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アリスティア編
父の言葉
レイラン様の不意打ちの様な問いに父は
「身辺整理をする。どのみち公爵家から出るつもりでいたが、お前の誕生パーティーの後に別邸を出るつもりだ。アデライトの厚意は正直ありがたいが、受け取るつもりはない。最後の誕生パーティには父親の役割を果たさせてほしい」
「それは、私の方から公爵に伝えておこう」
「そうして頂ければありがたい。では、私は何も言う事はない。言ったところで今更だ。さっき言ったアリスティア。お前の言葉を借りるなら、私もお前を愛したかったし、愛されたかった。でも、できなかった。お前の顔を見るたびにその瞳が兄を思い出させて、私の心を苛んでくる。後悔しても遅いが私達はどこから間違ったのか解らない。兄が死んだ後、もうアデライトは私の知っている彼女ではなかった。3年の月日で兄のものになっていた。兄を受け入れて当然の様に笑っている彼女が憎かった。お前の存在が疎ましかった。結局、私達はまともな大人になれなかったのだ。もし、何もなくても私とアデライトは遠からず破局しただろう。お互いが子供の様な我儘を押し通してね。次に会う時が最後だ。今日はこれで失礼する。私達も話し合いが必要だから」
父はレイラン様に一礼すると二人を連れて帰っていった。ここから先は3人の話し合いになるだろう。私は部外者だ。口を挟みたくもないし、関わりたくもない。結局、母は、私の中に父を見ていた。父は無くなった兄を見ていたのだ。
父の言葉を聞いて、私はなんだかすっきりしている。それははっきり拒絶されたからなのだろうか。
もし、本当は私を愛して、アデライトを今も愛していると言ったなら、これ程、吹っ切れていなかっただろう。今も父と母の愛情を欲していたかもしれない。
でも、レイラン様の言葉で何処か気持ちのもやもやが晴れた気がした。
『君には二人の血の繋がった父親がいる。これは稀なことだし、外国には双子の特性で、妻を二人同時に娶る者や夫二人持つ者もいる。そういう国もあるんだよ。一卵性の双子は同じ相手を好きになったりする。特に感受性の高い思春期には多い。だから、そういう風に法律で定めている事もあるんだよ。昔、双子は忌むべき存在とされていたのは、きっとそういう事も原因の一つなんだろうね』
昨日、散歩をした時に言われた言葉。
私には血の繋がった父が二人いるのだ。どちらが本当かなんて関係ないのだ。私はただ有りの侭、受け入れるだけでいいのだと。そう言われているようで、気持ちが軽くなった気がした。
試験休みが終わって学院生活に戻ると、学院の雰囲気が変わっていた。
エリーゼは平民の学園に移り、彼女を学院に入れた責任で学院長が変わっている。それに下級貴族の令嬢・令息らは何らかの処罰を受けて、しばらく学院に復帰できない者もいた。
学院は一人の少女の所為で乱れた平穏を、次第に取り戻しつつあったある日、またケロイド様が私の所にやってきた。
「何か、ご用ですか?」
「いや、その。お前に聞きたい事があるんだ。何故、エリーゼが平民の学園にいるんだ」
この男は頭がおかしいとしか思えない。エリーゼは父の子供でもない。あのマリエルの調査報告書には医師の診断書や当時の男関係まで細かく調査されていた。当然父と別れた後、マリエルの妊娠しているその時期がずれている。マリエルが早産だと言ったところで辻褄が合わないのだ。その上、別邸で自分で父の子供ではない事を語っていた。その母親はただの平民、貴族でもなんでもない平民の私生児なのだから、当然平民の学校に通う。それに父が学校だけはと援助して通わしているのに、私に何を聞きたいのか分からない。
「それは父が決めたことですから、元々彼女は貴族でもなんでもないのに逆に貴族学院にいたことの方が不思議でしょう」
「そうか、解った。それとお前に色々、すまなかった。もう顔を会すことも無いだろうが取りあえず、新しい婚約おめでとう」
何だか上から目線で物を言われていたが、謝罪の言葉だけは受け取っておくことにした。
彼は学院での素行が親に報告され、学院を出た後、放逐されることが決まっている。そう平民になるのだ。
元々、私の護衛のような婚約者だったのに、全くその意味をなさないどころか害悪でしかなかったのだが、侯爵家が祖父に詫びを入れたが、祖父は「今後、侯爵家との関係は見直させてもらう」と返答をした。
公爵家からそういわれればもう今後、侯爵家との繋がりを持ちたいとは思わないだろう。次男を放逐しただけではすまない事に本人は気づいていない。
どうやら、身分の差がなくなってエリーゼをまた追いかけるようだ。
その前向きさは見習うべきなのかもしれないが、今の私にはどうでもいい。できればもう二度と関わりたくない。
そうこうするうちに私の誕生日パーティーが始まった。
「身辺整理をする。どのみち公爵家から出るつもりでいたが、お前の誕生パーティーの後に別邸を出るつもりだ。アデライトの厚意は正直ありがたいが、受け取るつもりはない。最後の誕生パーティには父親の役割を果たさせてほしい」
「それは、私の方から公爵に伝えておこう」
「そうして頂ければありがたい。では、私は何も言う事はない。言ったところで今更だ。さっき言ったアリスティア。お前の言葉を借りるなら、私もお前を愛したかったし、愛されたかった。でも、できなかった。お前の顔を見るたびにその瞳が兄を思い出させて、私の心を苛んでくる。後悔しても遅いが私達はどこから間違ったのか解らない。兄が死んだ後、もうアデライトは私の知っている彼女ではなかった。3年の月日で兄のものになっていた。兄を受け入れて当然の様に笑っている彼女が憎かった。お前の存在が疎ましかった。結局、私達はまともな大人になれなかったのだ。もし、何もなくても私とアデライトは遠からず破局しただろう。お互いが子供の様な我儘を押し通してね。次に会う時が最後だ。今日はこれで失礼する。私達も話し合いが必要だから」
父はレイラン様に一礼すると二人を連れて帰っていった。ここから先は3人の話し合いになるだろう。私は部外者だ。口を挟みたくもないし、関わりたくもない。結局、母は、私の中に父を見ていた。父は無くなった兄を見ていたのだ。
父の言葉を聞いて、私はなんだかすっきりしている。それははっきり拒絶されたからなのだろうか。
もし、本当は私を愛して、アデライトを今も愛していると言ったなら、これ程、吹っ切れていなかっただろう。今も父と母の愛情を欲していたかもしれない。
でも、レイラン様の言葉で何処か気持ちのもやもやが晴れた気がした。
『君には二人の血の繋がった父親がいる。これは稀なことだし、外国には双子の特性で、妻を二人同時に娶る者や夫二人持つ者もいる。そういう国もあるんだよ。一卵性の双子は同じ相手を好きになったりする。特に感受性の高い思春期には多い。だから、そういう風に法律で定めている事もあるんだよ。昔、双子は忌むべき存在とされていたのは、きっとそういう事も原因の一つなんだろうね』
昨日、散歩をした時に言われた言葉。
私には血の繋がった父が二人いるのだ。どちらが本当かなんて関係ないのだ。私はただ有りの侭、受け入れるだけでいいのだと。そう言われているようで、気持ちが軽くなった気がした。
試験休みが終わって学院生活に戻ると、学院の雰囲気が変わっていた。
エリーゼは平民の学園に移り、彼女を学院に入れた責任で学院長が変わっている。それに下級貴族の令嬢・令息らは何らかの処罰を受けて、しばらく学院に復帰できない者もいた。
学院は一人の少女の所為で乱れた平穏を、次第に取り戻しつつあったある日、またケロイド様が私の所にやってきた。
「何か、ご用ですか?」
「いや、その。お前に聞きたい事があるんだ。何故、エリーゼが平民の学園にいるんだ」
この男は頭がおかしいとしか思えない。エリーゼは父の子供でもない。あのマリエルの調査報告書には医師の診断書や当時の男関係まで細かく調査されていた。当然父と別れた後、マリエルの妊娠しているその時期がずれている。マリエルが早産だと言ったところで辻褄が合わないのだ。その上、別邸で自分で父の子供ではない事を語っていた。その母親はただの平民、貴族でもなんでもない平民の私生児なのだから、当然平民の学校に通う。それに父が学校だけはと援助して通わしているのに、私に何を聞きたいのか分からない。
「それは父が決めたことですから、元々彼女は貴族でもなんでもないのに逆に貴族学院にいたことの方が不思議でしょう」
「そうか、解った。それとお前に色々、すまなかった。もう顔を会すことも無いだろうが取りあえず、新しい婚約おめでとう」
何だか上から目線で物を言われていたが、謝罪の言葉だけは受け取っておくことにした。
彼は学院での素行が親に報告され、学院を出た後、放逐されることが決まっている。そう平民になるのだ。
元々、私の護衛のような婚約者だったのに、全くその意味をなさないどころか害悪でしかなかったのだが、侯爵家が祖父に詫びを入れたが、祖父は「今後、侯爵家との関係は見直させてもらう」と返答をした。
公爵家からそういわれればもう今後、侯爵家との繋がりを持ちたいとは思わないだろう。次男を放逐しただけではすまない事に本人は気づいていない。
どうやら、身分の差がなくなってエリーゼをまた追いかけるようだ。
その前向きさは見習うべきなのかもしれないが、今の私にはどうでもいい。できればもう二度と関わりたくない。
そうこうするうちに私の誕生日パーティーが始まった。
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