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「それでそいつを探して来いって言われて……Dランクになった」
「うん? どういう事?」
「実績があればDランクになれる」
「あ、いや、そうじゃなくて、なぜ探すと言われてDランク?」
「あ、そっか。どうやらこっそりDランクの仕事を受けて向かったようだって掴んでいた。だから後を追う為にDランクになって向かった」
という事は、その人もDランクだったんだ。
「で、見つけたんだけどそいつは毒で死んでいたんだ」
「え? 毒?」
「採取の仕事が毒のキノコだったんだ。その胞子に毒があって行った時には……」
「え!? よくアーズラッドは無事だったね」
「ツエルさん達に助けられた」
「あの人に?」
アーズラッドは、頷いた。
「解毒剤を持っていて俺は助かった。事情をツエルさんに話したら冒険者協会に言ってくれて、そのクラウンは解体になった」
「そうなんだ。その縁でシャドウに入ったの?」
「あぁ。ツエルさんにDランクなら入れるからって。でも結局、俺の出来る仕事はなくて。シャドウは、必ず冒険者協会を通した仕事だけど、チェックが入るんだ」
そう言えばそんな事をツエルさんが言っていたっけ。
「ランク序列で、請け負った仕事の一割をまず受けた人が受け取り、後は分配する仕組み。勿論全部分配はしない。クラウンで家を借りているので、家賃代とか食事代とかかかった経費を引いたのを分配する」
「うーん。それって結局貰えるの少ないって事?」
「前の所は、Eランクになってからはマイナスだったよ。逆にお金をむしり取られていた。俺を引き入れた奴は、新しい奴を連れて来たら借金を減らすと言われて俺を誘ったようなんだ」
「何それ……」
「お金を持っているってわかって、俺をクラウンに引き入れたみたいなんだ。だからお金はなくなっちゃってさ……」
「そんなクラウンがあるなんて……」
「稀にあるらしい」
「そうなんだ……」
「俺はDランクだけど実力が伴ってないからDランクの仕事すらこなせない。Eランク以下の仕事はほぼないし。だからツエルさんに連れて行ってもらったりしていたんだ」
そっか。だから一緒に来て、僕がいたから驚いたんだ。
「今回の仕事は、ツエルさんが選んでくれて至急の仕事だから割高なんだ。お前に手伝わせて悪いと思うけど、お前に頼んでお金を稼げって」
「え? ツエルさんが?」
そうだとアーズラッドは頷いた。
『抜け目ないやつね』
「いい人なんだよ。ただちょっとお金にがめつい所があるけど……。今回のお金は、ツエルさんに半分上げるつもりなんだ。本当は、一割全部って言いたいけど、お金ないし。引き受けてくれてありがとうな」
アーズラッドも苦労してるんだ。
僕も一人だったら同じ目にあっていたかもしれない。
「ねえ、僕達のクラウンに入る?」
『スラゼ! あなたの能力を彼に教える事になるわ』
「ダメ?」
『ダメよ! あなたはお人好し過ぎる!』
「そうだな。そっちの方がいいかもしれない。情けないけど、今の街に居たらずっとこのままだ」
『あのね。今の話、嘘かもしれないでしょう?』
え? なんで僕に嘘をつくのさ!
そう叫ぶところだった。
キッと、初めてラスを睨んだ。
嘘をついたのは、僕の方なのに!
『わ、悪かったわよ。でも、そうなった時、傷つくのはあなたなのよ?』
僕は、わかってると頷いた。
僕達は森に入り、Dランクの場所を目指す。
「うん? どういう事?」
「実績があればDランクになれる」
「あ、いや、そうじゃなくて、なぜ探すと言われてDランク?」
「あ、そっか。どうやらこっそりDランクの仕事を受けて向かったようだって掴んでいた。だから後を追う為にDランクになって向かった」
という事は、その人もDランクだったんだ。
「で、見つけたんだけどそいつは毒で死んでいたんだ」
「え? 毒?」
「採取の仕事が毒のキノコだったんだ。その胞子に毒があって行った時には……」
「え!? よくアーズラッドは無事だったね」
「ツエルさん達に助けられた」
「あの人に?」
アーズラッドは、頷いた。
「解毒剤を持っていて俺は助かった。事情をツエルさんに話したら冒険者協会に言ってくれて、そのクラウンは解体になった」
「そうなんだ。その縁でシャドウに入ったの?」
「あぁ。ツエルさんにDランクなら入れるからって。でも結局、俺の出来る仕事はなくて。シャドウは、必ず冒険者協会を通した仕事だけど、チェックが入るんだ」
そう言えばそんな事をツエルさんが言っていたっけ。
「ランク序列で、請け負った仕事の一割をまず受けた人が受け取り、後は分配する仕組み。勿論全部分配はしない。クラウンで家を借りているので、家賃代とか食事代とかかかった経費を引いたのを分配する」
「うーん。それって結局貰えるの少ないって事?」
「前の所は、Eランクになってからはマイナスだったよ。逆にお金をむしり取られていた。俺を引き入れた奴は、新しい奴を連れて来たら借金を減らすと言われて俺を誘ったようなんだ」
「何それ……」
「お金を持っているってわかって、俺をクラウンに引き入れたみたいなんだ。だからお金はなくなっちゃってさ……」
「そんなクラウンがあるなんて……」
「稀にあるらしい」
「そうなんだ……」
「俺はDランクだけど実力が伴ってないからDランクの仕事すらこなせない。Eランク以下の仕事はほぼないし。だからツエルさんに連れて行ってもらったりしていたんだ」
そっか。だから一緒に来て、僕がいたから驚いたんだ。
「今回の仕事は、ツエルさんが選んでくれて至急の仕事だから割高なんだ。お前に手伝わせて悪いと思うけど、お前に頼んでお金を稼げって」
「え? ツエルさんが?」
そうだとアーズラッドは頷いた。
『抜け目ないやつね』
「いい人なんだよ。ただちょっとお金にがめつい所があるけど……。今回のお金は、ツエルさんに半分上げるつもりなんだ。本当は、一割全部って言いたいけど、お金ないし。引き受けてくれてありがとうな」
アーズラッドも苦労してるんだ。
僕も一人だったら同じ目にあっていたかもしれない。
「ねえ、僕達のクラウンに入る?」
『スラゼ! あなたの能力を彼に教える事になるわ』
「ダメ?」
『ダメよ! あなたはお人好し過ぎる!』
「そうだな。そっちの方がいいかもしれない。情けないけど、今の街に居たらずっとこのままだ」
『あのね。今の話、嘘かもしれないでしょう?』
え? なんで僕に嘘をつくのさ!
そう叫ぶところだった。
キッと、初めてラスを睨んだ。
嘘をついたのは、僕の方なのに!
『わ、悪かったわよ。でも、そうなった時、傷つくのはあなたなのよ?』
僕は、わかってると頷いた。
僕達は森に入り、Dランクの場所を目指す。
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