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◆215◆ルイユの悲願
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何故かルイユは、空を見上げた。そして目を閉じる。まるで何かを思い出しているかの様だ。
「魔女は、魔力の高い者を操る力があります。エルフがあなたを狙ったのは、魔女の力でしょう。エルフの中にもモンスターに枷を掛ける力を持った者がいます。魔女の封印にエルフが触れないように、人間に守らせていたのですが……」
「いたのですがって。やっぱり昔にルイユが封印した相手なの?」
「そのお手伝いをしただけです。今ならもしかしたら倒せるかもしれません」
「ちょっと待て。魔女を倒せる剣を作ったんだろう? 何故それで倒さなかった?」
コーリゼさんの言葉にそう言えばそうだと、僕達はルイユを見た。
「封印があるとその剣を使えないのです。だから一度封印を解かなければなりません。ですが、あの時封印するのがやっとでした。今はまだ、封印が解けたといっても完全ではないのでしょう。だからその剣を始末したかった。それで剣を持っているあなたを発見し、街に襲撃を仕掛けたのでしょう」
「で、どうしたらいいんだ?」
「その剣を主様に。クテュールに渡して下さい」
「え!? 僕!?」
「彼にか? 君にではなく?」
コーリゼさんが驚いて聞くと、ルイユはそうだと頷いた。
僕に、コーリゼさんが剣を渡してくれたので、僕の剣を渡しておく。もし万が一、モンスターが襲ってきた時に武器がないと困るからだ。
「来ましたか……」
来たって……。
振り向けば、少女が一人立っていた。
「ミューラ……」
コーリゼさんが、ぼそりと呟いた。
え? 妹さん?
「やはりその剣が封印の剣か。無駄な事を。もうあいつはいない。君と剣だけでは、私は倒せないぞ?」
見た目10歳程の子供の話し方ではない。もしかして、ミューラちゃんに魔女が取り憑いているの?
「エルフは連れて来なかったのですね? 縛るのも魔力を消費しますものね」
「ふん。私一人で十分だ」
そう言うと、ミューラちゃん基、魔女が魔法を放った!
それはルイユではなく、僕達に向けてだ。ルイユが慌てて僕達を掴んで、その場からどけた。
「ミューラやめるんだ! 聞こえてるよな? やめさせるんだ!」
コーリゼさんが叫ぶ。だけど、魔女はニヤッとするだけだ。
「彼女は、寝ている。どうしても助けたいのならその剣を渡せ」
コーリゼさんは、躊躇なく剣を放り投げた。僕と交換した剣を……。魔女は、僕達が剣を交換した事に気づいてないみたいだ。
「渡した。ミューラを解放しろ!」
「いいが……この子は死ぬぞ」
「な……嘘をつくな!」
魔女の言葉にコーリゼさんは、魔女を睨み付けた。
「嘘ではない。彼女は、私が憑依した時に死んだ。ただ体を保つ為に、この中にいてもらっているだけだ。あの日からずっとこの体の中で眠っている。嘘じゃないのは、この姿を見ればわかるだろう?」
「だから10年前と同じ姿なのか……」
「10年!?」
僕は驚いてコーリゼさんに振り向く。彼は、愕然とした顔をしている。
10年間、妹のミューラちゃんの為にずっと、剣の事を知るエルフを探していた。エルフじゃないけどやっと、魔女と剣の事を知るルイユに出会ったというのに、魔女を倒せてもミューラちゃんは救えない!
突然、ルイユがコーリゼさんが捨てた剣に走った。
魔女は、ギョッとする表情を一瞬するもルイユに魔法を放つ。それをどけると、魔女が剣を拾っていた。
「ルイユ。ミューラを助けてくれ。魔女から解放してくれ!」
コーリゼさんが叫ぶ。
「聞きましたね? やましょう!」
ルイユは、魔女を見つめつつ僕にそう言った。
「無駄な事を。この剣は、ある条件の元、封印として発揮するのだろう? だったら私の手元にあれば、もうどうする事も出来ない。そうじゃないか? 奪いに来るのだったら来い! 返り討ちにしてやるわ!」
ある条件の元?
もしかして、僕にしか、チュトラリーにしか使えない剣? だから僕に持たせた? ちょっと待って。よく考えればそれって、僕が魔女にとどめを刺すって事だよね?
そう思うと急に怖くなった。
「ルイユ……僕……」
震える声で僕がそう言うと、ルイユが僕の側に来た。
そして僕をそっと抱きしめる。
「お願いします。私にとっても悲願なのです」
悲願ってやっぱり、僕の側にいたのってこの為だったの?
「魔女は、魔力の高い者を操る力があります。エルフがあなたを狙ったのは、魔女の力でしょう。エルフの中にもモンスターに枷を掛ける力を持った者がいます。魔女の封印にエルフが触れないように、人間に守らせていたのですが……」
「いたのですがって。やっぱり昔にルイユが封印した相手なの?」
「そのお手伝いをしただけです。今ならもしかしたら倒せるかもしれません」
「ちょっと待て。魔女を倒せる剣を作ったんだろう? 何故それで倒さなかった?」
コーリゼさんの言葉にそう言えばそうだと、僕達はルイユを見た。
「封印があるとその剣を使えないのです。だから一度封印を解かなければなりません。ですが、あの時封印するのがやっとでした。今はまだ、封印が解けたといっても完全ではないのでしょう。だからその剣を始末したかった。それで剣を持っているあなたを発見し、街に襲撃を仕掛けたのでしょう」
「で、どうしたらいいんだ?」
「その剣を主様に。クテュールに渡して下さい」
「え!? 僕!?」
「彼にか? 君にではなく?」
コーリゼさんが驚いて聞くと、ルイユはそうだと頷いた。
僕に、コーリゼさんが剣を渡してくれたので、僕の剣を渡しておく。もし万が一、モンスターが襲ってきた時に武器がないと困るからだ。
「来ましたか……」
来たって……。
振り向けば、少女が一人立っていた。
「ミューラ……」
コーリゼさんが、ぼそりと呟いた。
え? 妹さん?
「やはりその剣が封印の剣か。無駄な事を。もうあいつはいない。君と剣だけでは、私は倒せないぞ?」
見た目10歳程の子供の話し方ではない。もしかして、ミューラちゃんに魔女が取り憑いているの?
「エルフは連れて来なかったのですね? 縛るのも魔力を消費しますものね」
「ふん。私一人で十分だ」
そう言うと、ミューラちゃん基、魔女が魔法を放った!
それはルイユではなく、僕達に向けてだ。ルイユが慌てて僕達を掴んで、その場からどけた。
「ミューラやめるんだ! 聞こえてるよな? やめさせるんだ!」
コーリゼさんが叫ぶ。だけど、魔女はニヤッとするだけだ。
「彼女は、寝ている。どうしても助けたいのならその剣を渡せ」
コーリゼさんは、躊躇なく剣を放り投げた。僕と交換した剣を……。魔女は、僕達が剣を交換した事に気づいてないみたいだ。
「渡した。ミューラを解放しろ!」
「いいが……この子は死ぬぞ」
「な……嘘をつくな!」
魔女の言葉にコーリゼさんは、魔女を睨み付けた。
「嘘ではない。彼女は、私が憑依した時に死んだ。ただ体を保つ為に、この中にいてもらっているだけだ。あの日からずっとこの体の中で眠っている。嘘じゃないのは、この姿を見ればわかるだろう?」
「だから10年前と同じ姿なのか……」
「10年!?」
僕は驚いてコーリゼさんに振り向く。彼は、愕然とした顔をしている。
10年間、妹のミューラちゃんの為にずっと、剣の事を知るエルフを探していた。エルフじゃないけどやっと、魔女と剣の事を知るルイユに出会ったというのに、魔女を倒せてもミューラちゃんは救えない!
突然、ルイユがコーリゼさんが捨てた剣に走った。
魔女は、ギョッとする表情を一瞬するもルイユに魔法を放つ。それをどけると、魔女が剣を拾っていた。
「ルイユ。ミューラを助けてくれ。魔女から解放してくれ!」
コーリゼさんが叫ぶ。
「聞きましたね? やましょう!」
ルイユは、魔女を見つめつつ僕にそう言った。
「無駄な事を。この剣は、ある条件の元、封印として発揮するのだろう? だったら私の手元にあれば、もうどうする事も出来ない。そうじゃないか? 奪いに来るのだったら来い! 返り討ちにしてやるわ!」
ある条件の元?
もしかして、僕にしか、チュトラリーにしか使えない剣? だから僕に持たせた? ちょっと待って。よく考えればそれって、僕が魔女にとどめを刺すって事だよね?
そう思うと急に怖くなった。
「ルイユ……僕……」
震える声で僕がそう言うと、ルイユが僕の側に来た。
そして僕をそっと抱きしめる。
「お願いします。私にとっても悲願なのです」
悲願ってやっぱり、僕の側にいたのってこの為だったの?
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