148 / 245
◆145◆一肌脱ぎましょう
しおりを挟む
「はい。どうぞ。まさかお昼時に訪ねて来るとはね」
僕の前に緑の物体をマドラーユさんは置いた。
森を後にし、速攻訪ねるとお昼時だったみたいで、ちょうど休憩するところだった。なので、僕もお昼をごちそうになる事に……。
「これって何ですか?」
「パンよ」
「パン!?」
丸い緑のパン。確かに香りはパンだ。
「それはね。私特性薬草パン。大丈夫よ。苦くないから」
苦くないって、食べられるのこれ? いや、薬草だから大丈夫なんだろうけど。
「結構おいしいよ」
もしかして昨日もこのパンだったの?
牛乳とパンで、僕達は昼ご飯を食べ始める。
「あ、そうだ。僕に何かよう?」
突然訪ねて来たので、イラーノはそう思ったみたい。勘がいい。
「モガードさん達が、僕をつけ回してたんだけど、どうやらイラーノを探していたみたいなんだ」
「俺? しつこいね」
「どうも今日はちょっと違ったみたいで、イラーノみたいな綺麗な顔立ちの20代ぐらいの冒険者の二人組が、イラーノを探していてどこにいるか聞かれた」
「え? 何で探しているの?」
「あぁ。モンスターハンターね」
僕達の会話を聞き、マドラーユさんが言った。
「モンスターハンター?」
「そう言われているのよ。モンスターの特性とか熟知していて、知識で倒すらしいわ。強いモンスターもお手の物の様よ。噂だけどね」
まああの二人なら目立つだろうから目立つ行動をすれば噂にはなるよね。
でも確か、エルフってモンスター側って言ってなかったっけ?
「何でそんな人が俺を探してるの?」
「わからない。だからあまり出歩かないでほしいと思って言いに来たんだ」
「なるほどねぇ。よし、私が一肌脱いであげよう!」
頼んでないのに、マドラーユさんは嬉しそうに言うとガサゴソと何やら探し始めた。僕達は、何だろうとジッとそれを見つめる。
「あったぁ。はいこれ」
マドラーユさんが、手にしていたのはペンダントだ。
小さいけど七色に光る宝石がついている。
「えっと……」
「これはね。存在が目立たなくなるマジックアイテムよ。あなた存在自体が目立つからこれを付ければ、そこら辺の冒険者になるわ」
「はぁ。ありがとうございます」
そういうマジックアイテムもあるんだ。
イラーノは、受け取ったペンダントを首に下げた。
でも僕と一緒に居れば、イラーノに辿り着くよね。
「あのさ。暫く別々に行動した方がいいんじゃないかな? 寝泊りも」
「え? そこまで?」
「うん。見つからないとなれば、僕をつけ回すと思うんだよね」
「でも……」
「あ、そうだ! ちょっと外の空気吸ってくるわ」
うん? マドラーユさんがそう言うと、席を立って外に出て行った。
話しやすいように、気を聞かせてくれたのかな?
「で、なんでそこまでする必要があるの?」
「二人は、エルフだよ。ルイユが言っていたから間違いない。父さんは、エルフと会っていたって聞いたけど、警戒もしていたみたいだから。あの人達は、イラーノに会ってみたいって言っていたけど、会いたい理由は別かもしれない」
「そっか。エルフか」
ちょっと会いたいかもという顔をイラーノはした。
気持ちはわかるけど、友好的な相手か確かめてからじゃないとダメな様な気がする。
「ルイユが、エルフの事詳しいみたいだから僕聞いてみるよ」
「うん。わかった。でも、出来れば連絡は取り合いたい」
「うーん。僕が近づけば居場所ばれちゃうからなぁ……」
「よーし! もう一肌脱いじゃおう!」
そう言ってドアを開けたマドラーユさんに、僕達は驚いて振り向いた。
隠れて聞いていましたね!
「連絡係をしてあげるわ。どう?」
「ありがたいですけど、どうしてそこまで……」
「大切な助手の為よ!」
イラーノが聞くと、うんうんと頷きながらマドラーユさんは、返して来た。
そういう訳で、暫くはイラーノと別行動となった。
僕の前に緑の物体をマドラーユさんは置いた。
森を後にし、速攻訪ねるとお昼時だったみたいで、ちょうど休憩するところだった。なので、僕もお昼をごちそうになる事に……。
「これって何ですか?」
「パンよ」
「パン!?」
丸い緑のパン。確かに香りはパンだ。
「それはね。私特性薬草パン。大丈夫よ。苦くないから」
苦くないって、食べられるのこれ? いや、薬草だから大丈夫なんだろうけど。
「結構おいしいよ」
もしかして昨日もこのパンだったの?
牛乳とパンで、僕達は昼ご飯を食べ始める。
「あ、そうだ。僕に何かよう?」
突然訪ねて来たので、イラーノはそう思ったみたい。勘がいい。
「モガードさん達が、僕をつけ回してたんだけど、どうやらイラーノを探していたみたいなんだ」
「俺? しつこいね」
「どうも今日はちょっと違ったみたいで、イラーノみたいな綺麗な顔立ちの20代ぐらいの冒険者の二人組が、イラーノを探していてどこにいるか聞かれた」
「え? 何で探しているの?」
「あぁ。モンスターハンターね」
僕達の会話を聞き、マドラーユさんが言った。
「モンスターハンター?」
「そう言われているのよ。モンスターの特性とか熟知していて、知識で倒すらしいわ。強いモンスターもお手の物の様よ。噂だけどね」
まああの二人なら目立つだろうから目立つ行動をすれば噂にはなるよね。
でも確か、エルフってモンスター側って言ってなかったっけ?
「何でそんな人が俺を探してるの?」
「わからない。だからあまり出歩かないでほしいと思って言いに来たんだ」
「なるほどねぇ。よし、私が一肌脱いであげよう!」
頼んでないのに、マドラーユさんは嬉しそうに言うとガサゴソと何やら探し始めた。僕達は、何だろうとジッとそれを見つめる。
「あったぁ。はいこれ」
マドラーユさんが、手にしていたのはペンダントだ。
小さいけど七色に光る宝石がついている。
「えっと……」
「これはね。存在が目立たなくなるマジックアイテムよ。あなた存在自体が目立つからこれを付ければ、そこら辺の冒険者になるわ」
「はぁ。ありがとうございます」
そういうマジックアイテムもあるんだ。
イラーノは、受け取ったペンダントを首に下げた。
でも僕と一緒に居れば、イラーノに辿り着くよね。
「あのさ。暫く別々に行動した方がいいんじゃないかな? 寝泊りも」
「え? そこまで?」
「うん。見つからないとなれば、僕をつけ回すと思うんだよね」
「でも……」
「あ、そうだ! ちょっと外の空気吸ってくるわ」
うん? マドラーユさんがそう言うと、席を立って外に出て行った。
話しやすいように、気を聞かせてくれたのかな?
「で、なんでそこまでする必要があるの?」
「二人は、エルフだよ。ルイユが言っていたから間違いない。父さんは、エルフと会っていたって聞いたけど、警戒もしていたみたいだから。あの人達は、イラーノに会ってみたいって言っていたけど、会いたい理由は別かもしれない」
「そっか。エルフか」
ちょっと会いたいかもという顔をイラーノはした。
気持ちはわかるけど、友好的な相手か確かめてからじゃないとダメな様な気がする。
「ルイユが、エルフの事詳しいみたいだから僕聞いてみるよ」
「うん。わかった。でも、出来れば連絡は取り合いたい」
「うーん。僕が近づけば居場所ばれちゃうからなぁ……」
「よーし! もう一肌脱いじゃおう!」
そう言ってドアを開けたマドラーユさんに、僕達は驚いて振り向いた。
隠れて聞いていましたね!
「連絡係をしてあげるわ。どう?」
「ありがたいですけど、どうしてそこまで……」
「大切な助手の為よ!」
イラーノが聞くと、うんうんと頷きながらマドラーユさんは、返して来た。
そういう訳で、暫くはイラーノと別行動となった。
0
あなたにおすすめの小説
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる