前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

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修行に励んでいます

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部屋に入ってしばらくくつろがしてもらおう。

あ~あ、アンナってあんな子だったんだ。
まあ、ちょっと空気読めなくて面倒そうだな~とは思ってたけど。

やっぱりお金や不満が重なると人間本性が出るもんだよね。

私もこの快適な生活に慣れきって後で、デイビット様に捨てられても今日のアンナみたいにならないように気を付けよう。

勤勉、勤労、質素な生活、これが大事ってことやな。

そしてその後、アンナと会うことはなかった。

聞くところによると、デイビット様と執事の意向により即刻解雇でデイビット様の領地からは出て行ってもらったらしい。
横領の金額も領地の予算を揺るがすほどでもなかったので裁判は温情により取りやめだって。

そりゃそうなるよね、まだ運がいい方だ。

もうアンナの事は忘れよっと。



アンナの事件が落ち着いたころから、デイビット様の予告通り、私はこの世界の貴族のマナーや作法も教えてもらうことになった。

ダンスももちろん練習させられた。

初めは体が思うように動かなくて筋肉痛がひどかったけど徐々にコツを掴めば余裕も出て来た。

昔前世でおかーはんに日本舞踊を教えてもらったことを思い出すわあ。

ダンスもマナーも舞踊も何でも確立されたものにはちゃんと基本の動作があって意味がある。

意味が分かれば体が無意識に動けるようになるまで叩き込む。

つまり練習あるのみだ。

地味な作業で嫌気がさすけど、これが上達の近道って私は知ってる。

だって日本舞踊も、そろばんも、茶道も華道もピアノも手話も全部そうだったから。

だからさぼらない。

昨日より今日、今日より明日って成長してやる。継続は力なりってね。






ー-------------------------------------



「なあ、最近エレノアの様子はどうだい?」

私は執事に妻の様子を聞く。


「はい、各分野の学術的な勉強に加え、デイビット様の希望通り貴族のマナーやダンスの鍛錬も非常にまじめに受けておられます。」

「ふ~む。そうか…。」

「予想外でございますか?奥様はもっと短絡的なお方だとお思いでしたか?」

「そうだねえ。うん、そう思っていたんだろうな。
前世の話をされたときは驚いたけど、あのそろばんを見せられたら納得せざるを得ないな。」


「わたくしも、そう思います。」


「エレノアの振る舞いや受け答えがどうも軽すぎて、実はあまり信用していなかったし、期待もしていなかったんだ。
けど、何か違う。
彼女の柔軟性や適応力、判断力、行動力どれをとっても年頃の女の子とは別格だと思うんだ。」


「はい。わたくしも、そう思います。エレノア様の軽妙な振る舞いはご本人の人格もあるでしょう。
しかし、あの自己表現で今までの苦難を乗り越えてこられたとも考えられます。」


「なるほどね。確かに彼女は人と出来るだけ衝突せず利益を優先に考えることが可能なようだ。」

「そうでございますね。まあ、最終的に衝突することもありえますが…。」

「君は何か知っているのかい?」

「アンナが理不尽な要求をした際、エレノア様があり得ない暴言を吐いていたのを柱の陰で目撃していました。」


「それは何とも…。は、はは、ははははは!ああ、お腹が痛い。エレノアは本当に愉快な子だ。
まあ、それも彼女の美徳だな。はあ、おっかしい。」

「そう、でございますね。」

「では、君の目から見てエレノアは後継者として期待できそうかな?」

「そうでございますね。少し時期が早いかもしれませんが、エレノア様であればどのような環境の変化も味方につける強さをお持ちかと思います。」

「そうだね。では、今後私の社交や仕事の場に彼女を徐々に連れ出していこう。」

「承知いたしました。」


「あ、あと。申し訳ないがそろそろ私のわがままを君とエレノアに押し付けようと思う。大丈夫かな?」

「わたくしは何も異論はございません。どのような状況になってもあなた様にお仕えいたします。」

「ありがとう。君は本当に良き執事だ。私が居なくなってもエレノアを頼む。」


「承知いたしました。」

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