【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
62 / 245

◆059◆救出に来た三人

しおりを挟む
 「何立ち止まってるんだよ! 歩け!」

 「僕の友達だったんだ……」

 「は? 何言ってるんだお前」

 赤茶髪の男がそう返して来た。
 エジンと同じ反応……。彼も僕を殺そうとした!

 「もう! 何でほっといてくれないんだ!」

 「ぐわぁ!」

 僕は鞄からナイフを出し、振り回した! それが、身構えていなかった藍色の髪の腕をかすめる。

 「てめぇ!」

 「う……」

 藍色の髪の男に腹を蹴られ、僕は吹き飛ばされた!
 そして、二人して倒れた僕を蹴ってきた!

 「お前は、これから俺達の奴隷になるんだよ!」

 「モンスターを殺されて、泣いていたら仕事になんないだろうが!」

 どういう事? 奴隷? 仕事?
 殺すつもりはないみただけど、変な仕事させる気?

 「無駄な抵抗をしたらこうなるんだ! 覚えておけよ!」

 「おら、立てよ」

 グイッと腕を掴まれて、無理やり引っ張られる! 体中に激痛が走った!

 「痛い! 待って!」

 「つべこべ言わな……ぐわぁ!」

 赤茶髪の男がいきなり倒れ込んだ!
 僕を引っ張っていた藍色の髪の男が、ぐいっと僕を引っ張り辺りを見渡す。
 倒れた男を見ると、背中に矢が突き刺さっている!
 これってもしかして!!

 「クテュールを離せ!」

 森から現れたのは、ジェスロさん達だった!
 弓を構え叫んだのは、ギルドサブマスターのダイドさんだ! 助けに来てくれた!
 ギルドマスターのロドリゴさんもいる。報告じゃなくて二人を呼びに行ったの?

 「あきらめろ!」

 ロドリゴさんが叫ぶ。
 だけど僕を引きずり、藍色の髪の男は移動する。
 ダイドさんは、弓を構えながらジッと様子を伺っている。僕が盾になっているから撃てないんだと思う。

 ポトン。何かを落としたと思ったら、藍色の髪の男はそれを蹴った!
 丸いそれは、シューっと音を立てて白い煙を吐きながら転がる。

 「しまった!」

 そんな声が向こうから聞こえてくる。
 もう辺りは真っ白になって見えなくなっていた!
 僕は、突き飛ばされ地面に転がった!

 「大丈夫か?」

 ジェスロさんに抱き起された僕は、はいと頷く。
 辺りがクリアになっていく。見れば、中が真っ白になっている袋が地面にあった。きっと、あの丸い物を入れて煙を止めたんだ。
 いや、そんな分析をしてい場合じゃなかった!

 倒れている赤茶髪の男の側に立つ、ロドリゴさんとダイドさんを横目に僕は、倒れたジーンに駆け寄った。

 「ジーン! しっかりして!」

 ジーンは、ぴくりとも動かない。

 「ジーン?」

 恐る恐る手を伸ばしジーンに触れると暖かい。心臓もまだ動いている! 生きている!

 「お願いジーンを助けて!」

 懇願して僕は三人に叫んだ!
 でも、ロドリゴさんは首を横に振った。

 「あきらめろ」

 そして、無情な言葉をロドリゴさんは言ったのだった――。
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...