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男達の内緒話
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墓地の墓標を眺めながら、佇んでいると後ろから声がした。
「やっぱりここにいたのか」
振り替えると懐かしい二人がいた。
「まあな、出発する前の別れの挨拶っていう奴だよ」
「君でも感傷に浸る事があるのか?何だか似合わないよ。気持ち悪いから」
「相変わらず酷い奴だな。アンドレ」
「ハハ、そう言うなよ。王宮では、お互い軽口なんか叩けない立場だろ」
「まあな、クリーク宰相閣下」
「止せよ、茶化すな。ウィストン」
「本当、変わらないよな。ウィストンは、羨ましいよ。何にも縛られない生き方を選んで、今も自由だ」
「まあ、アンドレ。仕方がなかったんだ。そんな風に言うのは止めろ」
「ふん、分かっているさ。あの事件で、ウィストンがどれだけの苦痛を味わったか。俺達は知っている」
「世の中には、どうにもならない事もある、あれもその一つだ。」
「まあね。そうだ、セドリック君の娘の結婚が決まったそうだね。おめでとう。王太子殿下がお相手だろう。また妬まれるね」
「仕方がない、どうしても我が家の娘がお望みらしい。何度もお断りしたのだが」
「ハハ、本当は、彼女の娘が欲しかったんだろう。本当に親子揃って、どうしようもないなあ」
「でも、彼女の娘は、辺境伯が手に入れた」
「ああ、手の者から幸せに暮らしていると」
「本題に入ろうか。今回、何をしに辺境迄、出向くんだ。セドリック、ウィストン、只の視察じゃあ無いだろう。」
「実は、ウィストンが帰国したら、辺境伯爵家に来てほしいと懇願されたんだ。彼処の影は、代々優秀な者ばかりだ。こちらの思惑等、お見通しなのだろう」
「凄いね。彼は確かまだ28だろう。君達に匹敵する位なんて、怖いね」
「だからこその縁談だ。祖父や父親とは違う。飢えた狼の様な男だ。昔から賢しい、生意気な赤毛の小僧だったよ」
「ウィストン、君が認める程なのか」
「陛下も王女を宛がって、辺境を中央に取り込みたかったのだが、逆に先手を打たれた。隣国の縁談には、彼が裏で手を回した様だ。どうしてもヴィオレットの娘が欲しかった様だ」
「へぇ、宰相の君より先を見越せるのか。辺境に置いておくのは持ったいない気もするけど、逆にその方が安全かもな」
「赤毛の小僧の首に鈴を付けるのは、ジョゼフィーネの役割だ。あの溺愛ぶりなら、くだらない野心等持たないだろう」
「まあ、辺境伯爵家の強さは代々異常な程だし、彼らに憧れて向こうに留まる兵が近年多い、あの人もそうだろう?」
「ああ、先代当主を崇拝して、近衛騎士には、戻らないと断られた。惜しい人を取られたよ。彼を尊敬している騎士が、当時、皆挙って辺境に行ったから今では、王都の守りが薄くなる一方だ」
「今回の目的は、辺境伯にある打診があって、話し合いの場を設けたんだ。今後の為にね。辺境はこれからの王国にとって重要になってくる」
「まあ、ヴィオレットの娘なら、賢いだろう。上手く辺境伯の手綱を握ってくれるよ」
「そうなる事を祈るだけだ」
アンドレは、王宮へ足を向け、その場を後にした。
あの18年前に一度会った【赤毛の小僧】エルリック・ブラックボンド、彼は今、どんな青年になったのかと、思いを馳せながら、セドリックとウィストンは、辺境地に向かった
「やっぱりここにいたのか」
振り替えると懐かしい二人がいた。
「まあな、出発する前の別れの挨拶っていう奴だよ」
「君でも感傷に浸る事があるのか?何だか似合わないよ。気持ち悪いから」
「相変わらず酷い奴だな。アンドレ」
「ハハ、そう言うなよ。王宮では、お互い軽口なんか叩けない立場だろ」
「まあな、クリーク宰相閣下」
「止せよ、茶化すな。ウィストン」
「本当、変わらないよな。ウィストンは、羨ましいよ。何にも縛られない生き方を選んで、今も自由だ」
「まあ、アンドレ。仕方がなかったんだ。そんな風に言うのは止めろ」
「ふん、分かっているさ。あの事件で、ウィストンがどれだけの苦痛を味わったか。俺達は知っている」
「世の中には、どうにもならない事もある、あれもその一つだ。」
「まあね。そうだ、セドリック君の娘の結婚が決まったそうだね。おめでとう。王太子殿下がお相手だろう。また妬まれるね」
「仕方がない、どうしても我が家の娘がお望みらしい。何度もお断りしたのだが」
「ハハ、本当は、彼女の娘が欲しかったんだろう。本当に親子揃って、どうしようもないなあ」
「でも、彼女の娘は、辺境伯が手に入れた」
「ああ、手の者から幸せに暮らしていると」
「本題に入ろうか。今回、何をしに辺境迄、出向くんだ。セドリック、ウィストン、只の視察じゃあ無いだろう。」
「実は、ウィストンが帰国したら、辺境伯爵家に来てほしいと懇願されたんだ。彼処の影は、代々優秀な者ばかりだ。こちらの思惑等、お見通しなのだろう」
「凄いね。彼は確かまだ28だろう。君達に匹敵する位なんて、怖いね」
「だからこその縁談だ。祖父や父親とは違う。飢えた狼の様な男だ。昔から賢しい、生意気な赤毛の小僧だったよ」
「ウィストン、君が認める程なのか」
「陛下も王女を宛がって、辺境を中央に取り込みたかったのだが、逆に先手を打たれた。隣国の縁談には、彼が裏で手を回した様だ。どうしてもヴィオレットの娘が欲しかった様だ」
「へぇ、宰相の君より先を見越せるのか。辺境に置いておくのは持ったいない気もするけど、逆にその方が安全かもな」
「赤毛の小僧の首に鈴を付けるのは、ジョゼフィーネの役割だ。あの溺愛ぶりなら、くだらない野心等持たないだろう」
「まあ、辺境伯爵家の強さは代々異常な程だし、彼らに憧れて向こうに留まる兵が近年多い、あの人もそうだろう?」
「ああ、先代当主を崇拝して、近衛騎士には、戻らないと断られた。惜しい人を取られたよ。彼を尊敬している騎士が、当時、皆挙って辺境に行ったから今では、王都の守りが薄くなる一方だ」
「今回の目的は、辺境伯にある打診があって、話し合いの場を設けたんだ。今後の為にね。辺境はこれからの王国にとって重要になってくる」
「まあ、ヴィオレットの娘なら、賢いだろう。上手く辺境伯の手綱を握ってくれるよ」
「そうなる事を祈るだけだ」
アンドレは、王宮へ足を向け、その場を後にした。
あの18年前に一度会った【赤毛の小僧】エルリック・ブラックボンド、彼は今、どんな青年になったのかと、思いを馳せながら、セドリックとウィストンは、辺境地に向かった
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