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第49話 読めない相手

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 「私を殺そうとした?」

 「そんな……」

 マカリーも自分の推測が違い、自分の孫が直接の狙いかもしれないと思うと、もう誰が犯人かわからない。

 「もしかして……見ていた?」

 「見ていたとは?」

 ルナードの呟きにマカリーが聞いた。

 「一番最初のゴロツキ達に襲われた時の事。対処したのは私だ」

 「まさか調べ上げたのか!」

 マカリーは、ある最悪なシナリオが浮かんだ。
 精霊が掴んだ情報を元に、ゴロツキを送り込み確かめた。その時、ルナードの方が精霊を使い奴らを追い払った。
 それで気がついたのだ。あの時二人を助けたのがマカリーで、そのまま陛下が彼らに二人を預けたのを。普通はしない。あの時、こっそりとフィタードが訪ねている。
 混乱の中だから精霊を鎮める手助けに来た者だと思っていたが、違うと感づいた。お願いをしに来たのだ。そのお願いと引き換えに、二人を匿う。
 そんな条件と釣り合うお願いなんて一つぐらいしかない。

 ルナードが『魔女』だって事だ!

 「岩山で襲った時も、狙いは私だったって事? 欺くためにディアルディさんを狙っている様に思わせた。そうよ。殺す気があるのなら、最初の時に自分で来ればいい。その後、二度も自分で来ているのだから!」

 「あの時は、殺せなくてもそう思わせればよかったって事か……」

 ルナードに続き、ディアルディが悔しそうに続けた。

 「戻ろう! このまま行けば……」

 「殿下。それはできません」

 ルナードの殿下という言葉に、ディアルディは固まった。

 「殿下ってなんだよ! 俺は、王子になんて戻らない!」

 「それでもあなたは王族なのです。最後まで守らせて下さい。私が行かなければ、犯人がわかりませんよ」

 「行けばわかるのか? 精霊の力を使って小細工をしているかもしれない!」

 「それでもわかりますよ。もし全員同じ顔、同じ服装でもね」

 それを聞いたマカリーも驚いていた。

 「それと、私が死ぬと思っていたのならミルアビに化ける必要なんてないでしょうから死なない可能性も考えていたはずです。私が生きていれば、生き証人です」

 「なるほどな。相手は、一つも二つも思考が上みたいだな」

 マカリーが珍しくため息をついた。

 「では、俺も連れて来ると思ってるのか?」

 「さあ。連れて来た場合の対策も練っているかもしれない」

 でも私を殺そうとして、ディアルディさんを殺そうとしなかった理由は何だろう? 相手は、何を考えている?

 三人は、思ったより強敵かもしれない相手に、覚悟を決めなくてはいけなかった。結局、本当の目的の見当もつかないまま乗り込む事になったのだった。
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