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王子の話は唐突です 1
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突然ガーナラルド王子が地べたに座って、洞窟の壁に寄りかかった。
「少し休憩しようか」
「え?」
もう狩らなくていいのだからちゃちゃっと降りちゃえばいいだけだろうに。もしかして本当に疲れた? いや僕よりは体力はあるだろう。なにせ僕は、言われた事をこなしただけで、特段体力をつける事をしなかったから。
さすがに座った王子に立って下さい。行きましょうとは言えず座る事にした。
どこに座っていいかわからないけど、取りあえず横に腰を下ろす。
「君は、変わってるよな」
「そうですかね……」
またその話かよ。
「嫌なんだろう? ダンジョンハンターになるのが……」
「………」
え? ばれていた?
「君の態度を見れば、誰でも一目瞭然だ」
マジか。じゃレメゼールさんもわかっていたんだ。
って、レメゼールさんはいいとして、王子にバレたらダメだろう!
「す、すみません! 名誉な事なのに。スキルを授かったのに……ぜ、善処します」
「あ、いや。責めていない。ただまさか、君みたいな人がいるとは思ってもみなかったからな。学校に行っているなら、なりたいと思うものだと思ったからな」
確かにそうかもしれない。授かれば名誉な事で、授かってダンジョンハンターになりたいと思うのが普通だ。でも僕は――。
「僕の父の知り合いに、英雄と言われる人がいたんです。その人に会った事もあって、色んな話を聞いたんです。父さんも自慢してました。けど、亡くなりました。……それを知った時、英雄でも死んじゃうんだって知って怖くなった」
僕は俯いてそう言った。
あれは衝撃的だった。もしその人が、英雄でなければこんなに恐れなかったかもしれない。
「それは、君がいくつの時の事?」
「5歳です」
「5歳か。だったら学校に行くぐらいの時か」
僕は頷いた。
学校に行く直前ぐらいだったと思う。
教科書には死について触れてはいないかった。あったのは一か所だけ。「HPが0になる事は死を意味する」その一文だけだったんだ。
英雄でも死ぬことはあるなど、書いてはいない。
そうしたら教科書を読む気になれなかった。本当の事を書かれていないからだ。
「よほどショックだったんだな。会った事がある英雄か。……君は、このシステムに疑問を持ったのかと思っていたが、ちょっと違ったのだな」
「疑問? まあ確かになぜ死ぬこともあると教えてくれないとは思ったけど」
「そんな事を教えれば、しり込みするだろう?」
まあ確かに。僕みたいな人がいっぱい生まれるかもしれない。
「これは、呪いなんだ……」
左手を掲げてガーナラルド王子が言った。見つめている先はハンターリング。
「呪いですか?」
「あぁ、一度つけたら普通は外せない」
「え? 外せない?」
「そう。針が刺さったままだからな」
そうだった! 今は痛くないけど、刺さったままなの?
「ダンジョンハンターをしていれば、いずれ死ぬかもしれないという場面に直面するだろう。神に祈った所で助けてくれない」
「でしょうね……」
英雄さえ死ぬのだから当たり前だ。
って、なんでそんな話をするのだろうか?
「少し休憩しようか」
「え?」
もう狩らなくていいのだからちゃちゃっと降りちゃえばいいだけだろうに。もしかして本当に疲れた? いや僕よりは体力はあるだろう。なにせ僕は、言われた事をこなしただけで、特段体力をつける事をしなかったから。
さすがに座った王子に立って下さい。行きましょうとは言えず座る事にした。
どこに座っていいかわからないけど、取りあえず横に腰を下ろす。
「君は、変わってるよな」
「そうですかね……」
またその話かよ。
「嫌なんだろう? ダンジョンハンターになるのが……」
「………」
え? ばれていた?
「君の態度を見れば、誰でも一目瞭然だ」
マジか。じゃレメゼールさんもわかっていたんだ。
って、レメゼールさんはいいとして、王子にバレたらダメだろう!
「す、すみません! 名誉な事なのに。スキルを授かったのに……ぜ、善処します」
「あ、いや。責めていない。ただまさか、君みたいな人がいるとは思ってもみなかったからな。学校に行っているなら、なりたいと思うものだと思ったからな」
確かにそうかもしれない。授かれば名誉な事で、授かってダンジョンハンターになりたいと思うのが普通だ。でも僕は――。
「僕の父の知り合いに、英雄と言われる人がいたんです。その人に会った事もあって、色んな話を聞いたんです。父さんも自慢してました。けど、亡くなりました。……それを知った時、英雄でも死んじゃうんだって知って怖くなった」
僕は俯いてそう言った。
あれは衝撃的だった。もしその人が、英雄でなければこんなに恐れなかったかもしれない。
「それは、君がいくつの時の事?」
「5歳です」
「5歳か。だったら学校に行くぐらいの時か」
僕は頷いた。
学校に行く直前ぐらいだったと思う。
教科書には死について触れてはいないかった。あったのは一か所だけ。「HPが0になる事は死を意味する」その一文だけだったんだ。
英雄でも死ぬことはあるなど、書いてはいない。
そうしたら教科書を読む気になれなかった。本当の事を書かれていないからだ。
「よほどショックだったんだな。会った事がある英雄か。……君は、このシステムに疑問を持ったのかと思っていたが、ちょっと違ったのだな」
「疑問? まあ確かになぜ死ぬこともあると教えてくれないとは思ったけど」
「そんな事を教えれば、しり込みするだろう?」
まあ確かに。僕みたいな人がいっぱい生まれるかもしれない。
「これは、呪いなんだ……」
左手を掲げてガーナラルド王子が言った。見つめている先はハンターリング。
「呪いですか?」
「あぁ、一度つけたら普通は外せない」
「え? 外せない?」
「そう。針が刺さったままだからな」
そうだった! 今は痛くないけど、刺さったままなの?
「ダンジョンハンターをしていれば、いずれ死ぬかもしれないという場面に直面するだろう。神に祈った所で助けてくれない」
「でしょうね……」
英雄さえ死ぬのだから当たり前だ。
って、なんでそんな話をするのだろうか?
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