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意味が分からない
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現場に到着した警備隊に起こった内容を説明し、子爵夫人は修道院で保護してもらえるように手配した。
あとは理事長に任せよう。
警備隊は麻薬や違法取引の現物を押収し、ケティにより意識朦朧状態の男たちを縛り上げていた。
誰が男たちをこんな状態にしたのか聞かれたが、隣国から雇った平民のボディガードが撃滅してくれたと嘘を報告した。
だって、侯爵令嬢が大暴れしたとなればケティは社交界に戻れなくなってしまうじゃん。
彼女は私を守るために傷を負いながら戦ってくれたのだから。
…あ~~~~っ!
もうっ意味わかんない!!
ケティもディルも私も意味わかんないっ。
ケティは隣で青白い顔をしながら何度もため息をついていた。
敵だけど、申し訳ない…。
早く休ませないと。
腐っても伯爵夫人。
警備隊に圧をかけて早々に帰らせるよう主張すると何とか小一時間で解放してもらえた。
イリスが呼んでくれていた馬車でマックレーン家の屋敷にケティを連れて帰る。
ほぼ同じタイミングでディルも屋敷に着いたようだ。
キャシーさんも居てくれたので、温かい飲み物やケティの手当て、掛ける毛布など色々と支度をしてくれた。
その間ケティはずっと自分のバッグを抱えている。
そして私、ケティ、ディル、イリスの4人で顔を合わせて話し合いの場となった。
ディルは何故屋敷に呼ばれたのか、どうしてケティが一緒で負傷しているのか全く知らされていないようで困惑していた。
イリスから先ほどまで起こっていた話をディルに伝える。
「俺が居ない間にそんな事があったのか…。
くそっ俺が何としてでも付き添うべきだった…。
ル、ルキアは無事なのか?」
ディルは心配そうに私を見つめる。
「私は大丈夫。
けど、私を守るためにケティが傷を負ってしまったわ…。
ケティ、本当にごめんなさい…。」
「このようなかすれ傷、気にしないでください。
私はルキア様をお守り通せたことを光栄に思います。
ルキア様が無事でよかった。」
そう言ってケティはディルの方を見る。
ディルは眉間にしわを寄せ不服そうな表情だ。
何で?
そうだ、ディルに確認しなくちゃいけないことがあるんだ。
ちゃんと白黒つけておかなければ。
「ディル、私はあなたに聞いておきたいことがあるの。」
「な、何だ?」
「ディルはケティが持っているバッグの中身を知っているの?」
そう、私があの時彼女に渡した口紅を知っているのなら、ケティはディルに求婚し私を罵った令嬢だってことも認識していると言う事になる。
どうなの?
ディル。
「ケイトのバッグ?彼女が今手にしているバッグの中身か?
…ああ、知っている。
それは彼女の大切なものだろう?」
…知ってたんだ…。
知っててケティを私に仕えさせるのを止めなかったんだ。
知ってて私たちの生活空間に入れたんだ。
何で…?
自分を慕っている女を妻と一緒に居させるってどういう神経してるの?
鈍感だからで済まされる話じゃないでしょ、これ。
私の選んだ夫は自分を好いている女性を競わせる悪趣味な男だったのだろうか…。
ああ…頭がぐらぐらする。
「ルキア!
大丈夫か!?」
ディルが私の手を触ろうとするがその手を払いのけた。
「触らないでっ…。
もうむちゃくちゃだわ。
はあ…お願い。
今夜は一人にして…。」
「何を言っているんだ、ルキア。
これから俺と軍の屋敷に帰るんだろう?」
「…無理よ。
っていうか、嫌よ。」
「ルキア、どうしたんだ!?」
「マスター、もうやめておけ。」
イリスが私たちの間に割って入ってくれた。
「そなたがすることは妻を連れて帰る事ではない。
こちらに居る高位貴族の負傷した令嬢を無事帰宅させることだ。
自分の妻を身を挺して守ってもらった礼をすぐにでもして来い。」
「な、何故だ!?
ルキア…!」
「そなた、軍人であり貴族であろう。
いつまでも世間知らずのボンクラ坊主のような駄々をこねるでない!」
イリスの目が完全に金色になりギリギリと重苦しい圧をかけている。
「…くそっ。分かったよ…。
行こうケイト。
君を送り届ける。」
「そうだ。
貴族たるもの礼儀を重んじろ。
ああそれとケイトリーン嬢、そなたの父に伝えろ。
明日父であるローゼ氏もマックレーン家に来い。
私が直々に会ってやる。
それと、若い者たちをいたずらに翻弄するのが侯爵の仕事か。と。」
「そ、それは…。」
「言いたいことはそれだけだ。
はよう帰れ。」
イリスはじろりとケティを睨む。
「は、はい…。
み、みなさま失礼します。」
ケティは足を引きずりながら屋敷を出て行こうとする。
「それは使わないのか?」
ディルがケイトに何かを聞いている。
「無様な恰好は見せたくありません。」
「…。」
ディルは舌打ちでもしそうな怖い顔でケティを見ていた。
ケティ、こんな時は男の人にしなだれかかるのが普通じゃないの?
あの二人、意味分かんないわ。
あとは理事長に任せよう。
警備隊は麻薬や違法取引の現物を押収し、ケティにより意識朦朧状態の男たちを縛り上げていた。
誰が男たちをこんな状態にしたのか聞かれたが、隣国から雇った平民のボディガードが撃滅してくれたと嘘を報告した。
だって、侯爵令嬢が大暴れしたとなればケティは社交界に戻れなくなってしまうじゃん。
彼女は私を守るために傷を負いながら戦ってくれたのだから。
…あ~~~~っ!
もうっ意味わかんない!!
ケティもディルも私も意味わかんないっ。
ケティは隣で青白い顔をしながら何度もため息をついていた。
敵だけど、申し訳ない…。
早く休ませないと。
腐っても伯爵夫人。
警備隊に圧をかけて早々に帰らせるよう主張すると何とか小一時間で解放してもらえた。
イリスが呼んでくれていた馬車でマックレーン家の屋敷にケティを連れて帰る。
ほぼ同じタイミングでディルも屋敷に着いたようだ。
キャシーさんも居てくれたので、温かい飲み物やケティの手当て、掛ける毛布など色々と支度をしてくれた。
その間ケティはずっと自分のバッグを抱えている。
そして私、ケティ、ディル、イリスの4人で顔を合わせて話し合いの場となった。
ディルは何故屋敷に呼ばれたのか、どうしてケティが一緒で負傷しているのか全く知らされていないようで困惑していた。
イリスから先ほどまで起こっていた話をディルに伝える。
「俺が居ない間にそんな事があったのか…。
くそっ俺が何としてでも付き添うべきだった…。
ル、ルキアは無事なのか?」
ディルは心配そうに私を見つめる。
「私は大丈夫。
けど、私を守るためにケティが傷を負ってしまったわ…。
ケティ、本当にごめんなさい…。」
「このようなかすれ傷、気にしないでください。
私はルキア様をお守り通せたことを光栄に思います。
ルキア様が無事でよかった。」
そう言ってケティはディルの方を見る。
ディルは眉間にしわを寄せ不服そうな表情だ。
何で?
そうだ、ディルに確認しなくちゃいけないことがあるんだ。
ちゃんと白黒つけておかなければ。
「ディル、私はあなたに聞いておきたいことがあるの。」
「な、何だ?」
「ディルはケティが持っているバッグの中身を知っているの?」
そう、私があの時彼女に渡した口紅を知っているのなら、ケティはディルに求婚し私を罵った令嬢だってことも認識していると言う事になる。
どうなの?
ディル。
「ケイトのバッグ?彼女が今手にしているバッグの中身か?
…ああ、知っている。
それは彼女の大切なものだろう?」
…知ってたんだ…。
知っててケティを私に仕えさせるのを止めなかったんだ。
知ってて私たちの生活空間に入れたんだ。
何で…?
自分を慕っている女を妻と一緒に居させるってどういう神経してるの?
鈍感だからで済まされる話じゃないでしょ、これ。
私の選んだ夫は自分を好いている女性を競わせる悪趣味な男だったのだろうか…。
ああ…頭がぐらぐらする。
「ルキア!
大丈夫か!?」
ディルが私の手を触ろうとするがその手を払いのけた。
「触らないでっ…。
もうむちゃくちゃだわ。
はあ…お願い。
今夜は一人にして…。」
「何を言っているんだ、ルキア。
これから俺と軍の屋敷に帰るんだろう?」
「…無理よ。
っていうか、嫌よ。」
「ルキア、どうしたんだ!?」
「マスター、もうやめておけ。」
イリスが私たちの間に割って入ってくれた。
「そなたがすることは妻を連れて帰る事ではない。
こちらに居る高位貴族の負傷した令嬢を無事帰宅させることだ。
自分の妻を身を挺して守ってもらった礼をすぐにでもして来い。」
「な、何故だ!?
ルキア…!」
「そなた、軍人であり貴族であろう。
いつまでも世間知らずのボンクラ坊主のような駄々をこねるでない!」
イリスの目が完全に金色になりギリギリと重苦しい圧をかけている。
「…くそっ。分かったよ…。
行こうケイト。
君を送り届ける。」
「そうだ。
貴族たるもの礼儀を重んじろ。
ああそれとケイトリーン嬢、そなたの父に伝えろ。
明日父であるローゼ氏もマックレーン家に来い。
私が直々に会ってやる。
それと、若い者たちをいたずらに翻弄するのが侯爵の仕事か。と。」
「そ、それは…。」
「言いたいことはそれだけだ。
はよう帰れ。」
イリスはじろりとケティを睨む。
「は、はい…。
み、みなさま失礼します。」
ケティは足を引きずりながら屋敷を出て行こうとする。
「それは使わないのか?」
ディルがケイトに何かを聞いている。
「無様な恰好は見せたくありません。」
「…。」
ディルは舌打ちでもしそうな怖い顔でケティを見ていた。
ケティ、こんな時は男の人にしなだれかかるのが普通じゃないの?
あの二人、意味分かんないわ。
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