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2人で買い物
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朝、起きて化粧を施す。
そういえば、今日はディランと買い物に出るんだったな。
薄化粧をご所望だったっけ。
う~ん、このくらいで良いかな?
服も地味というかシンプルなものを選ぶ。
昨日クロエやイリスに着替えさせられた服みたいな清楚系ってあんまりないんだよね~。
今までの私の生活に需要がなかったんだよな~。
大人しい恰好で行けば外見で大人しい人認定されて色々吹っ掛けられて面倒だったし。
怖がられたり、警戒される位の方が合理的なんだよね。
まあ、今日は買い物だけだしこれで良いか。
調理場に行くとディランがすでに起きていた。
彼はせっせとパンを焼き、卵を焼くなど朝食の用意をこなしていた。
あの、何もせずいつもふらふらとどこかに出かけていたディランがこんなに変わるなんてね。
人って何がきっかけで変わるか分からないもんだな。
私に気が付いたディランが満面の笑顔で挨拶してくれる。
「エレノア!おはよう!
昨日はよく眠れたか?
今朝食が出来上がるからダイニングで待っていてくれ。」
「あ、お、おはよう。
じゃあ、私はダイニングでお皿出したり準備しておくね。」
お皿を出しながらため息が出る。
ああ、朝から無駄にイケメンで顔面、いや存在自体が眩しすぎる。
髪の毛は坊主だけど、顔が整っている分おしゃれに見えてしまう。
顔が良いと何でも決まるんだよね。短い髪型も、この前買ったシンプルな服も全部がおしゃれに見せてしまう。
手足がもともと長いし貴族の長男という事もあり品がある。
軍隊で引き締まった身体を持ったディランは今、ハイスペック男子ともいえる。
そんなハイスペ男子が朝から私のために料理をしてくれているこの状況…何か、申し訳なくていたたまれないわ。
こんな期間限定の契約妻で、最悪な噂しか流れていない女にここまでしてもらうと恐縮するから戸惑ってしまう。
だって、ここまで信頼されるとか思ってなかったし。
今までのように悪態をつかれ続けるより嬉しいことだけど、次に嫁いでくる未来の奥さんが今の状況知ったらいい気分じゃないでしょ。
契約と友情で成り立っていましたって言われても、朝ごはん作ってもらったり、手を繋いだり抱きしめ合ったりしてましたって聞いたらやっぱり嫌だよね。
そういえば、昨日気になる女性がいるような話していたわよね。
想い人がいるならそっちに全力でアタックすればいいのに。
今のディランならほとんどの世の女性は受け入れてもらえると思うんだけどなあ。
「何か、考え事?」
背後からディランの声がする。
振り返ると間近にディランの顔があった。
だから、近いんだってば。
ディランの両手はパンや朝のおかずのお皿でふさがれているが、それでも近い。
距離感2センチじゃん。
近すぎる…。
「ご、ごめん。ちょっと考え事してた。
すぐお皿並べ終わるから待ってね。」
恥ずかしくて汗が出そうだ。
自分がイケメンになっていることに自覚がないのだろうか…。
心臓に悪いからもう少し距離を空けて欲しいんだけどな。
ディランが用意してくれた朝食を済ませ、買い物に出かける。
ちなみに、通信ができる魔道具を試験合格時に軍から支給されたようで、
その道具を使ってエルヴィス様に連絡してくれたらしい。
今日の夜に屋敷に来てくれるそうだ。
これで、安心して買い物に行ける。
昼食を済ませ、部屋に戻り適当なアクセサリーを付け、髪を整える。
バッグを持って玄関に行くとディランが待っていてくれた。
「お待たせ。
リクエストの薄化粧でございます。
全体的にこんな感じで良かったかな?」
ちょっと茶化す感じでポーズをとった。
「…。」
あれ?
何故に無言?
ダメだった?
薄すぎた?
濃すぎた?
どっち?
何か言ってほしいんだけど、ポーズとかとって恥ずかしいじゃん。
「えっと、じゃあ行こうか。」
もう、相手せずはよ行こ。
ディランの反応がよく分らないので、もう無視して扉を開けようとすると後ろから手を引かれた。
「ごめん、朝からエレノアがずっと可愛いと思ってて…。
ポーズとかとるから…。
すごい衝撃で…どう反応したらいいか分からなくて…。」
衝撃って何?
衝撃映像って事?
褒められてるのかけなされてるのか分からないんだけど。
可愛いと思ってるとは何ぞや?
あまり深堀せんとこう。
「(よく分らないけど)そっか、分かった。
じゃあ、行こう。」
扉を開けようとするがディランに捕まれた手が離れてくれない。
ええ~何で動いてくれないの?
「絶対分かっていない。
今適当に返事しただろ。」
あ、バレてる。
だって、こういう性格やもん、仕方がないじゃん。
おかーはんにも何考えてるか分からん子って言われたけど、いちいち考えても分からんことは流すのが普通でしょ。
さて、出かける直前のこのタイミング。
開き直るかそんなことないよと言い訳するか…。
私は言い訳をしないといけないことをしたんだろうか。
ああ、面倒だな…。
とりあえず謝っとくか…。
「すまない…。エレノアは何も悪くない。
俺がちゃんと言葉に出来ていないのが悪いんだ。
こんなんだから駄目な男だったのに、同じ過ちをするところだった。」
ん?今までのディランとは違う?
軌道修正?
「その…。俺のリクエストを聞いてくれてありがとう。
エレノアがとても素敵で言葉に出来なかったんだ。
今日もすごく美しいよ。」
面と向かってここまで褒められると、て、照れる。
何と言うか…ディランの伝え方が軽々しい社交辞令じゃなくて本気モードに聞こえるから余計恥ずかしい。
「わ、分かったから。
じゃあ、行きましょう。」
「俺の気持ち本当に分かった?」
「分かった、本当に分かった。」
「本当に?」
ディランが私の顔を覗き込む度距離が近づいてドアップになってる。
「本当に!さあ、もう行こう!」
ディランの近距離に耐え切れず強引に扉を開けて外に出た。
若いイケメンに耐性がない私には酷な時間だった…。
もう、勘弁してくれ…。
デイビット様、あなたの息子さんは無自覚に私を困らす人ですよ…。
街に着いてから、必要な食材をてきぱきと買いまわる。
ディランが荷物を持ってくれるのでありがたい。
「買いたいもの揃っているか?」
「ええ、あのチーズを買えば今日必要な分は完了よ。
ディランのおかげで早く買えたわ。」
「そうか、なら良かった。
それにしてもさっきから色々な人物にチラチラとこちらを見られている気がするのだが…。
エレノアの事を見ているのか?」
「ええ?私を見ても何も徳がないわよ。
今は悪女姿じゃないし、私は目立ってないわ。
きっとディランがカッコいいからみんな気になって見てるんじゃない?」
「…。エレノアは俺の事を見栄えが良いと思っているのか?」
え?何その質問。
「世間一般で言うとディランは見栄えのいい男性の部類だと思うわ。
そうね、ここに居る10人がほぼ10人あなたの事をカッコいいと思うはずよ。」
「世間とか、10人とかではなくエレノアはどう思う?
俺はカッコいいのか?」
「ええ~っと。
まあ、かっこいいと思うわ。」
「それは本心か?」
「嘘を言ってどうするの?私に何の得もないわ。
軍隊に入ってから身体がすごく締まったでしょ?
それで、元が良かったのが更に良くなったって感じじゃないかしら。」
「…そう、なのか…。
エレノアは締まった体の方が好きか?」
「え?世の女性は大体そうなんじゃないの?」
「世の女性の意見より俺の目の前に居るエレノアの意見が知りたいんだ。」
「えええ~、私の意見?
あんまり男性の好みとか気にしたことないから分からないけど、まあ、不健康な人より健康的な人の方が素敵だと思うわ。」
「そうか、しかし父上はエレノアと出会った時すでに不健康な体だったはずだ。
それなのに愛したのは何故だ?」
「そんなの一言で説明できないわよ。
人を好きになる理由は一つではないでしょ?
ディランだって人を好きになるのに条件が必要?
そういう価値観の人も居ていいけど、私はそこまで器用じゃないから分からないわ。」
「…確かに…。」
「って言うか、社交は前世の仕事柄ビジネスとして出来るけど、
プライベートではちゃんとした恋愛経験はないんだからあまり聞かないで。
自分でも分からないのに人に教えられるほど場数踏んでません。」
「場数を…踏んでいない。
そうか…分かった。すまない。」
すまないと言いつつ、何故かディランが嬉しそうな顔をしている。
「分かってもらえれば良かった。
じゃ、そろそろ屋敷に帰ろうか?」
「いいや、まだエレノアと外で過ごしたい。
やりたいことも、あるんだ。」
「何?何かしたいとこあったの?」
「ああ、その…。」
ディランは少しもじもじしている。
ちょっと可愛い…。
「何かしら?
難しい事は出来ないけど、協力できることであれば遠慮なく言って良いわよ。」
ディランの様子が少し竹彦を彷彿とさせる。
ちょっとお姉さん気分になってしまうのは失礼かな。
「俺も、エレノアとお揃いの何かが欲しいんだ。」
そういえば、今日はディランと買い物に出るんだったな。
薄化粧をご所望だったっけ。
う~ん、このくらいで良いかな?
服も地味というかシンプルなものを選ぶ。
昨日クロエやイリスに着替えさせられた服みたいな清楚系ってあんまりないんだよね~。
今までの私の生活に需要がなかったんだよな~。
大人しい恰好で行けば外見で大人しい人認定されて色々吹っ掛けられて面倒だったし。
怖がられたり、警戒される位の方が合理的なんだよね。
まあ、今日は買い物だけだしこれで良いか。
調理場に行くとディランがすでに起きていた。
彼はせっせとパンを焼き、卵を焼くなど朝食の用意をこなしていた。
あの、何もせずいつもふらふらとどこかに出かけていたディランがこんなに変わるなんてね。
人って何がきっかけで変わるか分からないもんだな。
私に気が付いたディランが満面の笑顔で挨拶してくれる。
「エレノア!おはよう!
昨日はよく眠れたか?
今朝食が出来上がるからダイニングで待っていてくれ。」
「あ、お、おはよう。
じゃあ、私はダイニングでお皿出したり準備しておくね。」
お皿を出しながらため息が出る。
ああ、朝から無駄にイケメンで顔面、いや存在自体が眩しすぎる。
髪の毛は坊主だけど、顔が整っている分おしゃれに見えてしまう。
顔が良いと何でも決まるんだよね。短い髪型も、この前買ったシンプルな服も全部がおしゃれに見せてしまう。
手足がもともと長いし貴族の長男という事もあり品がある。
軍隊で引き締まった身体を持ったディランは今、ハイスペック男子ともいえる。
そんなハイスペ男子が朝から私のために料理をしてくれているこの状況…何か、申し訳なくていたたまれないわ。
こんな期間限定の契約妻で、最悪な噂しか流れていない女にここまでしてもらうと恐縮するから戸惑ってしまう。
だって、ここまで信頼されるとか思ってなかったし。
今までのように悪態をつかれ続けるより嬉しいことだけど、次に嫁いでくる未来の奥さんが今の状況知ったらいい気分じゃないでしょ。
契約と友情で成り立っていましたって言われても、朝ごはん作ってもらったり、手を繋いだり抱きしめ合ったりしてましたって聞いたらやっぱり嫌だよね。
そういえば、昨日気になる女性がいるような話していたわよね。
想い人がいるならそっちに全力でアタックすればいいのに。
今のディランならほとんどの世の女性は受け入れてもらえると思うんだけどなあ。
「何か、考え事?」
背後からディランの声がする。
振り返ると間近にディランの顔があった。
だから、近いんだってば。
ディランの両手はパンや朝のおかずのお皿でふさがれているが、それでも近い。
距離感2センチじゃん。
近すぎる…。
「ご、ごめん。ちょっと考え事してた。
すぐお皿並べ終わるから待ってね。」
恥ずかしくて汗が出そうだ。
自分がイケメンになっていることに自覚がないのだろうか…。
心臓に悪いからもう少し距離を空けて欲しいんだけどな。
ディランが用意してくれた朝食を済ませ、買い物に出かける。
ちなみに、通信ができる魔道具を試験合格時に軍から支給されたようで、
その道具を使ってエルヴィス様に連絡してくれたらしい。
今日の夜に屋敷に来てくれるそうだ。
これで、安心して買い物に行ける。
昼食を済ませ、部屋に戻り適当なアクセサリーを付け、髪を整える。
バッグを持って玄関に行くとディランが待っていてくれた。
「お待たせ。
リクエストの薄化粧でございます。
全体的にこんな感じで良かったかな?」
ちょっと茶化す感じでポーズをとった。
「…。」
あれ?
何故に無言?
ダメだった?
薄すぎた?
濃すぎた?
どっち?
何か言ってほしいんだけど、ポーズとかとって恥ずかしいじゃん。
「えっと、じゃあ行こうか。」
もう、相手せずはよ行こ。
ディランの反応がよく分らないので、もう無視して扉を開けようとすると後ろから手を引かれた。
「ごめん、朝からエレノアがずっと可愛いと思ってて…。
ポーズとかとるから…。
すごい衝撃で…どう反応したらいいか分からなくて…。」
衝撃って何?
衝撃映像って事?
褒められてるのかけなされてるのか分からないんだけど。
可愛いと思ってるとは何ぞや?
あまり深堀せんとこう。
「(よく分らないけど)そっか、分かった。
じゃあ、行こう。」
扉を開けようとするがディランに捕まれた手が離れてくれない。
ええ~何で動いてくれないの?
「絶対分かっていない。
今適当に返事しただろ。」
あ、バレてる。
だって、こういう性格やもん、仕方がないじゃん。
おかーはんにも何考えてるか分からん子って言われたけど、いちいち考えても分からんことは流すのが普通でしょ。
さて、出かける直前のこのタイミング。
開き直るかそんなことないよと言い訳するか…。
私は言い訳をしないといけないことをしたんだろうか。
ああ、面倒だな…。
とりあえず謝っとくか…。
「すまない…。エレノアは何も悪くない。
俺がちゃんと言葉に出来ていないのが悪いんだ。
こんなんだから駄目な男だったのに、同じ過ちをするところだった。」
ん?今までのディランとは違う?
軌道修正?
「その…。俺のリクエストを聞いてくれてありがとう。
エレノアがとても素敵で言葉に出来なかったんだ。
今日もすごく美しいよ。」
面と向かってここまで褒められると、て、照れる。
何と言うか…ディランの伝え方が軽々しい社交辞令じゃなくて本気モードに聞こえるから余計恥ずかしい。
「わ、分かったから。
じゃあ、行きましょう。」
「俺の気持ち本当に分かった?」
「分かった、本当に分かった。」
「本当に?」
ディランが私の顔を覗き込む度距離が近づいてドアップになってる。
「本当に!さあ、もう行こう!」
ディランの近距離に耐え切れず強引に扉を開けて外に出た。
若いイケメンに耐性がない私には酷な時間だった…。
もう、勘弁してくれ…。
デイビット様、あなたの息子さんは無自覚に私を困らす人ですよ…。
街に着いてから、必要な食材をてきぱきと買いまわる。
ディランが荷物を持ってくれるのでありがたい。
「買いたいもの揃っているか?」
「ええ、あのチーズを買えば今日必要な分は完了よ。
ディランのおかげで早く買えたわ。」
「そうか、なら良かった。
それにしてもさっきから色々な人物にチラチラとこちらを見られている気がするのだが…。
エレノアの事を見ているのか?」
「ええ?私を見ても何も徳がないわよ。
今は悪女姿じゃないし、私は目立ってないわ。
きっとディランがカッコいいからみんな気になって見てるんじゃない?」
「…。エレノアは俺の事を見栄えが良いと思っているのか?」
え?何その質問。
「世間一般で言うとディランは見栄えのいい男性の部類だと思うわ。
そうね、ここに居る10人がほぼ10人あなたの事をカッコいいと思うはずよ。」
「世間とか、10人とかではなくエレノアはどう思う?
俺はカッコいいのか?」
「ええ~っと。
まあ、かっこいいと思うわ。」
「それは本心か?」
「嘘を言ってどうするの?私に何の得もないわ。
軍隊に入ってから身体がすごく締まったでしょ?
それで、元が良かったのが更に良くなったって感じじゃないかしら。」
「…そう、なのか…。
エレノアは締まった体の方が好きか?」
「え?世の女性は大体そうなんじゃないの?」
「世の女性の意見より俺の目の前に居るエレノアの意見が知りたいんだ。」
「えええ~、私の意見?
あんまり男性の好みとか気にしたことないから分からないけど、まあ、不健康な人より健康的な人の方が素敵だと思うわ。」
「そうか、しかし父上はエレノアと出会った時すでに不健康な体だったはずだ。
それなのに愛したのは何故だ?」
「そんなの一言で説明できないわよ。
人を好きになる理由は一つではないでしょ?
ディランだって人を好きになるのに条件が必要?
そういう価値観の人も居ていいけど、私はそこまで器用じゃないから分からないわ。」
「…確かに…。」
「って言うか、社交は前世の仕事柄ビジネスとして出来るけど、
プライベートではちゃんとした恋愛経験はないんだからあまり聞かないで。
自分でも分からないのに人に教えられるほど場数踏んでません。」
「場数を…踏んでいない。
そうか…分かった。すまない。」
すまないと言いつつ、何故かディランが嬉しそうな顔をしている。
「分かってもらえれば良かった。
じゃ、そろそろ屋敷に帰ろうか?」
「いいや、まだエレノアと外で過ごしたい。
やりたいことも、あるんだ。」
「何?何かしたいとこあったの?」
「ああ、その…。」
ディランは少しもじもじしている。
ちょっと可愛い…。
「何かしら?
難しい事は出来ないけど、協力できることであれば遠慮なく言って良いわよ。」
ディランの様子が少し竹彦を彷彿とさせる。
ちょっとお姉さん気分になってしまうのは失礼かな。
「俺も、エレノアとお揃いの何かが欲しいんだ。」
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