69 / 100
第2章
第8話 なんで止まったんだ?
しおりを挟む
魔樹が止まった…
「なんだ…?なんで止まったんだ?」
『情報提示。こちらに敵性体、個体名、陸草鰐が3体近づいて来ています。』
「なんか止まったね?」
「はい。どうしたんでしょう?」
優子達も、止まったことに気がついたようで、不思議そうに首を傾げながら周りを見ている。
(ナビさん、なんで止まったんだ?なにかあるのか?)
『回答提示。旅する魔樹大老の脅威になる敵性体が、旅する魔樹大老の感知範囲に侵入したのが原因です。
現在は、攻撃を受けた際に倒れないよう、地中に根を張り姿勢を安定させています。』
脅威ってことは、陸草鰐はこの木を相手に出来る程の大きさってことなのか?
もうそれは、ワニじゃなくて怪獣じゃないか…?
(ナビさん…陸草鰐ってそんなにデカイのか?俺はどうしたらいいんだ?)
『情報提示。陸草鰐の体長は5m程度、雑食性で咬合力が非常に強いため、成長途中の旅する魔樹大老にとっては、脅威になる存在です。
マスターであれば、毒液の檻による防壁を準備すれば、対処は可能です。』
思っていたより小さかったのと、対処出来ると聞いたので、少しだけ安心できた。
それならさっさと準備してこよう。
「優子、シーホ。魔樹が止まったのは、さっき話してた魔物が来るからみたいだ。」
「え?ワニがくるの?どこどこ?」
「やめ!バカか!落ちるぞ!」
「わ!引っ張る方が危ないよー」
いきなり枝の端から身を乗り出した優子の腕を、咄嗟に掴んで引き寄せる。
文句を言われたが、落ちたらどうする気なんだって話だ…考えなしに動くのはやめてほしい…
「落ちるよりはマシだ。それより、俺は下に降りて迎撃準備をしてくるから、みんなはここに…」
「なんで?私も行くよ?」
「わ、私だって!」
一々彼女達に指示していたら、それこそ手遅れになる。
いつナビさんから警告が来るかも分からないけど、そんなに時間はない筈だしね。
全員で行くとか、正直邪魔でしかない…危険になるだけだから、ここから動かないで欲しいんだが…
「ダメだ。下に降りても、優子達に出来ることはないだろ?危ないだけだからここにいろ。」
「私達にも出来ることはあるよ。危ないのはボンも一緒じゃん?」
シーホも頷いている…
言い合いしてる時間はないってのに…何で引いてくれないんだ?
『情報提示。陸草鰐の反応が移動速度を上げました。到着まで2分です。』
おいまじか!?
「ちょ!もう時間ねーから!?俺は行くけど絶対降りるなよ!?毒蔦縛!」
優子達の返事を聞かずに、毒蔦を出して枝の根元と自分の体を結び、枝の端から飛び出した。
掴んだ毒蔦に魔力を流すと、一気に毒蔦が成長し、ドンドン長く伸びて行く…
感じとしては、緩いバンジーみたいなものなんだが、思った以上に速度が出たため、少し冷や汗をかいてしまった…
地上に降り立つ少し前に、魔樹の幹を蹴り、少しだけ離れた場所に着地する。
ザ…ゴロゴロ…
「あ、危な…」
綺麗に着地出来ずに転がってしまった…
二度とこの降り方はしない…
ズン…ズン…ズン…
地面に降りると、さっきまで感じなかった振動を足の裏に感じる…
顔を上げると、こちらに向かって来ている陸草鰐達の姿が目に入った。
「ナビさん!罠の指示を!」
『要請受諾。毒液の檻の領域指定を開始します。旅する魔樹大老から離れ、接近中の魔物側に移動してください。』
ナビさんの指示通り、俺は魔樹に影響しない場所に毒液の檻によるバリケードを作っていく。
GURRRRRAAAA…
GYAAAAA…
『情報提示。接敵します。旅する魔樹大老の所まで戻って下さい。』
陸草鰐が近寄る前に、なんとか合計12個の細長い毒液の檻を魔樹の三方を囲むように配置することが出来たが、既に声が聞こえるくらいに近寄って来ている…
GAAAAAAAA!!
「おいおい…」
魔物の叫び声に振り向くと、2足歩行で土煙を上げて疾走する、陸草鰐の姿が見えた。
見上げるほどの大きさのワニは、口を大きく開けて迫ってくる…
「なんだ…?なんで止まったんだ?」
『情報提示。こちらに敵性体、個体名、陸草鰐が3体近づいて来ています。』
「なんか止まったね?」
「はい。どうしたんでしょう?」
優子達も、止まったことに気がついたようで、不思議そうに首を傾げながら周りを見ている。
(ナビさん、なんで止まったんだ?なにかあるのか?)
『回答提示。旅する魔樹大老の脅威になる敵性体が、旅する魔樹大老の感知範囲に侵入したのが原因です。
現在は、攻撃を受けた際に倒れないよう、地中に根を張り姿勢を安定させています。』
脅威ってことは、陸草鰐はこの木を相手に出来る程の大きさってことなのか?
もうそれは、ワニじゃなくて怪獣じゃないか…?
(ナビさん…陸草鰐ってそんなにデカイのか?俺はどうしたらいいんだ?)
『情報提示。陸草鰐の体長は5m程度、雑食性で咬合力が非常に強いため、成長途中の旅する魔樹大老にとっては、脅威になる存在です。
マスターであれば、毒液の檻による防壁を準備すれば、対処は可能です。』
思っていたより小さかったのと、対処出来ると聞いたので、少しだけ安心できた。
それならさっさと準備してこよう。
「優子、シーホ。魔樹が止まったのは、さっき話してた魔物が来るからみたいだ。」
「え?ワニがくるの?どこどこ?」
「やめ!バカか!落ちるぞ!」
「わ!引っ張る方が危ないよー」
いきなり枝の端から身を乗り出した優子の腕を、咄嗟に掴んで引き寄せる。
文句を言われたが、落ちたらどうする気なんだって話だ…考えなしに動くのはやめてほしい…
「落ちるよりはマシだ。それより、俺は下に降りて迎撃準備をしてくるから、みんなはここに…」
「なんで?私も行くよ?」
「わ、私だって!」
一々彼女達に指示していたら、それこそ手遅れになる。
いつナビさんから警告が来るかも分からないけど、そんなに時間はない筈だしね。
全員で行くとか、正直邪魔でしかない…危険になるだけだから、ここから動かないで欲しいんだが…
「ダメだ。下に降りても、優子達に出来ることはないだろ?危ないだけだからここにいろ。」
「私達にも出来ることはあるよ。危ないのはボンも一緒じゃん?」
シーホも頷いている…
言い合いしてる時間はないってのに…何で引いてくれないんだ?
『情報提示。陸草鰐の反応が移動速度を上げました。到着まで2分です。』
おいまじか!?
「ちょ!もう時間ねーから!?俺は行くけど絶対降りるなよ!?毒蔦縛!」
優子達の返事を聞かずに、毒蔦を出して枝の根元と自分の体を結び、枝の端から飛び出した。
掴んだ毒蔦に魔力を流すと、一気に毒蔦が成長し、ドンドン長く伸びて行く…
感じとしては、緩いバンジーみたいなものなんだが、思った以上に速度が出たため、少し冷や汗をかいてしまった…
地上に降り立つ少し前に、魔樹の幹を蹴り、少しだけ離れた場所に着地する。
ザ…ゴロゴロ…
「あ、危な…」
綺麗に着地出来ずに転がってしまった…
二度とこの降り方はしない…
ズン…ズン…ズン…
地面に降りると、さっきまで感じなかった振動を足の裏に感じる…
顔を上げると、こちらに向かって来ている陸草鰐達の姿が目に入った。
「ナビさん!罠の指示を!」
『要請受諾。毒液の檻の領域指定を開始します。旅する魔樹大老から離れ、接近中の魔物側に移動してください。』
ナビさんの指示通り、俺は魔樹に影響しない場所に毒液の檻によるバリケードを作っていく。
GURRRRRAAAA…
GYAAAAA…
『情報提示。接敵します。旅する魔樹大老の所まで戻って下さい。』
陸草鰐が近寄る前に、なんとか合計12個の細長い毒液の檻を魔樹の三方を囲むように配置することが出来たが、既に声が聞こえるくらいに近寄って来ている…
GAAAAAAAA!!
「おいおい…」
魔物の叫び声に振り向くと、2足歩行で土煙を上げて疾走する、陸草鰐の姿が見えた。
見上げるほどの大きさのワニは、口を大きく開けて迫ってくる…
0
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる