのを感じていたのだった。
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