【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

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◆155◆原因は……

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 「よし! これで街を出ても大丈夫だよね」

 「うん。ちょっと歩きづらそうだけど」

 頷いてイラーノが言う。
 全体的に景色が緑っぽいもんね。

 「では、私は元の姿に戻っておきますね」

 そいうと、ポンっと元の姿に戻った。僕は、ルイユの首にマジックアイテムを付けた。

 「よしっと」

 そして、抱き上げる。
 僕達は、そっと宿を抜け出した。
 辺りは緑色だ。人だけじゃなく、マジックアイテムの類も緑っぽくなるらしく、何か緑のもやがかかっているみたい。

 「あ、そうだ。マドラーユさんの所に寄っていいかな? ネックレスを返したい」

 『それは、あの方のだったのですか』

 「目立たない様にって貸してくれた」

 とりあえず、マドラーユさんの所に寄る事にした。
 トントントン。

 「すみません」

 「どうぞ」

 イラーノがドアを叩くと珍しく、マドラーユさん自らドアを開けた。

 「あ、いえ。ペンダントを返しに……。返すの忘れていたから……」

 「いいから、入りなさいって」

 「………」

 僕達は、顔を見合わせ頷く。
 ここで騒いで見つかっても嫌だから部屋に入ってお礼を言って帰る事にした。

 うわぁ。見事に緑の山だ! これってやっぱりマジックアイテムだったんだ。
 使える物なのかわからないけど、積んである物はどれも緑色がかかっている。

 「凄い……」

 イラーノも驚いてジッと見ている。

 「で、わざわざそれを返しに戻って来たわけ?」

 あ、そうだった。
 何と言って最後にここを出て来たか聞いていなかったけど、マドラーユさんに街を出ると言ってあったんだ。

 「えっと。結局あの二人に出くわしちゃって……。本格的に逃げる事にしたので……」

 「本当に狙わているの? だったらそれあげるわよ」

 「え? いや、そういうわけには……」

 高そうだもんね。
 あれ? 変だな? フラフラする。

 『……主様!?』

 「クテュール!」

 「クテュールくん!」

 ハッと気づくと、イラーノの方に倒れ込んでいた!

 「あ……何か目が回る」

 『そうでした! 主様は人間! イラーノ! 主様の魔力感知のミサンガを外して!』

 「大丈夫? 突然どうしたの? え? ミサンガ?」

 「大丈夫? ミサンガがどうしたの?」

 ルイユに言われて、戸惑いながらも僕のミサンガを手からほどこうとするもほどけないようだ。

 『早くなさい!』

 「そう言われてもほどけない!」

 『仕方ないわね。その人から魔力を回復するポーションを分けて貰って! 錬金術師ならあるはずだから』

 「え? 魔力を? あ、えっと、魔力を回復するポーションを分けてもらえませんか? お金は払いますから」

 僕達のやり取り、いやイラーノの独り言? を目をぱちくりとして見ていたマドラーユさんは、さらに驚いた顔をした。

 「え? 魔力のポーション? 彼、魔力切れなの?」

 「えっと……」

 イラーノは困り顔だ。
 って、僕って魔力切れなの?

 『そうよ! 主様が動けないから早く』

 「あ、はい……たぶん」

 「わかったわ」

 そういうとポケットから入れ物を出すと、中身をポイッと僕の口の中に入れた!
 それは、じわぁっと口の中で溶けていく。
 イラーノは、まさか直接僕の口の中に入れるとは思っていなかったのか、僕の口をジッと見ている。

 「あの、今のは……」

 「大丈夫よ。タブレット型の回復薬。ポーションだと水だからこぼしちゃったら大変だから私は固形にしているのよ」

 「はぁ……。固形にもできるんだ」

 少し楽になったかも。
 本当に魔力が減って具合が悪くなったのか……。

 『主様。魔力感知のミサンガを外して下さい。たぶんそれは、使用している本人とミサンガを付けた者にしか、外せない様になっているようですので』

 それで、イラーノが外せなかったのか。自分でつけたもんね。
 僕は上半身を起こすと、ミサンガを外した。

 「ありがとうございました。あの。お金……」

 ジッと成り行きを見守っているマドラーユさんを見上げ僕は言った。

 「そのミサンガ、マジックアイテムなの?」

 僕の言葉を無視して聞いて来たけど、どう答えたらいいんだろう。たぶんマジックアイテムなんて、僕達じゃ買えないだろうから変に思うよね。

 「クテュールくんって魔法使えるの?」

 「え? 使えませんけど……」

 僕の答えを聞くとマドラーユさんは、何故か大きなため息をついた。

 「それをどうやって手に入れたかは聞かないけど、魔法を持たない者が魔力を消費するマジックアイテムを装備すればそうなるわよ」

 呆れた様に言うマドラーユさんだけど、そんな事ルイユは言ってなかったけど?
 チラッとルイユを見ると、珍しくしょぼんとしているように見える。

 『申し訳ありません。いつもの調子で主様は、人間だという事が頭から抜けていました』

 どうやらルイユも知っていたみたい。けど、いつもの主はエルフだから気にしていなかったって事かな。

 「俺は、平気なのになぁ……」

 ぼそりとイラーノは呟いた。
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