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第六章 真実と魔術師組織
第六十五話
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レオナールの部屋に入ると座るように言われ、ランフレッド以外はソファーに座った。
奥側の三人掛けのソファーにレオナール、その左横にルーファスが座り、後ろにランフレッドが立つ。レオナールの向かい側にはダグが、その横にティモシーが座った。
「あの、俺はお咎めなしなのでしょうか?」
ダグは聞きたい事を座ってすぐに質問した。村の人達が拉致された事を今まで黙っていた事に対し、何も言われていなく彼としては凄く疑問に思ったのである。
「不正を行った事については、私が関知するところではありませんので、後程陛下から述べられるでしょう。村が襲われた事については、魔術師もおり一人ではどうにもならなかったと思われます。今になってと思うところがありますが、あなたが魔術師だと考慮すると、それも致し方ないかと……。残念な事ですが、魔術師に対し世間は冷たいですからね。陛下もそこを考慮し寛大なお心遣いをして下さったと思います」
ダグはルーファスに聞いたのだが、答えたのはレオナールだった。だが聞きたい答えが聞けたので、礼を言って頭を下げた。
「さて、ここからは私の提案なのですが、ダグ、あなたのその力、私に貸して下さいませんか? ご両親共々、身の安全は保障致します。いかがでしょう?」
「力ですか……?」
レオナールに突然そう言われ、タグは驚く。その力とは、魔術師の力の事だろうと思うも何をさせる気なのかと、すぐには答えられない。
「あなたの村を襲った相手は、おそらく魔術師の組織です。あなた方が見つかれば、狙われる恐れがあります。もしよろしければ、あなたのご両親は我が国で保護しましょう。入国するのには、こちらが用意したアイテムが必要で、それは不正出来ません。そして、身体検査も行っております。国の中に居れば安全です」
ダグもそうだが、ティモシーも驚いた。魔術師の国と言われるだけあって、警戒態勢が凄い。容易には忍び込めず、魔術師だとしても難しそうに思われる。
「どうしてそこまで……」
「そんなに警戒しなくても宜しいですよ。魔術師だと知れれば、この世界では生きづらい。私は自身を魔術師だと明かし、行き場のなくなった魔術師達を保護しようと考えました。まあ、そんな事をしていれば、驚異の国なのは確かですが……。いかがでしょう?」
確かに身の安全は保障される、だがそれは、両親を人質に取られたのと同じで、裏切る事は許されない。えらく頭が回る人物だが、悪い人物ではない。と、ダグはレオナールの事を分析した。
どちらにしても自分が生きていると知れれば狙われる。せめて両親だけでも安全な場所に居られるのであればと、考えはまとまった。
「わかりました。宜しくお願いします」
ダグは立ち上がり、レオナールに頭を下げた。
「宜しくお願いします。ダグ」
レオナールもそう言ってほほ笑んだ。ダグは座り直す。
「話はまとまったか。では、このままダグは在籍させるよう父上に言っておこう。その方がこちらも都合がいいからな」
「え?」
また、ダグが驚いた。
「出来上がったモノも素晴らしかったが、我々は工程も見ていた。魔術を使わずとも一番ではなかっただろうが選ばれていただろう。まあ、何もお咎めなしとはいかないだろうが、父上もそのつもりだろう」
「ありがとうございます」
ルーファスの言葉に、ダグは素直に嬉しかった。薬師の腕も認められていた。そしてダグは、恩を返さなければと心の中でそっと誓う。
「では、今の状況をお話ししておきましょう」
「あの、ティモシーも話を聞くのですか?」
レオナールが話し出そうとすると、ダグはそう言った。さきほどまでは聴取だったが、これからの話は違う。ダグは、ティモシーの事が忘れられて、そのままここにいると思っていた。
(そう言えば、別に俺はここにいる必要ないよな)
そう思いティモシーは、レオナールを見ると、彼はにっこりと微笑んで頷いた。
「ティモシーは、当事者ですので、このまま聞いて頂こうと思います」
「当事者?」
不思議そうにダグは、ティモシーを見る。
「話を聞いて行けばわかります。ティモシーもそれで宜しいですね?」
問われているが、決定事項であるのは承知しているティモシーは頷いた。
レオナールは、今知りえている情報を話始める――。
奥側の三人掛けのソファーにレオナール、その左横にルーファスが座り、後ろにランフレッドが立つ。レオナールの向かい側にはダグが、その横にティモシーが座った。
「あの、俺はお咎めなしなのでしょうか?」
ダグは聞きたい事を座ってすぐに質問した。村の人達が拉致された事を今まで黙っていた事に対し、何も言われていなく彼としては凄く疑問に思ったのである。
「不正を行った事については、私が関知するところではありませんので、後程陛下から述べられるでしょう。村が襲われた事については、魔術師もおり一人ではどうにもならなかったと思われます。今になってと思うところがありますが、あなたが魔術師だと考慮すると、それも致し方ないかと……。残念な事ですが、魔術師に対し世間は冷たいですからね。陛下もそこを考慮し寛大なお心遣いをして下さったと思います」
ダグはルーファスに聞いたのだが、答えたのはレオナールだった。だが聞きたい答えが聞けたので、礼を言って頭を下げた。
「さて、ここからは私の提案なのですが、ダグ、あなたのその力、私に貸して下さいませんか? ご両親共々、身の安全は保障致します。いかがでしょう?」
「力ですか……?」
レオナールに突然そう言われ、タグは驚く。その力とは、魔術師の力の事だろうと思うも何をさせる気なのかと、すぐには答えられない。
「あなたの村を襲った相手は、おそらく魔術師の組織です。あなた方が見つかれば、狙われる恐れがあります。もしよろしければ、あなたのご両親は我が国で保護しましょう。入国するのには、こちらが用意したアイテムが必要で、それは不正出来ません。そして、身体検査も行っております。国の中に居れば安全です」
ダグもそうだが、ティモシーも驚いた。魔術師の国と言われるだけあって、警戒態勢が凄い。容易には忍び込めず、魔術師だとしても難しそうに思われる。
「どうしてそこまで……」
「そんなに警戒しなくても宜しいですよ。魔術師だと知れれば、この世界では生きづらい。私は自身を魔術師だと明かし、行き場のなくなった魔術師達を保護しようと考えました。まあ、そんな事をしていれば、驚異の国なのは確かですが……。いかがでしょう?」
確かに身の安全は保障される、だがそれは、両親を人質に取られたのと同じで、裏切る事は許されない。えらく頭が回る人物だが、悪い人物ではない。と、ダグはレオナールの事を分析した。
どちらにしても自分が生きていると知れれば狙われる。せめて両親だけでも安全な場所に居られるのであればと、考えはまとまった。
「わかりました。宜しくお願いします」
ダグは立ち上がり、レオナールに頭を下げた。
「宜しくお願いします。ダグ」
レオナールもそう言ってほほ笑んだ。ダグは座り直す。
「話はまとまったか。では、このままダグは在籍させるよう父上に言っておこう。その方がこちらも都合がいいからな」
「え?」
また、ダグが驚いた。
「出来上がったモノも素晴らしかったが、我々は工程も見ていた。魔術を使わずとも一番ではなかっただろうが選ばれていただろう。まあ、何もお咎めなしとはいかないだろうが、父上もそのつもりだろう」
「ありがとうございます」
ルーファスの言葉に、ダグは素直に嬉しかった。薬師の腕も認められていた。そしてダグは、恩を返さなければと心の中でそっと誓う。
「では、今の状況をお話ししておきましょう」
「あの、ティモシーも話を聞くのですか?」
レオナールが話し出そうとすると、ダグはそう言った。さきほどまでは聴取だったが、これからの話は違う。ダグは、ティモシーの事が忘れられて、そのままここにいると思っていた。
(そう言えば、別に俺はここにいる必要ないよな)
そう思いティモシーは、レオナールを見ると、彼はにっこりと微笑んで頷いた。
「ティモシーは、当事者ですので、このまま聞いて頂こうと思います」
「当事者?」
不思議そうにダグは、ティモシーを見る。
「話を聞いて行けばわかります。ティモシーもそれで宜しいですね?」
問われているが、決定事項であるのは承知しているティモシーは頷いた。
レオナールは、今知りえている情報を話始める――。
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