前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

文字の大きさ
205 / 215

意味が分からない

しおりを挟む
現場に到着した警備隊に起こった内容を説明し、子爵夫人は修道院で保護してもらえるように手配した。


あとは理事長に任せよう。


警備隊は麻薬や違法取引の現物を押収し、ケティにより意識朦朧状態の男たちを縛り上げていた。



誰が男たちをこんな状態にしたのか聞かれたが、隣国から雇った平民のボディガードが撃滅してくれたと嘘を報告した。


だって、侯爵令嬢が大暴れしたとなればケティは社交界に戻れなくなってしまうじゃん。


彼女は私を守るために傷を負いながら戦ってくれたのだから。



…あ~~~~っ!


もうっ意味わかんない!!



ケティもディルも私も意味わかんないっ。



ケティは隣で青白い顔をしながら何度もため息をついていた。



敵だけど、申し訳ない…。


早く休ませないと。



腐っても伯爵夫人。


警備隊に圧をかけて早々に帰らせるよう主張すると何とか小一時間で解放してもらえた。




イリスが呼んでくれていた馬車でマックレーン家の屋敷にケティを連れて帰る。



ほぼ同じタイミングでディルも屋敷に着いたようだ。



キャシーさんも居てくれたので、温かい飲み物やケティの手当て、掛ける毛布など色々と支度をしてくれた。


その間ケティはずっと自分のバッグを抱えている。



そして私、ケティ、ディル、イリスの4人で顔を合わせて話し合いの場となった。




ディルは何故屋敷に呼ばれたのか、どうしてケティが一緒で負傷しているのか全く知らされていないようで困惑していた。



イリスから先ほどまで起こっていた話をディルに伝える。



「俺が居ない間にそんな事があったのか…。
くそっ俺が何としてでも付き添うべきだった…。
ル、ルキアは無事なのか?」


ディルは心配そうに私を見つめる。



「私は大丈夫。
けど、私を守るためにケティが傷を負ってしまったわ…。
ケティ、本当にごめんなさい…。」



「このようなかすれ傷、気にしないでください。
私はルキア様をお守り通せたことを光栄に思います。
ルキア様が無事でよかった。」



そう言ってケティはディルの方を見る。



ディルは眉間にしわを寄せ不服そうな表情だ。


何で?



そうだ、ディルに確認しなくちゃいけないことがあるんだ。


ちゃんと白黒つけておかなければ。




「ディル、私はあなたに聞いておきたいことがあるの。」



「な、何だ?」



「ディルはケティが持っているバッグの中身を知っているの?」



そう、私があの時彼女に渡した口紅を知っているのなら、ケティはディルに求婚し私を罵った令嬢だってことも認識していると言う事になる。



どうなの?


ディル。




「ケイトのバッグ?彼女が今手にしているバッグの中身か?
…ああ、知っている。
それは彼女の大切なものだろう?」



…知ってたんだ…。




知っててケティを私に仕えさせるのを止めなかったんだ。



知ってて私たちの生活空間に入れたんだ。



何で…?



自分を慕っている女を妻と一緒に居させるってどういう神経してるの?



鈍感だからで済まされる話じゃないでしょ、これ。



私の選んだ夫は自分を好いている女性を競わせる悪趣味な男だったのだろうか…。



ああ…頭がぐらぐらする。


「ルキア!
大丈夫か!?」



ディルが私の手を触ろうとするがその手を払いのけた。




「触らないでっ…。
もうむちゃくちゃだわ。
はあ…お願い。
今夜は一人にして…。」



「何を言っているんだ、ルキア。
これから俺と軍の屋敷に帰るんだろう?」



「…無理よ。
っていうか、嫌よ。」



「ルキア、どうしたんだ!?」



「マスター、もうやめておけ。」



イリスが私たちの間に割って入ってくれた。



「そなたがすることは妻を連れて帰る事ではない。
こちらに居る高位貴族の負傷した令嬢を無事帰宅させることだ。
自分の妻を身を挺して守ってもらった礼をすぐにでもして来い。」



「な、何故だ!?
ルキア…!」



「そなた、軍人であり貴族であろう。
いつまでも世間知らずのボンクラ坊主のような駄々をこねるでない!」


イリスの目が完全に金色になりギリギリと重苦しい圧をかけている。



「…くそっ。分かったよ…。
行こうケイト。
君を送り届ける。」



「そうだ。
貴族たるもの礼儀を重んじろ。
ああそれとケイトリーン嬢、そなたの父に伝えろ。
明日父であるローゼ氏もマックレーン家に来い。
私が直々に会ってやる。
それと、若い者たちをいたずらに翻弄するのが侯爵の仕事か。と。」




「そ、それは…。」



「言いたいことはそれだけだ。
はよう帰れ。」



イリスはじろりとケティを睨む。



「は、はい…。
み、みなさま失礼します。」



ケティは足を引きずりながら屋敷を出て行こうとする。



「それは使わないのか?」


ディルがケイトに何かを聞いている。



「無様な恰好は見せたくありません。」



「…。」


ディルは舌打ちでもしそうな怖い顔でケティを見ていた。



ケティ、こんな時は男の人にしなだれかかるのが普通じゃないの?




あの二人、意味分かんないわ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

ウッカリ死んだズボラ大魔導士は転生したので、遺した弟子に謝りたい

藤谷 要
恋愛
十六歳の庶民の女の子ミーナ。年頃にもかかわらず家事スキルが壊滅的で浮いた話が全くなかったが、突然大魔導士だった前世の記憶が突然よみがえった。  現世でも資質があったから、同じ道を目指すことにした。前世での弟子——マルクも探したかったから。師匠として最低だったから、彼に会って謝りたかった。死んでから三十年経っていたけど、同じ魔導士ならばきっと探しやすいだろうと考えていた。  魔導士になるために魔導学校の入学試験を受け、無事に合格できた。ところが、校長室に呼び出されて試験結果について問い質され、そこで弟子と再会したけど、彼はミーナが師匠だと信じてくれなかった。 「私のところに彼女の生まれ変わりが来たのは、君で二十五人目です」  なんですってー!?  魔導士最強だけどズボラで不器用なミーナと、彼女に対して恋愛的な期待感ゼロだけど絶対逃す気がないから外堀をひたすら埋めていく弟子マルクのラブコメです。 ※全12万字くらいの作品です。 ※誤字脱字報告ありがとうございます!

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...