使えないと思った僕のバフはパッシブでした。パーティーを追い出されたけど呪いの魔導士と内密にペアを組んでます

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
60 / 63

第60話 真の目的

しおりを挟む
 レモンスさんが更におかしくなった……。どう見ても作戦失敗だよね?

 『彼の勝利とはすなわち、親への復讐だ。それが叶ったという事か? まさか!』

 え? 何?

 『君は囮に使われたんだ!』
 「まさか、我々をここにおびき寄せる為の誘導か!」

 リレイスタルさんとディルダスさんが同時に叫んだ。
 レモンスさんは、何も答えないけどニヤリとした。

 「え? どういう事?」
 「君がここに来ると言えば我々もここについて来ると睨んだ。今回満月の夜が君に声を掛けたが、そうでなければレモンスが声を掛け俺たちに知らせたのだろう。そうすれば、結果は同じ」
 『ここで戦闘をしている間に、街は大変な事になっているって寸法じゃないのか?』
 「え? じゃ今頃モンスターが街に向かっているの?」
 「それじゃ目立ちすぎるだろう」

 僕が驚いて言うと、ロメイトさんがそう返しレモンスさんを睨みつけた。

 『そうか! スライムだ! あれなら倒せば魔素酔いさせられる。小さいから夜のうちに移動させておけばなんとかなるだろう。予行練習はここではなく、街の方の事だったんだ!』
 「街にスライム!?」
 「何! しまった! そういう事か!」

 僕が叫ぶとディルダスさんは、色のついた狼煙を打ち上げた。赤色だ。

 「今更行っても遅いよ。使っていない倉庫にぶち込んであったんだ。今日、そこを開けるように言ってある」
 『まずいな。君は虚偽をしているからな』

 へ? 虚偽?

 『魔素酔いしたスライムをなんとか倒せたと言っただろう。ディルダス達もレモンスもそう思っているかもしれないが、実際は魔素酔いしたモンスターを倒せる者がいなければ、スライムとて倒せない』

 そうだった! どうしよう。

 『もしここにいる者しか倒せる者がいないならどうにもならんだろう。まあ倒せたとしても魔素を振りまくだけで、どうにもならないだろうけどな。どれくらいの数のスライムかわからないが、それこそ『女神の雷』出番ではないか?』

 でも街に行くのに時間がかかりすぎるよ。村に戻って街に行って……。

 『ここから直接街に行けばいい。道がないか聞いてみろ。ここがフェニモード家の土地なら街から来れる様になっているかもしれん』
 「そっか! ねえ、ここから街に行く道ってある?」

 僕が急にそんな事を聞くもんだから全員、驚いて僕を見た。

 「お前が行ってもどうにもならないだろう? スライムだが魔素酔いしているのだからな」

 僕が魔素酔いしたスライムに襲われた事を知らないジグルさんがそう言うと、他の知らない者達もうんうんと頷く。

 「そこに道が見えるだろう? あれが街に続く道だ。だが途中に大きな川があり、跳ね橋がかけてある。だがフェニモード家の者しか使う事が……って、行っても渡れんぞ!」

 ディルダスさんが指さした先を目指し、話している途中だけど僕は駆け出した。

 「俺達がついていきます。リトラ行くぞ」
 「OK!」
 『跳ね橋があるようだがどうする気だ? きっと我々では動かせないぞ』

 なんとかジャンプで越せないかな?

 『なるほど。片方が降りているのなら可能性はあるな。橋が見えてきた。よかったな。向こう側しか上がってない』

 つまり川幅を半分で飛び越えられるって事だよね。このまま走った勢いもつけてジャンプすれば行ける!

 『しかし思ったより君は足が速いのだな。彼らが追い付けていないではないか』

 この一年間逃げ回っていたおかげかもね。バフで強化されているし、だからモンスターの攻撃って受けた事ないんだ。

 『ほう。これなら一時間ぐらいで下れるのではないか?』

 いやそれは無理。この速さをずっと維持できるわけないでしょ。

 『下りだからなんとかなるだろう! 急げ!』

 無理言わないでよ!

 僕は、川の目の前まで来た。橋は馬車一台分通る幅があるが、こちら側からは橋の半分までしか行けない。半分の橋は上げてあった。

 「ジャンプ!」

 僕は橋を蹴った!
 向こう岸の橋を避けてジャンプ。でないと、橋に激突しちゃうからね。
 って……。

 『大丈夫か。見事に転がっているが……』
 「う……」

 ジャンプして向こう岸に渡れたけど、着地に失敗して思いっきり転がった。

 「いったぁ。ハイヒール!」
 『覚えていてよかったな。でなければ走れないところだった』
 「うん。ハイヒールって凄い」

 僕は立ち上がり振り返る。まだ向こう岸に二人の姿は見えない。

 街には、チェミンさんもいるだろうし、親に復讐する為に街のみんなまで巻き込むなんて!

 『そうだな。ここは恩を売っておかねばな!』
 「違うから! もうどうして、そういう発想なのさ」

 僕は、文句を言いながら街に向かってまた走り出した。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

処理中です...