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縁を切りましょう
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私はお見合いの後、自宅に帰らずデイビット様の屋敷にそのまま住むことを希望した。
家に帰ったらきっとホルスタイン親子が発狂しているだろうから。
あんな場所に帰るのはごめんだ。
「デイビット様、お願いです。服らしい服もないし私物はいっさい持っていません。
自宅に戻って荷造りはいらないし、お母様やお姉さまに何されるか分かりません。
お父様の様子を見てデイビット様もいろいろ気づかれたでしょう?」
デイビット様は困った顔をしている。
そりゃそうだろう、見合い当日に相手の家に連れて帰れなんて普通の人は言わないもんね。
でも、今常識にとらわれては生きていけない状況なの。
「何もいりません。お風呂もいりません、仕事も何とかします。
部屋を貸してもらうだけで大丈夫です。何でもします。
デイビット様、どうかお願いします。」
「…。分かった。何やら複雑な事情もありそうだしね。
君が17歳なら親の承認が必要だが、18歳だからもうこの国では成人だ。私も犯罪者扱いはされない。
そうだね、僕の屋敷に君の部屋を用意しよう。」
「あ、ありがとうございます!」
言ってみて良かった~!やっぱり希望を押す姿勢って大事だわ!
デイビット様から父親に、今日私を連れて帰ると説明してもらった。
父親は驚いていたけど、私と言うごくつぶしが居なくなればちょっとでも家の家計がマシになると思ったようだ。
「デイビット様、このような娘を引き取ってくださるのですか?
ああ、ありがたい申し出でございます。
この娘はどのように使っていただいてもかまいません。
ではでは、お約束の支度金と謝礼金ですが、あの~一括で払っていただいてもよろしいでしょうか?」
「…。分かった。あとで契約書をそちらに送る。
一括であれば支払い後はその後の請求は一切しないと明記するが良いな?」
「も、もちろんでございます!一括の方が支払いが滞る心配もございませんし…。
いやデイビット様はそのような事はないと思いますが、妻が早く金を用立てろとうるさいので。
ははは。この娘エレノアが居なくなれば本当に助かるのですよ。感謝申し上げます。」
私が居なくなっても、借金まみれの家計の元凶はどうみてもあのホルスタイン親子じゃん。
今後の家計が変わることは絶対ないと思う。
デイビット様の恩には報いたいけど、この家族からきれいさっぱり縁を切るのがよさそうだわ。
「デイビット様、お父様。デイビット様に嫁げば私はベネット家から関係のない人間となります。
その旨も契約書に記載していただいてよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだともエレノア。そうした方が良い。
もしデイビット様に愛想を尽かされてもベネット家には絶対戻ってくるではないぞ。
良いな?」
「ええ。分かったわ。
そうなれば自分で何とかするわ。
だからお父様たちもこれ以上デイビット様と関わるのはよしてくださいね?」
「ははは。当り前だろう。」
「こういうことなので、デイビット様申し訳ありませんが、私をベネット家から金輪際縁を切る手続きもお願いします。」
「ふむ。当人同士が良いのであれば私は構わない。ではそうしよう。」
「ありがとうございます。」
「デイビット様、何から何まで感謝いたします。
では、私はこれで失礼します。契約書とお約束の金銭を早めにお願いいたします。
では、お幸せに。」
父親はさっさとお見合い会場をあとにした。
本当に現金な大人だ…。まあ、これで不安材料もどっかに行ってくれたし安心だわ。
あとはデイビット様との生活に早くなじめるようにしよう。
大丈夫。
私はおかーはんに仕込まれた家事能力と、産みの女と暮らしたときのサバイバル能力がある。
デイビット様に捨てられたとしても生きていくポテンシャルはあるんだから。
がしかし…
デイビット様との生活はものすごく快適だった。
家に帰ったらきっとホルスタイン親子が発狂しているだろうから。
あんな場所に帰るのはごめんだ。
「デイビット様、お願いです。服らしい服もないし私物はいっさい持っていません。
自宅に戻って荷造りはいらないし、お母様やお姉さまに何されるか分かりません。
お父様の様子を見てデイビット様もいろいろ気づかれたでしょう?」
デイビット様は困った顔をしている。
そりゃそうだろう、見合い当日に相手の家に連れて帰れなんて普通の人は言わないもんね。
でも、今常識にとらわれては生きていけない状況なの。
「何もいりません。お風呂もいりません、仕事も何とかします。
部屋を貸してもらうだけで大丈夫です。何でもします。
デイビット様、どうかお願いします。」
「…。分かった。何やら複雑な事情もありそうだしね。
君が17歳なら親の承認が必要だが、18歳だからもうこの国では成人だ。私も犯罪者扱いはされない。
そうだね、僕の屋敷に君の部屋を用意しよう。」
「あ、ありがとうございます!」
言ってみて良かった~!やっぱり希望を押す姿勢って大事だわ!
デイビット様から父親に、今日私を連れて帰ると説明してもらった。
父親は驚いていたけど、私と言うごくつぶしが居なくなればちょっとでも家の家計がマシになると思ったようだ。
「デイビット様、このような娘を引き取ってくださるのですか?
ああ、ありがたい申し出でございます。
この娘はどのように使っていただいてもかまいません。
ではでは、お約束の支度金と謝礼金ですが、あの~一括で払っていただいてもよろしいでしょうか?」
「…。分かった。あとで契約書をそちらに送る。
一括であれば支払い後はその後の請求は一切しないと明記するが良いな?」
「も、もちろんでございます!一括の方が支払いが滞る心配もございませんし…。
いやデイビット様はそのような事はないと思いますが、妻が早く金を用立てろとうるさいので。
ははは。この娘エレノアが居なくなれば本当に助かるのですよ。感謝申し上げます。」
私が居なくなっても、借金まみれの家計の元凶はどうみてもあのホルスタイン親子じゃん。
今後の家計が変わることは絶対ないと思う。
デイビット様の恩には報いたいけど、この家族からきれいさっぱり縁を切るのがよさそうだわ。
「デイビット様、お父様。デイビット様に嫁げば私はベネット家から関係のない人間となります。
その旨も契約書に記載していただいてよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだともエレノア。そうした方が良い。
もしデイビット様に愛想を尽かされてもベネット家には絶対戻ってくるではないぞ。
良いな?」
「ええ。分かったわ。
そうなれば自分で何とかするわ。
だからお父様たちもこれ以上デイビット様と関わるのはよしてくださいね?」
「ははは。当り前だろう。」
「こういうことなので、デイビット様申し訳ありませんが、私をベネット家から金輪際縁を切る手続きもお願いします。」
「ふむ。当人同士が良いのであれば私は構わない。ではそうしよう。」
「ありがとうございます。」
「デイビット様、何から何まで感謝いたします。
では、私はこれで失礼します。契約書とお約束の金銭を早めにお願いいたします。
では、お幸せに。」
父親はさっさとお見合い会場をあとにした。
本当に現金な大人だ…。まあ、これで不安材料もどっかに行ってくれたし安心だわ。
あとはデイビット様との生活に早くなじめるようにしよう。
大丈夫。
私はおかーはんに仕込まれた家事能力と、産みの女と暮らしたときのサバイバル能力がある。
デイビット様に捨てられたとしても生きていくポテンシャルはあるんだから。
がしかし…
デイビット様との生活はものすごく快適だった。
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