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魔女の名は…
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会議室の貴族達は各々に囁き合っている。
11年前、オースティンが行方不明になり、その後にメディアが妊娠していることが判明した時、生まれてくる子供をどうするかは、王妃であったエレオノーラと話し合う事になっていた。
もし、仮にエレオノーラとの間に子供が生まれれば、次代の王太子はその生まれた子供が担うことになる。
しかし、ルドヴィックに医師は
「エレオノーラ王妃殿下は、二度と懐妊できないでしょう」
そう告げた。
ルドヴィックは迷った挙句、ある事をエレオノーラに提案した。
それはメディアが産んだ子共を養子にし、エレオノーラに教育してもらうことだった。
だが、エレオノーラの出した答えは『離縁』という二文字だけ……。
ルドヴィックは、エレオノーラを説得してみるものの彼女の決意は固い。
結局、ルドヴィックはエレオノーラの意志を尊重する形で、離縁したのだ。
そして生まれる子供の為に、メディアを王妃の座につけた。
当時、ルドヴィックが取るべき選択はそれしか残されていなかったからだ。
その後、生まれた子供を見て、誰にも似ていない事に気付いていたが、今更どうにもならない。
離縁したエレオノーラの行方を捜したが、依然として消息はつかめなかった。
エレオノーラは、この10年全くその生存が確認できなかった。何処で暮らしているのかもルドヴィックは知らなかったのである。
離縁後初めて、エレオノーラの姿を確認できたのは、隣国の大使を歓待する夜会で、バルボッサ侯爵が夫人を紹介した時だ。
彼女の顔を見るなり、隣にいたメディアが手していたグラスを落とした。そのグラスの割れる音だけがルドヴィックの脳裏に焼き付いている。
メディアは真っ青な顔色で、震えて慌ててルドヴィックの影に隠れた。昨日の園遊会にも急遽欠席をしたところを見ると、きっとエレオノーラが襲われた無法者は、メディアらが差し向けたのかもしれない。
それに能々考えれば、エレオノーラが不妊であると告げた医師は、ローガン侯爵家と関わりのある者だった。
つくづく、ルドヴィックはメディアにいいように使われている。
ルドヴィックは自嘲気な笑いが込み上げてきた。
一体、何時から自分はエレオノーラを避ける様になったのだろう。
きっと、母の秘密の部屋を見た時からなのだ。
あの、小刀で切り裂かれた二枚の写真……。
それが全てを物語っていた。
二人に共通している特徴。
青みがかった銀色の髪と紫水晶の神秘的な瞳。
一人はエレオノーラに良く似ている事から、アマーリエ・ストラウス公爵夫人。
もう一人は、恐らく兄オースティンの生母ガーベラ・ポエナ子爵令嬢。
ルドヴィックが5才の頃、母カテリーナの後をこっそりつけた事がある。
「魔女め!魔女め!魔女め!魔女め!魔女め!魔女め!……わたくしからルードリッヒを奪おうとする者は、誰も彼も全て魔女だ!」
鬼女の様に髪を振り乱し、小刀を片手に写真を切り刻んでいく姿に恐怖を感じた。
母カテリーナの呟く呪文のような言葉──。
『魔女』
それは、カテリーナにとっては、ガーベラであり、アマーリエだったのだろう。
ルドヴィックは、母の恐ろしい一面を知って、その場に立ち竦んでいると、後ろから大きな手が目を覆い隠した。
──見ない方がいい。忘れなさい。これは悪い夢だから……。
そう言って、ルドヴィックを抱き上げたのは父ルードリッヒだった。
父は執事に託けて、ルドヴィックを部屋に連れて帰る様に指示し、母の部屋に入っていったのだ。
その後、母が泣きながら父を罵る声が聴こえ、扉が閉まる一瞬見えたのは、父が母を優しく抱きしめている姿だった。
まるで幼子を宥める様に乱れた髪を手で梳きながら……。
今思えば父はとても不器用な人だったのではないかとルドヴィックは考える。
よく二人で庭園を散歩していたが、決して母より先に歩みを進める事はなかった。
母が立ち止ると一緒に立ち止り、母の歩くスピードに合わせて歩いていたように思える。
そこには二人にしか分からない絆の様なものがあったのかもしれないが、それを問う相手はもういない。
誰も答えることはできないのだから……。
母にとって銀色の髪と紫の瞳を持つ者は憎しみの対象となったかもしれないが、ルドヴィックにとって、本当の魔女の名は……。
──メディア……。
あの日、赤い髪と緑の瞳の美しい女性は、髪を振り乱してルドヴィックに縋った。
『陛下が…陛下が…。私を置いて何処かに行くはずがないわ。心細い…ねえ…お願いよ。ルド…一緒にいてちょうだい』
大きな緑の瞳に涙を浮かべて、身を擦り付けられながら縋られて、ルドヴィックは拒絶出来なかった。
『直ぐに侍女を呼ぶから……』
『待って…侍女ではなく。ルドに傍にいて欲しいの…私のお願いを何でも聞いてくれるのは貴方だけなのよ』
手を握られ、顔がどんどん近付くのに、その瞳に囚われてルドヴィックは動けなくなっていた。
その唇が重なった時、ルドヴィックの中の最後の理性が弾け飛んで、メディアを抱きしめた。
気付けば、明け方近くになっていて、我に返った時には情事は終わっていた。
一糸纏わぬ自身の姿を見て、兄とエレオノーラの顔が脳裏に過ぎる……。
──何という事をしでかしてしまったのか。
罪悪感よりにも、長年憧れていたメディアと肌を合わせた事の喜びが勝っていた。
そして、4か月後に彼女に告げられる。
『私、懐妊しているの…オースティン子供よ』
『そうか、良かったな。兄上が戻られたらお喜びになるだろう』
『本当にそうかしら……?だってもしかしたら、あなたの子供かも知れないでしょう。私にもどっちの種か分からないもの。二人ともよく似ているのだから、どちらの子でも王家の血を受け継いでいうわ』
そう言って赤い口を大きく開けて笑う姿は、ルドヴィックには魔女の様に見えた。
たった一度の過ちで、ルドヴィックは、魔女に食べられてしまった。
メディアの子供を養子にと言った時、エレオノーラは、
『果たして彼女の腹にいるのは何方の子なのでしょうね…?』
あの時は、自分の後ろめたさをどうにか誤魔化そうと考えていたから、ルドヴィックは深く考えなかった。
エレオノーラは、何処まで知っていたのだろうか?
あの言葉は、メディアと過ちを犯した事を指していたのだろうか?
それとも、メディアが不貞を働いていたことを指しているのだろうか?
貴族達がルドヴィックの答えを待つように、冷たい視線を向けているにも拘らず、ルドヴィックはエレオノーラの言葉の意味を悶々と考えていた。
現実逃避気味な弟を見ながら、
「全て終わった事だ。今更考えてもどうにもならない」
「終わってなど…」
「もう、今日の議会で決定されれば、明日にでも子供を連れてくる」
「ですが……」
「メディアが産んだ子供は、神殿預かりになる。そして入れ替えるのだ。本当の王子として、お前の養子として育てろ!それがお前のすべき贖罪だよ。ルドヴィック」
「そんな事が通るはずがない。名前も環境も違うのに適応するのに時間がかかります」
「お前の承認など必要ない。これはルードリッヒ国王の遺言だ。それに名か…」
何か含みのある笑みを浮かべてオースティンはルドヴィックを見つめて言い放つ。
「子供の名は、パトリックだ。偶然だな。お前の子供の名前と同じだよ」
「あ…兄上……。謀りましたね!一体いつからなんです……私を破滅に追い込む計画を立てたんですね!卑怯者!!」
ルドヴィックの言葉が会議室に響き渡ったが、ルドヴィックに味方する者は部屋にいた貴族達の中で誰一人としていなかったである。
11年前、オースティンが行方不明になり、その後にメディアが妊娠していることが判明した時、生まれてくる子供をどうするかは、王妃であったエレオノーラと話し合う事になっていた。
もし、仮にエレオノーラとの間に子供が生まれれば、次代の王太子はその生まれた子供が担うことになる。
しかし、ルドヴィックに医師は
「エレオノーラ王妃殿下は、二度と懐妊できないでしょう」
そう告げた。
ルドヴィックは迷った挙句、ある事をエレオノーラに提案した。
それはメディアが産んだ子共を養子にし、エレオノーラに教育してもらうことだった。
だが、エレオノーラの出した答えは『離縁』という二文字だけ……。
ルドヴィックは、エレオノーラを説得してみるものの彼女の決意は固い。
結局、ルドヴィックはエレオノーラの意志を尊重する形で、離縁したのだ。
そして生まれる子供の為に、メディアを王妃の座につけた。
当時、ルドヴィックが取るべき選択はそれしか残されていなかったからだ。
その後、生まれた子供を見て、誰にも似ていない事に気付いていたが、今更どうにもならない。
離縁したエレオノーラの行方を捜したが、依然として消息はつかめなかった。
エレオノーラは、この10年全くその生存が確認できなかった。何処で暮らしているのかもルドヴィックは知らなかったのである。
離縁後初めて、エレオノーラの姿を確認できたのは、隣国の大使を歓待する夜会で、バルボッサ侯爵が夫人を紹介した時だ。
彼女の顔を見るなり、隣にいたメディアが手していたグラスを落とした。そのグラスの割れる音だけがルドヴィックの脳裏に焼き付いている。
メディアは真っ青な顔色で、震えて慌ててルドヴィックの影に隠れた。昨日の園遊会にも急遽欠席をしたところを見ると、きっとエレオノーラが襲われた無法者は、メディアらが差し向けたのかもしれない。
それに能々考えれば、エレオノーラが不妊であると告げた医師は、ローガン侯爵家と関わりのある者だった。
つくづく、ルドヴィックはメディアにいいように使われている。
ルドヴィックは自嘲気な笑いが込み上げてきた。
一体、何時から自分はエレオノーラを避ける様になったのだろう。
きっと、母の秘密の部屋を見た時からなのだ。
あの、小刀で切り裂かれた二枚の写真……。
それが全てを物語っていた。
二人に共通している特徴。
青みがかった銀色の髪と紫水晶の神秘的な瞳。
一人はエレオノーラに良く似ている事から、アマーリエ・ストラウス公爵夫人。
もう一人は、恐らく兄オースティンの生母ガーベラ・ポエナ子爵令嬢。
ルドヴィックが5才の頃、母カテリーナの後をこっそりつけた事がある。
「魔女め!魔女め!魔女め!魔女め!魔女め!魔女め!……わたくしからルードリッヒを奪おうとする者は、誰も彼も全て魔女だ!」
鬼女の様に髪を振り乱し、小刀を片手に写真を切り刻んでいく姿に恐怖を感じた。
母カテリーナの呟く呪文のような言葉──。
『魔女』
それは、カテリーナにとっては、ガーベラであり、アマーリエだったのだろう。
ルドヴィックは、母の恐ろしい一面を知って、その場に立ち竦んでいると、後ろから大きな手が目を覆い隠した。
──見ない方がいい。忘れなさい。これは悪い夢だから……。
そう言って、ルドヴィックを抱き上げたのは父ルードリッヒだった。
父は執事に託けて、ルドヴィックを部屋に連れて帰る様に指示し、母の部屋に入っていったのだ。
その後、母が泣きながら父を罵る声が聴こえ、扉が閉まる一瞬見えたのは、父が母を優しく抱きしめている姿だった。
まるで幼子を宥める様に乱れた髪を手で梳きながら……。
今思えば父はとても不器用な人だったのではないかとルドヴィックは考える。
よく二人で庭園を散歩していたが、決して母より先に歩みを進める事はなかった。
母が立ち止ると一緒に立ち止り、母の歩くスピードに合わせて歩いていたように思える。
そこには二人にしか分からない絆の様なものがあったのかもしれないが、それを問う相手はもういない。
誰も答えることはできないのだから……。
母にとって銀色の髪と紫の瞳を持つ者は憎しみの対象となったかもしれないが、ルドヴィックにとって、本当の魔女の名は……。
──メディア……。
あの日、赤い髪と緑の瞳の美しい女性は、髪を振り乱してルドヴィックに縋った。
『陛下が…陛下が…。私を置いて何処かに行くはずがないわ。心細い…ねえ…お願いよ。ルド…一緒にいてちょうだい』
大きな緑の瞳に涙を浮かべて、身を擦り付けられながら縋られて、ルドヴィックは拒絶出来なかった。
『直ぐに侍女を呼ぶから……』
『待って…侍女ではなく。ルドに傍にいて欲しいの…私のお願いを何でも聞いてくれるのは貴方だけなのよ』
手を握られ、顔がどんどん近付くのに、その瞳に囚われてルドヴィックは動けなくなっていた。
その唇が重なった時、ルドヴィックの中の最後の理性が弾け飛んで、メディアを抱きしめた。
気付けば、明け方近くになっていて、我に返った時には情事は終わっていた。
一糸纏わぬ自身の姿を見て、兄とエレオノーラの顔が脳裏に過ぎる……。
──何という事をしでかしてしまったのか。
罪悪感よりにも、長年憧れていたメディアと肌を合わせた事の喜びが勝っていた。
そして、4か月後に彼女に告げられる。
『私、懐妊しているの…オースティン子供よ』
『そうか、良かったな。兄上が戻られたらお喜びになるだろう』
『本当にそうかしら……?だってもしかしたら、あなたの子供かも知れないでしょう。私にもどっちの種か分からないもの。二人ともよく似ているのだから、どちらの子でも王家の血を受け継いでいうわ』
そう言って赤い口を大きく開けて笑う姿は、ルドヴィックには魔女の様に見えた。
たった一度の過ちで、ルドヴィックは、魔女に食べられてしまった。
メディアの子供を養子にと言った時、エレオノーラは、
『果たして彼女の腹にいるのは何方の子なのでしょうね…?』
あの時は、自分の後ろめたさをどうにか誤魔化そうと考えていたから、ルドヴィックは深く考えなかった。
エレオノーラは、何処まで知っていたのだろうか?
あの言葉は、メディアと過ちを犯した事を指していたのだろうか?
それとも、メディアが不貞を働いていたことを指しているのだろうか?
貴族達がルドヴィックの答えを待つように、冷たい視線を向けているにも拘らず、ルドヴィックはエレオノーラの言葉の意味を悶々と考えていた。
現実逃避気味な弟を見ながら、
「全て終わった事だ。今更考えてもどうにもならない」
「終わってなど…」
「もう、今日の議会で決定されれば、明日にでも子供を連れてくる」
「ですが……」
「メディアが産んだ子供は、神殿預かりになる。そして入れ替えるのだ。本当の王子として、お前の養子として育てろ!それがお前のすべき贖罪だよ。ルドヴィック」
「そんな事が通るはずがない。名前も環境も違うのに適応するのに時間がかかります」
「お前の承認など必要ない。これはルードリッヒ国王の遺言だ。それに名か…」
何か含みのある笑みを浮かべてオースティンはルドヴィックを見つめて言い放つ。
「子供の名は、パトリックだ。偶然だな。お前の子供の名前と同じだよ」
「あ…兄上……。謀りましたね!一体いつからなんです……私を破滅に追い込む計画を立てたんですね!卑怯者!!」
ルドヴィックの言葉が会議室に響き渡ったが、ルドヴィックに味方する者は部屋にいた貴族達の中で誰一人としていなかったである。
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