228 / 245
◆225◆コーリゼの能力?
しおりを挟む
「ねえ、ルイユ。ケアリーヌさんって女性かな?」
「えぇ、そうですが」
「え! 女性だったの? 俺はてっきり男性でルイユの思い人かと……」
まあ自分を犠牲にしてるからね、そう思うよね。
やっぱりあれは、前世の記憶だったんだ。あの時の声は、ケアリーヌさん。僕の命の恩人の一人って事だね。
「でもあれだね。ルイユは、元の姿にしばらく戻れないね」
イラーノが、ルイユを見て言った。
「問題ありません。アベガル達はまだ、私の本来の姿とこの姿がイコールにはなっていないようですね。たぶん、錬金術を使って街を行き来させていると思っているんでしょう。それをするなと言われたので、この姿でおります」
そっか。キュイだけじゃなくて、リスに見えるルイユの本来の姿も錬金術を使っているって事になるのか。姿を動物に見せているだけだけどね。
「その魔力とかは大丈夫?」
「問題ありません」
僕が聞くと、大丈夫だとルイユは頷いた。
「さて、行きましょう」
「うん」
僕達は、ルイユの脇に抱えられて森の中を凄いスピードで移動する。森の中じゃなかったらもっと早いはず。
森の出口で下ろされ、そこから自分の足で歩く。
そして、街の門で待ち受けていたのは……。
「騎士団に鞄を取りに行くと言っていたけど、どこまで鞄を取りに行ったのかしらイラーノくん」
「あ……」
ジドーっとイラーノを見つめ、マドラーユさんが待ち構えていた。イラーノは、忘れていたという表情だ。
なるほど、そう言ってマドラーユさんの所から出て来たんだ。
「それを私達に伝えに来てくれたのですよ。では私達は、これから鞄を取りに行ってきます」
「そう。じゃ私は宿で待っているわ」
「あ、はい……」
大人しく引き下がられると逆に怖い。
「イラーノ、来てくれてありがとう」
「え? 行ったけど結局役に立たなかったね」
僕がお礼を言うと、イラーノは少し照れて答えた。
「そんな事はありません。私は、剣があればどうにかなると思っていました。ですが、そうではなかった。あなたが来なければ、たぶん魔女は倒せなかったでしょう」
「コーリゼさんが手伝ってくれたから魔女を倒せたんじゃ……」
イラーノの言葉にルイユは首を横に振った。
「あなたを助けるために、主様は魔法を使いました。それで動きを封じ込める事ができたのです。どうやらあなたを死なせたくなかったようです」
ルイユの言葉に僕はハッとする。
咄嗟に取った行動の事を言っているんだ。ルイユの時は、自分が盾になろうとした。もしあの時、ルイユが目を覚まして魔女を蹴飛ばさなければ、ルイユも僕も殺されていただろう。
「あれは、思い出して何も考えずに……」
「えぇ。そこなんです。別に責めているつもりはありません。主様にとって彼は、死なせてはいけない人物だったのでしょう」
「ご、ごめん。ルイユ……」
「ですから責めているつもりは……」
「違うよルイユ。自分が盾になれないから魔法を使ったんだよ。でもその意味で言うなら俺が来てよかったかもね。さあ着いたよ。この話は、これで終わり」
僕は頷くと、階段を上る。そして、建物の中に入った。
「おぉ、来たか。こっちだ」
アベガルさんに連れられて部屋に入ると、コーリゼさんとメリュドガさんがいた。
「話は聞いた。魔女がエルフを操り、モンスターを仕向けていたらしいな」
メリュドガさんが僕達に言った。
そのまま話してるじゃないか……。
「彼から今詳しく話を聞いていたが、彼には魔女を封印する能力があった。ルイユ、君と出会ってそれが目覚めた……」
そのままじゃなかった。
僕がチラッとコーリゼさんを見ると、軽く頷いた。
どうやら移動中に、アベガルさんと話を決めたみたい。
「コーリゼが、エルフの事を聞いていたのは、ルイユを探す為だったみたいだな。だがまだ完全じゃない」
アベガルさんが続けた。
「え? それ、メリュドガさんは信じたの?」
イラーノが驚いて言った。
エルフとハーフと言うだけで、イラーノの話は信じてもらえなかった。
今回ルイユも絡んでいる。ルイユをエルフとのハーフだとメリュドガさんは思っているはずだ。それで、信じたんだろうか?
「この目でアベガルが見たと言ったからな。目覚めたコーリゼが使った能力で動きを封じられた魔女は、後少しと言う所でその場から姿を消したと……」
そっか。アベガルさんの言葉を信じたのか。
これでうまく行くといいけど。
「えぇ、そうですが」
「え! 女性だったの? 俺はてっきり男性でルイユの思い人かと……」
まあ自分を犠牲にしてるからね、そう思うよね。
やっぱりあれは、前世の記憶だったんだ。あの時の声は、ケアリーヌさん。僕の命の恩人の一人って事だね。
「でもあれだね。ルイユは、元の姿にしばらく戻れないね」
イラーノが、ルイユを見て言った。
「問題ありません。アベガル達はまだ、私の本来の姿とこの姿がイコールにはなっていないようですね。たぶん、錬金術を使って街を行き来させていると思っているんでしょう。それをするなと言われたので、この姿でおります」
そっか。キュイだけじゃなくて、リスに見えるルイユの本来の姿も錬金術を使っているって事になるのか。姿を動物に見せているだけだけどね。
「その魔力とかは大丈夫?」
「問題ありません」
僕が聞くと、大丈夫だとルイユは頷いた。
「さて、行きましょう」
「うん」
僕達は、ルイユの脇に抱えられて森の中を凄いスピードで移動する。森の中じゃなかったらもっと早いはず。
森の出口で下ろされ、そこから自分の足で歩く。
そして、街の門で待ち受けていたのは……。
「騎士団に鞄を取りに行くと言っていたけど、どこまで鞄を取りに行ったのかしらイラーノくん」
「あ……」
ジドーっとイラーノを見つめ、マドラーユさんが待ち構えていた。イラーノは、忘れていたという表情だ。
なるほど、そう言ってマドラーユさんの所から出て来たんだ。
「それを私達に伝えに来てくれたのですよ。では私達は、これから鞄を取りに行ってきます」
「そう。じゃ私は宿で待っているわ」
「あ、はい……」
大人しく引き下がられると逆に怖い。
「イラーノ、来てくれてありがとう」
「え? 行ったけど結局役に立たなかったね」
僕がお礼を言うと、イラーノは少し照れて答えた。
「そんな事はありません。私は、剣があればどうにかなると思っていました。ですが、そうではなかった。あなたが来なければ、たぶん魔女は倒せなかったでしょう」
「コーリゼさんが手伝ってくれたから魔女を倒せたんじゃ……」
イラーノの言葉にルイユは首を横に振った。
「あなたを助けるために、主様は魔法を使いました。それで動きを封じ込める事ができたのです。どうやらあなたを死なせたくなかったようです」
ルイユの言葉に僕はハッとする。
咄嗟に取った行動の事を言っているんだ。ルイユの時は、自分が盾になろうとした。もしあの時、ルイユが目を覚まして魔女を蹴飛ばさなければ、ルイユも僕も殺されていただろう。
「あれは、思い出して何も考えずに……」
「えぇ。そこなんです。別に責めているつもりはありません。主様にとって彼は、死なせてはいけない人物だったのでしょう」
「ご、ごめん。ルイユ……」
「ですから責めているつもりは……」
「違うよルイユ。自分が盾になれないから魔法を使ったんだよ。でもその意味で言うなら俺が来てよかったかもね。さあ着いたよ。この話は、これで終わり」
僕は頷くと、階段を上る。そして、建物の中に入った。
「おぉ、来たか。こっちだ」
アベガルさんに連れられて部屋に入ると、コーリゼさんとメリュドガさんがいた。
「話は聞いた。魔女がエルフを操り、モンスターを仕向けていたらしいな」
メリュドガさんが僕達に言った。
そのまま話してるじゃないか……。
「彼から今詳しく話を聞いていたが、彼には魔女を封印する能力があった。ルイユ、君と出会ってそれが目覚めた……」
そのままじゃなかった。
僕がチラッとコーリゼさんを見ると、軽く頷いた。
どうやら移動中に、アベガルさんと話を決めたみたい。
「コーリゼが、エルフの事を聞いていたのは、ルイユを探す為だったみたいだな。だがまだ完全じゃない」
アベガルさんが続けた。
「え? それ、メリュドガさんは信じたの?」
イラーノが驚いて言った。
エルフとハーフと言うだけで、イラーノの話は信じてもらえなかった。
今回ルイユも絡んでいる。ルイユをエルフとのハーフだとメリュドガさんは思っているはずだ。それで、信じたんだろうか?
「この目でアベガルが見たと言ったからな。目覚めたコーリゼが使った能力で動きを封じられた魔女は、後少しと言う所でその場から姿を消したと……」
そっか。アベガルさんの言葉を信じたのか。
これでうまく行くといいけど。
0
あなたにおすすめの小説
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる