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18 オーランドサイド
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★オーランドサイド
「オーランド様!お待たせしました!」
オーランドは王宮の庭のにあるひとつのガセボにリリアーナを呼び出す。相変わらず許可もしていないのに名前で呼ぶリリアーナに、オーランドは苛立つが一切に顔には見せず
「お待ちしてましたご令嬢。わざわざお越し頂いて申し訳ない。私がそちらへ赴けばご令嬢のおみ足を疲れさせる事も無かったのですが、殿下と一緒だと伺い……私はどうしても二人きりで話がしたかったのです!それゆえに私らしくないとは思いつつもお呼びだてしてしまった。代わりに王宮の侍女に頼んでお茶を淹れさせましたのでどうぞ…」
オーランドはそう言って椅子を引く。リリアーナのネックレスからはやはり気持ちの悪い「淀み」を感じる。
「珍しいネックレスをされていますね。執務室で拝見した時も思いましたが、公爵令息の私でも知らない宝石だ。」
「お義父様がプレゼントしてくれたの!」
貴族を少しも感じさせない幼稚な話し方で、ニコニコと返答するリリアーナにオーランドは辟易する。しかし娘に渡すということは、伯爵は宝石の危険性は知らないようだ。
「……なるほど。この宝石は、誰もが目を引く存在感に、とても絢爛で妖しげな魅力がある。貴女にこそ相応しい」
「そ、そんな…」
オーランドの言葉にリリアーナは顔を赤くするが、オーランドは少しも褒めていない。遠回しに「常識のなさに視線を集める派手な男好きにはぴったりだ」と言っているだけだ。
そんな事なお首にも出さずネックレスを見つめる。「淀み」以外にも何かある。がとても微弱で分かりにくい。
「そう言えば…殿下も貴女と同じ宝石の指輪をされていましたね?」
「お義父さまが贈ってはどうかとくれたの。」
「伯爵自ら?」
別に常識のない娘を寵愛してくれる礼として、贈り物をする事は不思議ではない。が、人格者の伯爵なら贈り物をしてレオナルドに近付くように促すより、レオナルドから引き離す方がやはり自然だ。
「もう!そんな事より、オーランド様!私の事はリリアーナって呼んで?」
リリアーナの手が自分の腕に伸び胸を見せつけてくる。これがアリーヤならば大歓迎だがリリアーナでは体中がゾワリと総毛立つだけだ。
「私ごときが貴女の名を呼ぶなど……」
「そんなの良いから!」
リリアーナは頬をぷぅと膨らませ如何にも可愛くすねていると言う顔をしている。がレオナルドには効いてもオーランドには何一つ響かない。行儀の一つもなっていない人間がすればただの子供の駄々だ。それが成り立つのは常に常識ある言動をしている女性のみ。ギャップがあるからこそ可愛く見えるのだ。オーランドはただただ内心で顔を顰める。
「畏れながら……貴女の名は私の中ではその宝石と同じなのです。お呼びすれば私の心が耐えきれなくなってしまう……!それ程に貴女の名は私にとって特別なのです!」
「んもぅ。オーランド様ったら!そんなに言うならしかたないわ。特別に許してあげる!ふふ。」
リリアーナは満更でもなさそうに返事をするが、オーランドは「宝石と一緒で関わりたくない。嫌悪感から名を呼べば心が耐えられない。悪い意味で特別だ」と事実を耳障りの良い言葉を選んで話しただけだ。
自分でも良くこんなに言葉が思い付くなと思うも、今ほど自分に知識があった事に感謝した日はない。
それにしても伯爵令嬢が筆頭公爵家の嫡男相手に「あげる」とはふざけている。オーランド自身、普段は女性との会話で身分などは気にした事は無い。
だがリリアーナは別だ。立場はオーランドの方がずっと上だ。だと言うのに上から目線とは何様のつもりだ。何故この阿婆擦れを王宮に連れてきているのか、ますます伯爵の気持ちが分からない。
その後幾つか適当な会話をしオーランドはリリアーナと解散した。
「オーランド様!お待たせしました!」
オーランドは王宮の庭のにあるひとつのガセボにリリアーナを呼び出す。相変わらず許可もしていないのに名前で呼ぶリリアーナに、オーランドは苛立つが一切に顔には見せず
「お待ちしてましたご令嬢。わざわざお越し頂いて申し訳ない。私がそちらへ赴けばご令嬢のおみ足を疲れさせる事も無かったのですが、殿下と一緒だと伺い……私はどうしても二人きりで話がしたかったのです!それゆえに私らしくないとは思いつつもお呼びだてしてしまった。代わりに王宮の侍女に頼んでお茶を淹れさせましたのでどうぞ…」
オーランドはそう言って椅子を引く。リリアーナのネックレスからはやはり気持ちの悪い「淀み」を感じる。
「珍しいネックレスをされていますね。執務室で拝見した時も思いましたが、公爵令息の私でも知らない宝石だ。」
「お義父様がプレゼントしてくれたの!」
貴族を少しも感じさせない幼稚な話し方で、ニコニコと返答するリリアーナにオーランドは辟易する。しかし娘に渡すということは、伯爵は宝石の危険性は知らないようだ。
「……なるほど。この宝石は、誰もが目を引く存在感に、とても絢爛で妖しげな魅力がある。貴女にこそ相応しい」
「そ、そんな…」
オーランドの言葉にリリアーナは顔を赤くするが、オーランドは少しも褒めていない。遠回しに「常識のなさに視線を集める派手な男好きにはぴったりだ」と言っているだけだ。
そんな事なお首にも出さずネックレスを見つめる。「淀み」以外にも何かある。がとても微弱で分かりにくい。
「そう言えば…殿下も貴女と同じ宝石の指輪をされていましたね?」
「お義父さまが贈ってはどうかとくれたの。」
「伯爵自ら?」
別に常識のない娘を寵愛してくれる礼として、贈り物をする事は不思議ではない。が、人格者の伯爵なら贈り物をしてレオナルドに近付くように促すより、レオナルドから引き離す方がやはり自然だ。
「もう!そんな事より、オーランド様!私の事はリリアーナって呼んで?」
リリアーナの手が自分の腕に伸び胸を見せつけてくる。これがアリーヤならば大歓迎だがリリアーナでは体中がゾワリと総毛立つだけだ。
「私ごときが貴女の名を呼ぶなど……」
「そんなの良いから!」
リリアーナは頬をぷぅと膨らませ如何にも可愛くすねていると言う顔をしている。がレオナルドには効いてもオーランドには何一つ響かない。行儀の一つもなっていない人間がすればただの子供の駄々だ。それが成り立つのは常に常識ある言動をしている女性のみ。ギャップがあるからこそ可愛く見えるのだ。オーランドはただただ内心で顔を顰める。
「畏れながら……貴女の名は私の中ではその宝石と同じなのです。お呼びすれば私の心が耐えきれなくなってしまう……!それ程に貴女の名は私にとって特別なのです!」
「んもぅ。オーランド様ったら!そんなに言うならしかたないわ。特別に許してあげる!ふふ。」
リリアーナは満更でもなさそうに返事をするが、オーランドは「宝石と一緒で関わりたくない。嫌悪感から名を呼べば心が耐えられない。悪い意味で特別だ」と事実を耳障りの良い言葉を選んで話しただけだ。
自分でも良くこんなに言葉が思い付くなと思うも、今ほど自分に知識があった事に感謝した日はない。
それにしても伯爵令嬢が筆頭公爵家の嫡男相手に「あげる」とはふざけている。オーランド自身、普段は女性との会話で身分などは気にした事は無い。
だがリリアーナは別だ。立場はオーランドの方がずっと上だ。だと言うのに上から目線とは何様のつもりだ。何故この阿婆擦れを王宮に連れてきているのか、ますます伯爵の気持ちが分からない。
その後幾つか適当な会話をしオーランドはリリアーナと解散した。
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