【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

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◆157◆僕の推理

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 トントントン。
 うん? 寝ていた?
 僕は、ノックの音で目を覚ました。

 「あれ? 寝ちゃったのか……」

 イラーノも隣のベットで、寝てしまったようだ。

 「はい。……アベガルさん」

 「具合はいかかです? あ、寝ている所を起こしましたか」

 部屋は、明かりを点けておらず、窓から入る外の光でほわんりと明るい程度だった。ルイユは、僕達が寝ているので明かりを灯さなかったようだ。

 「えぇ。おかげさまで体調は戻りました」

 「そうですか。それはよかった。もしよろしかったら一緒に夕飯でも如何でしょう。宿の一階が食事処になっておりまして」

 「どうします?」

 ルイユが僕に振り返り聞いた。
 いやたぶん、アベガルさんはルイユを招待しに来たんだと思う。

 「三人分、おごります」

 「そうですか。では、ご一緒します。ぬし……クテュール、イラーノ行きましょう」

 ルイユ、その反応は現金過ぎる。
 まあおごってくれるなら行くけどさ。

 「やめてほしい……一応俺の姉って事になっているんだから」

 ため息をつきつつ、小声でイラーノは愚痴を言っていた。
 そうだった。姉って事になっているんだったよ。


 ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ 


 丸いテーブルを右回りにアベガルさん、ルイユ、僕にイラーノと座った。
 注文した物は、とりわけの物だけど、ルイユって普通の食べ物食べられるのかな?

 「さぁ。どうぞ」

 「ありがとう」

 アベガルさんが、ルイユの為に食べ物を皿に乗せ渡した。

 「お前達も遠慮せず食べれよ」

 「はい……」

 それにしてもいいのかな……こんなひいきして。
 まあ個人でおごりって事だからいいのかもしれないけど。ルイユがモンスターだと知ったら驚くだろうなぁ。
 何か騙しているみたいで悪い気がするけど、食費が浮くのは嬉しい。

 「そういえば、あの二人組はどうなったのでしょうか?」

 ルイユが、アベガルさんに聞いた。

 「ボールウィンツとオスダルスは、お尋ね者として手配した。あ、そうでした。これを……」

 「これは?」

 黒くて丸い何かをアベガルさんは、ルイユに手渡した。

 「感知玉です。もし万が一、二人が現れたらそれを投げつけて下さい。そうすると、二人は動けなくなります。そして、それを感知して我々騎士団が出動します」

 「ありがとう。出会わない事を願ってますけど、出会った時は使わせて頂きます」

 「うむ。でだ。それを渡したが、しばらくはこの街に留まって頂きたい。殺そうとした四人が生きていると知ったら殺しに来るかもしれない。特にイラーノは、最初から殺すつもりだったようだし」

 「そうですね。三人で相談して決めます」

 そうルイユは濁す。
 あの二人は、結局お尋ね者になった。そうなりたくないからあの場をすぐに離れたんだよね。
 人間に変身? しているぐらいだからエルフだとばれたくもないはずだ。
 それでもまたイラーノを殺しに来るだろうか?

 「あの……もし、あの二人が捕まったらどうなるんですか?」

 「そうだな。まず殺そうとした理由を聞く。ないとは思うが、仇討ちだとしても冒険者ではいられないだろう。まあ四人もモンスターを使って殺そうとしたのだから牢獄行きだろうな」

 「牢獄!?」

 僕の質問にアベガルさんは、険しい顔つきで答えた。

 「あのもし僕達には手を出さず、イラーノだけ狙っていたら結果は変わってますか?」

 「なんだ? 妙に食いつくな……。まあ、狙った理由にもよるが、冒険者取り消しは免れないだろうが、牢獄行きは数年かもしれないな。しかし、殺そうとした奴の心配をするなんて、自分の身の心配をした方がいい」

 いや二人の心配をしている訳じゃないんだけど。
 二人は、あの容姿だしモンスターハンターとして目立っていた。たぶんモガードさん達を殺そうとしたのは、イラーノを探していたのを知っていたからだ。
 僕を殺そうとしたのも同じ理由。
 そこまでして、イラーノを探していた事を隠そうとしたって事?
 カギだとしてもそう僕達が思ったのは、イラーノがエルフの血を受け継いでいるかもしれないと思ったからだ。
 それを知らなければ、イラーノがカギだと思わない。
 現にムダマンスも物だと思っていた。
 本当にカギだから殺そうとしているのだろうか?
 殺すぐらいなら連れ帰った方がいい。
 二人がイラーノを探していたとしても、連れ去ったという確証がなければ騎士団だって手出しできない。
 やっぱり、殺したい理由は別なんだ!
 じゃハーフだから? それだけで、殺そうとした?
 だとしたらイラーノの父親は、もう生きてはいないかもしれない……。

 「どうした? 食欲がないか?」

 僕がぼんやり考えていると、アベガルさんが心配そうに僕の顔を覗き込む。

 「いえ。おいしいです」

 僕は、ぎこちない笑顔でパクッと一口食べた。
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