159 / 245
◇156◇イラーノの証明
しおりを挟む
「君は心配いらないわよ」
マドラーユさんが、イラーノに言った。
「魔法を所持している者は、魔力の容量も多くて回復早い。魔力を使うスキルを所持する者も魔力の回復はするけど、魔法を所持しているものよりは遅い。まあ私の様な錬金術師や鑑定師などは、魔力を回復させるアイテムで回復が一般的ね」
「そうだったんだ」
マドラーユさんの説明に、ぼそっとイラーノが呟く。
それなら確かに錬金術師のマドラーユさんが、魔力のポーションを持っているわけだ。
って、それって魔力感知のミサンガ装備出来なくない?
せっかく作ったのになぁ……。
「はぁ……」
「大丈夫? 結構具合悪いわよね? 私もつい没頭して飲み忘れちゃってよくなるわ、それ」
僕がため息をつくと、マドラーユさんが言った。
「どうする? 動けないなら部屋に戻る?」
「30分ぐらいで戻ると思うけど、ここで休んで行ってもいいわよ」
そうマドラーユさんは言うと、その間手伝って欲しいなって目つきで、ジッとイラーノを見ている。
『一旦、部屋に戻るわよ』
「いえ、帰ります!」
「あら、いいのに」
僕が言うと残念そうに、マドラーユさんは言った。
「あ、えっとこれ……」
「それはあげるわ。餞別。あぁもう、騎士団は何をしているのかしらね。ちゃんと仕事してよね。あぁいい助手が見つかったのに!」
イラーノがペンダントを外そうとすると、マドラーユさんが言った。困り顔で、イラーノが僕を見る。
僕は、頷いた。
いるいらないで、ここでやりあっても時間の無駄。くれるというのだから貰っておけばいい。
「じゃ、ありがたく頂きます。ありがとうございます」
「うんうん。で、君にはこれね」
さっきの魔力を回復するタブレットが入ったケースをくれた。
使いかけじゃないか……まあ、いいけど。
「あ、ありがとうございます」
「それ、あと10個ほど入っているから。あと、そのミサンガは装備しない方がいいと思うわよ」
「はい……」
「クテュール、立てる?」
「うん。大丈夫」
僕が立ち上がると、一応イラーノが支えてくれた。
「いつでも戻って来てね」
「はい。解決したら是非」
マドラーユさんに、イラーノがそう返すと、彼女は満足そうに頷いた。
『行くわよ』
僕達は、こっそりと抜け出した宿に、こっそりと戻った。
ベットに横になった僕は、目をつぶる。
まだちょっと、クラクラしていた。
もう魔力切れは勘弁だ。イラーノが羨ましい。
「主様。大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫。二人共ごめん」
「少し休みなよ」
僕は頷く。
ルイユは、人の姿になっていた。
「主様。さきほどのミサンガを頂けませんか?」
「いいけど。どうするの?」
僕は、ミサンガをルイユに渡す。
「私が、着けさせて頂きます」
「え? でも首に着けるにしても短いと思うけど」
「いえ。人の姿で着けますから腕ですよ」
「ずっとその姿でも大丈夫なの?」
「問題ありません。ただ、目立つだけです」
「そうなんだ……」
「宜しいですか?」
「うん。僕はかまわないけど」
ニッコリ微笑んだルイユは、僕が作ったミサンガを腕に着けた。
「あぁ。なるほど。これは凄く性能がいいんですね。これでは、魔力を膨大に消費するわけです」
「クテュールって優秀な錬金術師だね」
優秀なのかな?
自分用に作ったのに、使用出来ない物作ちゃったんだけど。
「イラーノ。自分の意思で、感知能力を下げる事が出来る様です。周りの景色が普通に見えるぐらいまで下げて見て下さい」
「簡単に言わないでよ。出来たらやってる!」
「あら、そうですか? でもそれをしないと、あなたでも魔力切れを起こすと思いますよ」
「え! マジ!? じゃ頑張ってみる!」
イラーノは、窓に寄ると外とにらめっこを始めた。
「な、なんか、ごめん」
「自分の意思でコントロール出来る優れものなのですから謝る必要はないです」
「じゃ、僕もコントロール出来れば、それ着けれるね!」
そう気づいて言うと、ルイユは首を横に振った。
「残念ながらそれを簡単に出来ない限り、このミサンガを着ければまた具合が悪くなります。魔力消費が半端ありませんので。イラーノもエルフの血を継いでいるから耐えられるのでしょう。あの二人が言う様に彼は、エルフの子なのでしょうね」
僕の作ったミサンガで、エルフの血を継いでいるって証明されちゃったって事?
それでエルフの村に入れるカギだから狙われている。
あ、そうだ。
そこに戻れば殺されないのかな?
ハーフだからじゃなくてカギだから。だったら戻れば殺す必要なくない?
いやそうなら、殺さずにつれ戻すか……。
うん? じゃなんでカギなら殺さなきゃいけないんだ?
やっぱりハーフだからなのかな?
イラーノって完全なエルフではないよね? ミミが僕達と同じなんだから。
そう考えると、あのエルフの二人が何故、イラーノの命を狙うのかがわからなくなった。
マドラーユさんが、イラーノに言った。
「魔法を所持している者は、魔力の容量も多くて回復早い。魔力を使うスキルを所持する者も魔力の回復はするけど、魔法を所持しているものよりは遅い。まあ私の様な錬金術師や鑑定師などは、魔力を回復させるアイテムで回復が一般的ね」
「そうだったんだ」
マドラーユさんの説明に、ぼそっとイラーノが呟く。
それなら確かに錬金術師のマドラーユさんが、魔力のポーションを持っているわけだ。
って、それって魔力感知のミサンガ装備出来なくない?
せっかく作ったのになぁ……。
「はぁ……」
「大丈夫? 結構具合悪いわよね? 私もつい没頭して飲み忘れちゃってよくなるわ、それ」
僕がため息をつくと、マドラーユさんが言った。
「どうする? 動けないなら部屋に戻る?」
「30分ぐらいで戻ると思うけど、ここで休んで行ってもいいわよ」
そうマドラーユさんは言うと、その間手伝って欲しいなって目つきで、ジッとイラーノを見ている。
『一旦、部屋に戻るわよ』
「いえ、帰ります!」
「あら、いいのに」
僕が言うと残念そうに、マドラーユさんは言った。
「あ、えっとこれ……」
「それはあげるわ。餞別。あぁもう、騎士団は何をしているのかしらね。ちゃんと仕事してよね。あぁいい助手が見つかったのに!」
イラーノがペンダントを外そうとすると、マドラーユさんが言った。困り顔で、イラーノが僕を見る。
僕は、頷いた。
いるいらないで、ここでやりあっても時間の無駄。くれるというのだから貰っておけばいい。
「じゃ、ありがたく頂きます。ありがとうございます」
「うんうん。で、君にはこれね」
さっきの魔力を回復するタブレットが入ったケースをくれた。
使いかけじゃないか……まあ、いいけど。
「あ、ありがとうございます」
「それ、あと10個ほど入っているから。あと、そのミサンガは装備しない方がいいと思うわよ」
「はい……」
「クテュール、立てる?」
「うん。大丈夫」
僕が立ち上がると、一応イラーノが支えてくれた。
「いつでも戻って来てね」
「はい。解決したら是非」
マドラーユさんに、イラーノがそう返すと、彼女は満足そうに頷いた。
『行くわよ』
僕達は、こっそりと抜け出した宿に、こっそりと戻った。
ベットに横になった僕は、目をつぶる。
まだちょっと、クラクラしていた。
もう魔力切れは勘弁だ。イラーノが羨ましい。
「主様。大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫。二人共ごめん」
「少し休みなよ」
僕は頷く。
ルイユは、人の姿になっていた。
「主様。さきほどのミサンガを頂けませんか?」
「いいけど。どうするの?」
僕は、ミサンガをルイユに渡す。
「私が、着けさせて頂きます」
「え? でも首に着けるにしても短いと思うけど」
「いえ。人の姿で着けますから腕ですよ」
「ずっとその姿でも大丈夫なの?」
「問題ありません。ただ、目立つだけです」
「そうなんだ……」
「宜しいですか?」
「うん。僕はかまわないけど」
ニッコリ微笑んだルイユは、僕が作ったミサンガを腕に着けた。
「あぁ。なるほど。これは凄く性能がいいんですね。これでは、魔力を膨大に消費するわけです」
「クテュールって優秀な錬金術師だね」
優秀なのかな?
自分用に作ったのに、使用出来ない物作ちゃったんだけど。
「イラーノ。自分の意思で、感知能力を下げる事が出来る様です。周りの景色が普通に見えるぐらいまで下げて見て下さい」
「簡単に言わないでよ。出来たらやってる!」
「あら、そうですか? でもそれをしないと、あなたでも魔力切れを起こすと思いますよ」
「え! マジ!? じゃ頑張ってみる!」
イラーノは、窓に寄ると外とにらめっこを始めた。
「な、なんか、ごめん」
「自分の意思でコントロール出来る優れものなのですから謝る必要はないです」
「じゃ、僕もコントロール出来れば、それ着けれるね!」
そう気づいて言うと、ルイユは首を横に振った。
「残念ながらそれを簡単に出来ない限り、このミサンガを着ければまた具合が悪くなります。魔力消費が半端ありませんので。イラーノもエルフの血を継いでいるから耐えられるのでしょう。あの二人が言う様に彼は、エルフの子なのでしょうね」
僕の作ったミサンガで、エルフの血を継いでいるって証明されちゃったって事?
それでエルフの村に入れるカギだから狙われている。
あ、そうだ。
そこに戻れば殺されないのかな?
ハーフだからじゃなくてカギだから。だったら戻れば殺す必要なくない?
いやそうなら、殺さずにつれ戻すか……。
うん? じゃなんでカギなら殺さなきゃいけないんだ?
やっぱりハーフだからなのかな?
イラーノって完全なエルフではないよね? ミミが僕達と同じなんだから。
そう考えると、あのエルフの二人が何故、イラーノの命を狙うのかがわからなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる