そして、夜明けが訪れた

いといしゅん

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お気に入りのケーキ屋

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結局、僕は小泉が起きるまでの1時間程度の間ひたすら理性と戦っていた。
そのせいか、僕はまだ朝だというのにどっと疲れていた。
今は、朝食を小泉が作ってくれている。
僕はというと、ソファーで横になっていた。
すると、台所から声が飛んできた。
「朝から疲れたような顔してるけど、どうしたの?」
「誰のせいで疲れたと思ってるの?」
「UNOで負けた惺のせい」
「たしかにもとたどればそうだけど、僕の横で寝たのはお前だ」
「起きたら隣に女の子がいるんだよ?嬉しくないの?」
「っ……、別に嬉しくないけど」
とぶっきらぼうに答えると、
「今間があったってことはうれしいんだね」
と、ニヤニヤしながら小泉が言ってきた。
今日は、朝あんなことがあったので小泉がよくからかってくる。
今のようにからかわれたのは、 今日既に4回だ。
「惺をからかうのやっぱ楽しいね」
と小泉が笑顔で言ってくる。
こういう笑顔を見て、やっぱり可愛いよなと思ってしまう。
⁉︎
まただ、今日の朝の出来事から小泉を変に意識するようになっている。
僕は、深呼吸をする。
そうして僕が落ち着いた時、
「出来たよー!どうぞ、召し上がれ」
と、小泉が料理を持ってきた。
今日の朝食は、少しずつ溶けているバターの乗ったトーストと
半熟の目玉焼き、そして良い匂いを漂わせているコンソメスープ。
といういかにも洋食といったようなメニューだった。
「いただきます」
そう言って僕らは、食べ始める。
やはり、誰かと食べる食事は、いつもよりも美味しく感じるのだなと身にしみて感じたのだった。

-------------

朝食を食べ終わり、僕らはゴロゴロしていた。
すると、突然小泉が、
「駅の近くにあるケーキ屋、行こうよ」
と提案してきた。
駅の周辺にはケーキ屋がいくつかあるため店の名前を聞くと小泉は、
「……………」
と言った。
その店の名前を聞いて僕は、少し驚いた。
その店は、ほとんど人通りのない駅の裏にポツンとある店で、
客がほとんどこない店なのだが、僕は、そこのケーキ屋がお気に入りで度々訪れるのだ。
だが、いつ行っても他の客は居らず他に知っている人は少ないと思っていたのだが、
その店の名前を小泉が言ったのでびっくりしたのだ。
「小泉、そこの店行ったことある?」
「行ったことかぁ…、あるっちゃあるけどないっちゃない」
と曖昧な答えを出してきた。
僕はそれを疑問に思いながらも
「それじぁ、準備してくるね」
と言い残し、ケーキ屋へ行く準備をしに、自分の部屋へ戻るのだった…

-------------

「なんで歩くのそんな早いの~」
と小泉が愚痴をこぼしながらついてくる。
「小、中、高とずっと歩いて登下校してたからな」
と言いながら止まって小泉を待ってやる。
今、僕と小泉は、駅の近くにあるケーキ屋へ向かっている。
わざわざ電車を使う距離でもないので歩いて行くことになった結果が現状だ。
10秒ほど待つと、小泉が追いついたので進行を開始しようとすると、
「待って、……はー…はー……」
と言いながら小泉は、悲願するような目で待ってと訴えかけてくるので、
さすがにスピードを合わせてやる。
小泉が走ってもいないのに疲れているのを見てもうちょっと運動しろよ。と思う。
まぁ、僕も人のことをあまり言うことはできないが…

それから、15分ほど歩くと、店に到着した。
「ほら、店に到着したよ。」
と、疲れ切った表情をしている小泉に対して僕が言うと、小泉は安堵のため息を漏らしていた。
その様子を苦笑しながら僕は、ケーキ屋の扉を開けるのだった…
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