【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

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◇160◇ピクニック気分

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 さて何を作ろう。
 まあまずは、ジーンのサイズを測るかな。
 測る物を持ってないので、ジーンに抱き着いて自分の手の長さで測る事にした。
 ジーンは、大人しくしている。尻尾は、せわしないけど。

 「お、俺も手伝う?」

 裁縫を手伝うと言った事がないイラーノが聞いて来た。
 もしかして、ジーンのサイズを測りたいとか?
 でもごめん、もう終わった。

 「うん、ありがとう。一人で大丈夫」

 僕は、せっせと布を切り縫って作っていく。
 作ったのはマント?
 ジーンの背中をすっぽりと覆うただの四角い布に、ジーンの体に通す紐。そして、僕達が掴む紐が、ジーンの体に着ける紐と反対側の面に着けた。
 四角い布は緑色、ひもは白。
 マントは、普通は首というか肩に留めるけど、これは前足の脇? ぐらいに固定する。

 一段落すると何か、お腹空いた。朝ごはんがまだだった。

 「お腹空いた……けど、何も用意しなかった……」

 「あ、俺、干し肉なら買っておいたよ」

 「え? 売ってた?」

 「うん。露店で」

 露店……。まさかそういう所で、売っているとは思っていなかった。

 「では、私は木の実を採ってきましょう。ジーン、あちらに魔力を感知しました。あちらで食事を」

 ルイユはそう言うと、サッと遠くへ行く。
 そして、見た事もない木の実を採って持って来てくれた。
 気分は、ピクニック。
 ジーンは、言われた場所へ向かって行った。

 「次の休憩時は、水の側でお願いします。水分も補給しないとね」

 イラーノの言葉に僕は頷く。

 「わかりました」

 ルイユは、了解したと頷いた。
 美味しく朝ごはんを頂き、ジーンも帰って来たので出発。
 さて、作ったマジックアイテムを装着してみよう。

 「ジーン……」

 ふと顔を上げると、ルイユがジッと森の一点を見つめている。
 何? 何かいるの?

 「ルイユ? どうしたの?」

 「いえ、何でもありません。それですね。出来上がったアイテムは」

 「うん。ジャーン」

 僕は持ち上げて立ち上がった。

 「えっと……何それ?」

 イラーノが、困り顔で聞いて来た。
 やっぱりわからないか。

 「うーん。マントみたいな? ジーン。これをまたいで」

 頭から紐を通し、前両足も通す。すると、紐が縮まった!
 ぴったりフイットする様にイメージしてみたけど、できた!

 「凄い。紐が縮まった。あれ、こっちの面にも小さな紐がついている?」

 「僕達は、これに掴まるの」

 「へえ」

 布は、マントというよりジーンの体を覆うように掛けてある。背の部分に紐が付いていて、またがった時にそれを掴む。

 「面白い物を作るのね」

 そう言いつつリリンは、僕のリュックの中にひょいっと潜った。それを僕は背負う。

 「では、参りますか?」

 「うん。準備OK」

 ジーンは、走り出す。今までと違って、揺れないというか振り落とされる感じが無い!

 「何これ! これなら全然疲れないよ!」

 「これ、ルイユにもつけられるから」

 「そうなのですか? では後で試してみましょう」

 僕が叫んで言うと、先頭を行くルイユがそう返事を返した。
 森の中だと言うのに、さっきより早く走っている。きっと道を走るのと同じぐらいのスピードだ。
 落ちはしないが、身体を低くして枝にあたらない様にする。
 一時間で乗っているのが辛くなっていたのが、一時間経っても平気だ。ただ前屈みなので、ちょっと腰が痛い。

 三時間程して小休憩をとる。
 お願いしていた通り、小川が流れている水がある場所だった。
 イラーノは、リュックから水をろ過するマジックアイテムを出し、ろ過して水をくれた。

 「ありがとう」

 「あぁ、生き返るね」

 ジーンとリリンも小川の水を飲んでいる。
 ルイユがまた、様子を伺う様に森を見つめていた。
 やっぱり何かを感知しているんだ。

 「ねえ、やっぱり何かあるんだよね?」

 「いえ。あちらにちょっと魔力が高い場所があるなと見ていただけです」

 本当なのか嘘なのか、ルイユはそう返した。
 信じるしかない。ルイユ達は、僕を裏切らないのだから。

 「先を急ぎましょう。夜までに街に着いた方が宜しいでしょうから」

 イラーノは、ルイユの言葉に頷く。
 僕は、別に野宿でも平気だけどね。
 またジーンにまたがり、森の中を駆けた。
 一時間ほどして行き止まりになる。崖だ。

 「おや、崖ですね」

 崖を見ると、キュイに会った時の事を思い出すなぁ。
 ここは、崖といっても突然崖になっている所だけど。
 向こう側もそんな感じだ。
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