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◇214◇魔女と剣
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話があると言いながら無言でルイユは歩く。
「街を出るのか?」
少し驚いてコーリゼさんが問う。
ルイユが向かっていたのは門だった。
さっき襲ってきたモンスターがまだいるかもしれないし、エルフと一緒に待機しているかもしれない。今出るのは危険だと僕でも思う。
「追っ手をまかなくてはいけませんから」
ルイユの答えに、なるほどとコーリゼさんは頷いた。
アベガルさん達の尾行なんだろうけど、街の外へ出て大丈夫かな?
まあルイユが居れば大丈夫なんだろうけど。
街を出て暫く歩けば、道のわきは森だ。
ワザとなのか、ルイユは何度も後ろを振り返った。
この道を歩くのは僕らのみ。普通は、馬車を利用するみたいだ。
僕達は、森へ入った。
何度もルイユが振り返ったお蔭で、追っ手は見える範囲にはいなかった。相手も僕達が森へ入るのはわかっていると思う。
「失礼します」
僕とコーリゼさんをルイユは、脇に抱え浮き上がる。
「ちょっと! ルイユ!?」
「おい!」
僕達が驚くもそのまま、凄いスピードで森を移動する。
「!」
どうするのこれ。絶対にコーリゼさんに変に思われる。って、もしかして隠す気ないとか?
ルイユは、僕達を川のほとりまで連れて行った。
コーリゼさんは、はぁっと心底安堵したように息を吐き座り込む。
「大丈夫ですか?」
「あぁ。しかしあなたは一体何者なんだ? ただの錬金術師じゃないだろう?」
コーリゼさんは、座ったままそうルイユに聞いた。
「ただのというか、私は錬金術師ではありません」
「ルイユ!?」
一体何をこの人に話す気?
「なるほど。錬金術師じゃないって事をクテュールも知っているって事か」
慌てる僕をチラッと見てコーリゼさんが言った。
「私は、魔法使いです。で、錬金術師は主様です」
「主様? はぁ?」
ルイユが主様といいながら僕を見たので、コーリゼさんも僕を見て驚いている。
「ルイユ、一体何? どうして?」
「本当に君が錬金術師なのか?」
「えーと……」
「その話は、後でゆっくりと。今は違う話をしたいのですが宜しいですか?」
「うん? だろうな。で、俺に話ってなんだ? 魔法使いだと俺に暴露したんだから何か協力してほしいとか?」
「えぇ。察しがいいですね。魔女、ご存知ですよね?」
魔女!? そうだ。ルイユなら知っているかもしれないから聞こうと思っていたんだった。やっぱり知っていたんだ。
あれ? コーリゼさんが魔女と口にしたのを知らないよね?
コーリゼさんも驚いた様にルイユを見上げていた。
「魔女の事を知っているのか?」
「えぇ。知っています。あなたが狙われたのは、それに関してですよね?」
「なぜエルフに狙われているか俺もわからない。俺は逆に、エルフに会って話を聞きたかったんだが、今の状況じゃ無理っぽいな」
そう語ったコーリゼさんは、小さくため息を漏らす。その顔は、悲しげだ。
「何があったのかお話頂けませんか? お力になれるかもしれません」
ルイユが、僕以外の人を自分の意思で助けようとしている? 何で? もしかしてそれが、僕を助ける事になるから?
「………」
力になれるかもと言われたけど、コーリゼさんは俯き、話す事を躊躇している。
「ではこう言えば伝わりますか? 我々なら魔女を倒せるかもしれません」
そのルイユの言葉に、コーリゼさんはガバッと顔を上げた。
「本当か?」
そう問いながらコーリゼさんは立ち上がる。
「絶対とは言えませんが、可能性はあります」
コーリゼさんは、少し考え込んだ。
そして、話す事を選んだみたい。
「俺の村には、魔女が封印されていた……」
そう言って話し出した。
「代々村の者が守るその封印を妹のミューラが解いてしまった。たぶん、長い年月封印してあったから封印が弱まっていたのかもしれない。俺は、唯一魔女を倒せる剣を持って村を出た」
その剣って、コーリゼさんが腰にさげている剣?
うん? 倒せる? 何故剣を持って出たの? 倒したいんじゃなかったの?
「何故剣を持って? 魔女を倒せる剣なんだよね?」
「その剣を使って倒せますが、村の者では無理だったからです」
僕の疑問に、ルイユが知っているかの様に答えた。
僕とコーリゼさんは、驚いてルイユを凝視する。
そう言えば剣を手にした時に、様子が変だった。その剣だと気づいたから……。
「あなたはもしかして、どうすれば剣で魔女を倒せるかご存知なのか?」
「えぇ。知っています」
やっぱり知ってるんだ。
ずっと昔にルイユが携わった封印なんだろうか? でなければ、自分から協力なんてしないよね?
「街を出るのか?」
少し驚いてコーリゼさんが問う。
ルイユが向かっていたのは門だった。
さっき襲ってきたモンスターがまだいるかもしれないし、エルフと一緒に待機しているかもしれない。今出るのは危険だと僕でも思う。
「追っ手をまかなくてはいけませんから」
ルイユの答えに、なるほどとコーリゼさんは頷いた。
アベガルさん達の尾行なんだろうけど、街の外へ出て大丈夫かな?
まあルイユが居れば大丈夫なんだろうけど。
街を出て暫く歩けば、道のわきは森だ。
ワザとなのか、ルイユは何度も後ろを振り返った。
この道を歩くのは僕らのみ。普通は、馬車を利用するみたいだ。
僕達は、森へ入った。
何度もルイユが振り返ったお蔭で、追っ手は見える範囲にはいなかった。相手も僕達が森へ入るのはわかっていると思う。
「失礼します」
僕とコーリゼさんをルイユは、脇に抱え浮き上がる。
「ちょっと! ルイユ!?」
「おい!」
僕達が驚くもそのまま、凄いスピードで森を移動する。
「!」
どうするのこれ。絶対にコーリゼさんに変に思われる。って、もしかして隠す気ないとか?
ルイユは、僕達を川のほとりまで連れて行った。
コーリゼさんは、はぁっと心底安堵したように息を吐き座り込む。
「大丈夫ですか?」
「あぁ。しかしあなたは一体何者なんだ? ただの錬金術師じゃないだろう?」
コーリゼさんは、座ったままそうルイユに聞いた。
「ただのというか、私は錬金術師ではありません」
「ルイユ!?」
一体何をこの人に話す気?
「なるほど。錬金術師じゃないって事をクテュールも知っているって事か」
慌てる僕をチラッと見てコーリゼさんが言った。
「私は、魔法使いです。で、錬金術師は主様です」
「主様? はぁ?」
ルイユが主様といいながら僕を見たので、コーリゼさんも僕を見て驚いている。
「ルイユ、一体何? どうして?」
「本当に君が錬金術師なのか?」
「えーと……」
「その話は、後でゆっくりと。今は違う話をしたいのですが宜しいですか?」
「うん? だろうな。で、俺に話ってなんだ? 魔法使いだと俺に暴露したんだから何か協力してほしいとか?」
「えぇ。察しがいいですね。魔女、ご存知ですよね?」
魔女!? そうだ。ルイユなら知っているかもしれないから聞こうと思っていたんだった。やっぱり知っていたんだ。
あれ? コーリゼさんが魔女と口にしたのを知らないよね?
コーリゼさんも驚いた様にルイユを見上げていた。
「魔女の事を知っているのか?」
「えぇ。知っています。あなたが狙われたのは、それに関してですよね?」
「なぜエルフに狙われているか俺もわからない。俺は逆に、エルフに会って話を聞きたかったんだが、今の状況じゃ無理っぽいな」
そう語ったコーリゼさんは、小さくため息を漏らす。その顔は、悲しげだ。
「何があったのかお話頂けませんか? お力になれるかもしれません」
ルイユが、僕以外の人を自分の意思で助けようとしている? 何で? もしかしてそれが、僕を助ける事になるから?
「………」
力になれるかもと言われたけど、コーリゼさんは俯き、話す事を躊躇している。
「ではこう言えば伝わりますか? 我々なら魔女を倒せるかもしれません」
そのルイユの言葉に、コーリゼさんはガバッと顔を上げた。
「本当か?」
そう問いながらコーリゼさんは立ち上がる。
「絶対とは言えませんが、可能性はあります」
コーリゼさんは、少し考え込んだ。
そして、話す事を選んだみたい。
「俺の村には、魔女が封印されていた……」
そう言って話し出した。
「代々村の者が守るその封印を妹のミューラが解いてしまった。たぶん、長い年月封印してあったから封印が弱まっていたのかもしれない。俺は、唯一魔女を倒せる剣を持って村を出た」
その剣って、コーリゼさんが腰にさげている剣?
うん? 倒せる? 何故剣を持って出たの? 倒したいんじゃなかったの?
「何故剣を持って? 魔女を倒せる剣なんだよね?」
「その剣を使って倒せますが、村の者では無理だったからです」
僕の疑問に、ルイユが知っているかの様に答えた。
僕とコーリゼさんは、驚いてルイユを凝視する。
そう言えば剣を手にした時に、様子が変だった。その剣だと気づいたから……。
「あなたはもしかして、どうすれば剣で魔女を倒せるかご存知なのか?」
「えぇ。知っています」
やっぱり知ってるんだ。
ずっと昔にルイユが携わった封印なんだろうか? でなければ、自分から協力なんてしないよね?
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