【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

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◆175◆二人は有名人

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 さてとルイユ達に会いに森に行きますか。
 僕達は、昨日は宿に泊まらせてもらった。でも、一応監視がついているみたいだったので部屋からは出ずに静かにして、聞き耳を立てられているかもしれないので何も話さない状態。
 だから早く就寝した。おかげでスッキリだ。気分は、モヤモヤだけどね。

 「うわぁ。俺達、有名人だね……」

 歩いていると皆、僕達を振り返る。昨日の今日の事だし、ベテランの冒険者でさえ動けないでいた中で、僕達は前に出た。
 たぶん、ほとんどの冒険者が目にした光景だ。

 「この街、出た方がいいみたいだね」

 僕がそう言うと、イラーノは頷いた。
 目立たない様にしたかったのに、ルイユのお蔭で、この街で知らない冒険者がいないぐらい有名人になっちゃったよ。
 僕達は、街を出ると森へと入って行く。

 『主様。ご苦労様でした』

 ご苦労様でしたじゃない!

 《私の名前は、呼ばないで下さい。つけられています》

 「ル……」

 やっぱり監視されていたんだ。
 宿を出てからは、気配がなかったように思ったけど。さすが、プロだね。

 「ジーン、会いたかったよ」

 文句を言いたいところだけど、会話は出来ないな。
 なので僕は、屈んでジーンをギュッと抱きしめる。
 せわしなく動く尻尾を見て、何となく安堵した。

 『クテュール。無事でよかった』

 ジーンがそう言った。僕は、うんうんと頷く。

 「俺も、ギュー!」

 そう言ってジーンをイラーノも抱きしめる。

 『………』

 「はぁ。何かジーンを見ると安心する」

 イラーノが意外な言葉を言った。

 「うん。僕もホッとした。ねえ、一度ロドリゴさんの所に戻らない?」

 本当は、一旦ジュダーノさんがいるエルフの森へ行く事になっていたが、監視されているなら行けない。
 一応イラーノの本当の父親にも会えたし、ここは一旦ノラノラシチ街に戻るのがいいと思った。

 「うん。そうだね」

 イラーノも頷いて賛成する。
 さて、ジーンをどうするかだ。リリンは、いつも通りリュックの中。ルイユは、抱っこするとしてジーンは流石に馬車には乗せられない。
 来た時と同じく、追いかけてもらうしかないな。監視されていなければ、ジーンに乗って行くのに。

 「悪いけどジーンは、一足先にキュイの所に戻っていて。僕達は、馬車で街に戻る。後で行くから」

 僕は、ジーンに抱き着き頭を撫でながら呟いた。

 『了解した』

 「ルー、おいで」

 ぴょんと胸に飛び込んで来たルイユを抱き上げて、僕は立ち上がる。
 僕達は、馬車に乗りノラノラシチ街へ向かった。
 馬の休憩で止まったり、村に止まったりしながら半日かけて、夕刻時にノラノラシチ街に着いた。

 「うわ。懐かしい感じがする。ちょっとしか離れてなかったのに」

 イラーノが、ホッとした顔を浮かべ言う。
 僕は、10日程しかいなかったし、あまりいい思い出がなかったから特段なにも感じないけど。
 僕は、街から森に振り返る。
 どちらかと言うと、森に行ってキュイにお礼を言いに行きたい。
 監視がきっとついて来ているから今は行かない方がいいだろう。
 でも、馬車には騎士団の人はいなかった。普通の冒険者の格好をしてついてきてるんだろうな。

 門から街の中に入った。
 チラッと振り返るも後ろに人はいない。数人ここで下りたけど、全員街に先に入って行った。
 うーん。監視はもしかしてついてきてない?
 僕達は、真っ直ぐ冒険者ギルドへ向かう。
 建物の中に入ると、リゼタと新人教育担当のナットスさんがいた。

 「お前達!」

 「クテュール!」

 二人は、僕達を驚いた顔で見た。
 あぁ、そうだった。この街にはリゼタ達がいるんだったよ。

 「クテュール、戻って来たのね! いった!」

 リゼタが、僕に凄い速さで近づいて来ると思ったら広げていた手をお腹にやった。
 ルイユは、リリンより凄かった。リゼタに蹴りを入れたのだ!

 「いた~い! 何そのリス。モンスターなの?」

 「ま、まさか! リスだよ! 普通のリス!」

 「え~? リスって蹴るの?」

 「リゼタが急に近づいたからだろう? 驚かすからだよ」

 「こほん。あぁ、俺はロドリゴさんを呼んでくるから二人共そこにいろよ!」

 そう言うと、ナットスさんは建物の奥へと入って行った。
 それはそうと、いつも一緒にいるエジンの姿が見当たらない。僕は、辺りをきょろきょろと見渡す。

 「エジンなら村に帰ったわよ」

 少し泣きそうな顔でリゼタは言った。

 「帰った?」

 リゼタは、頷く。
 そう言えば、もう冒険者は無理だろうと言っていたっけ? 本当だったんだ。
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