極左サークルと彼女

王太白

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 数日後、辰夫が不慮の事故で亡くなったという知らせが、サークル員に広まった。
「ちょっと、どういうことですか? 先輩は、交通ルールをきちんと守る人だったのに」
 寅雄は他の先輩たちに事情を聞こうとしたが、他の先輩たちはいずれも、「いや、実はおれたちも詳しく知らないんだ。ただ、極左組織の発表だというだけで」と繰り返すだけだった。それどころか、何か目に見えない魔物にでも、おびえているようだった。
(おかしい。これは絶対、裏で何かある)
 寅雄は他の先輩たちを当てにせずに、自分で調べてみることにした。
 サークルは、基本的に言論の自由が保障されており、上級生による下級生への不当な介入やイジメはない。もちろん、それは上位機関である極左組織も同様で、表面的にはサークル員は自由意志で極左組織に支持を表明しているように見える。しかし、その表情には、明らかに本心からの言葉ではない、よそよそしさが見てとれた。
 そこで寅雄は、ちょっとしたトリックを考えた。独裁者のヒトラーは、オカルト好きだったという例に漏れず、サークル員はだいたい、オカルト好きである。そこを利用してみるのだ。まず、何くわぬ顔をして、
「先輩方、ふさぎこんでいても仕方ないですよ。気晴らしに飲みにでも行きませんか?」
と誘ってみた。先輩たちは、「そうは言ってもな……」などと参加をしぶっていたが、寅雄が「俺の行きつけの店ですよ。俺の先輩だって言えば、割引してくれますから」とダメ押しすると、「そうだな。辰夫のことで、いつまでもふさぎこんでてもダメだ。行こう」と、ようやく飲み会に行くことを同意した。
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