この兄、厄介につき~実は溺愛されてたなんて聞いてません!~(不定期更新)

ナナシの助

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68 オーランドサイド

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★オーランドサイド

「だが、それがどうした?」
 
オーランドは、顔には一片の情も浮かべず、まるで舞台で役を演じるかのように、冷たく突き放す。内心で、込み上げるミリーへの僅かな同情と後悔、そして伯爵家への燃えるような怒りを無理やり押し込める。

仮にマーチンが宝石の危険性までは知らずとも、伯爵に加担したのは事実だ。なぜなら、ピンクのペンダントはマーチンが自分が買ったように演技をしたからだ。そうでなければマーチンも騙されていたと考えられたのに。

「それだって……きっと家族や友人を人質にとられたからで!」
「ごめんね、ミリー。彼は孤児のゴロツキだ。一緒に犯罪をする人間はいたけど仲間や友人ではない。言い方は変だけど同僚のようなもので、人質を取られた情報もない」 

アレンが申し訳なさそうに話す。アルバートも苦しそうだ。

「例え、どんな理由であろうと『ルミニス王国王太子の婚約者』で『ルミニス王国筆頭公爵家のリュクソン公爵令嬢』に『平民のマーチン』は手を出したのだ。これがどう言う意味なのか公爵家に仕えるお前なら意味がわかるだろう?そしてそれはお前もだ。知らなかったで済む問題では無い。彼女は、あの悪夢の中で自ら命を絶とうとしていたのだからな」

その言葉に、オーランド以外のこの部屋にいる4人が息を呑んだ。「死に追いやった」「一刻を争う」とは言ったが、「自死しようとしていた」事はまだ報告していなかったなとオーランドは思い出す。

その事実に、アリーヤを救えなかった悔恨と、伯爵家への激しい怒りが彼の内側でまた暴れだす。彼は「公爵夫妻」の前で、決して情を見せまいと、冷徹な仮面を貼りつけた。彼の言葉は、まるで氷の刃のように、居合わせた全員の心臓を貫いた。

「理解したか?平民が公爵令嬢を自死に追い詰めた。お前達は死罪しかない」

オーランドは、見据えるミリーの目に、全ての悪意を自分に向けさせるかのように、冷徹な目を向けた。
 
 
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