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第一章 陰キャな僕とクラス1の美少女にもフラグは立つらしい
第7話 美少女と食卓を囲んだ
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「おまちどうさま」
僕は、既に食卓に座っていた朝比奈と妹さんの2人の前に、湯気の立つ皿を置いた。
「ほほう、ミートスパゲッティとな?」
興味深そうに皿の上に盛り付けられたミートスパゲッティを見つめる妹さん。
「では、いざ実食」
「いただきます」
妹さんと朝比奈は、ほぼ同時にミートスパゲッティを口に運ぶ。
二口、三口……あれ? 感想は?
ちょっと不安になった頃、妹さんがフォークを置いた。
「あの、お口にあわないなら。無理しなくても……」
「――あなた、境楓さんと言いましたね」
「はい、そうだけど……」
「――すか?」
「え、何?」
「いつお姉ちゃんと結婚するんですか!?」
「はぁ!?」
「ブフォッ!」
あ、朝比奈さんが吹き出した。
スパゲッティを喉に詰まらせたのか、ゲホゲホとむせている。
てか、この子今なんて言った!?
「なんですかこのめちゃ旨スパゲッティ! 天才ですか神なんですか! 市販のミートソースの缶詰をどうアレンジしたらこんなに美味しく――」
「あ、いや缶詰は使っていないんだ」
「はい!?」
そこ、驚くところなんだ。
「てことは、これソースも一から手作り……缶詰以外の選択肢が、ミートソースにあったとは。盲点です」
それはそれで大丈夫か、朝比奈家の食卓。
いろいろ心配になっていると、ようやく気管の危機から解放された朝比奈が、口を挟んでくる。
「ちょっと梨々香、いきなり何を言うの! わ、私と境くんが、その……け、けけ、結婚なんて!」
顔を真っ赤にして否定する朝比奈。
「え? じゃあ梨々香が貰ってもいい?」
「「はぁっ!?」」
今度は2人揃って叫んでしまった。
この子、本当にお淑やか属性の朝比奈と血縁関係なんだよな? 実は血が繋がってませんでしたとか言われても、全く驚かない自信があるぞ。
「ていうのは冗談……でもないけど、とにかく梨々香の胃袋がガッチリホールドされてしまったのは確かです。いいお嫁さ――旦那さんになりそうですね、楓さん」
「今お嫁さんて言いかけなかった? ねぇ、言いかけたよね」
僕はジト目で妹さんを見る。
「ね。姉さんもそう思うでしょ?」
「うぇっ?」
まだ顔が赤いままの朝比奈は、僕の方をちらりと見て言った。
「そ、そうね。い、いい旦那さんになりそうとか、そういうのはわからないけど……このスパゲッティは、すごく美味しいよ」
「あ、ありがと」
耳まで真っ赤に染めてそう言ってくる朝比奈に、僕まで恥ずかしくなってしまう。
「ふむ。これはこれは」
1人、僕と朝比奈を見る妹のニヤケ面が、若干キモかった。
――。
「悪いね、僕までご馳走になっちゃって」
「いいの。境くんが作ったんだし、余らせてもママ――じゃなくて母さん達に、変な勘ぐりされちゃうから」
夕食をご馳走になったあと、僕は玄関で靴を履きながら朝比奈と話していた。
ていうか――
「なるほど。朝比奈さんは、ママ呼びか」
「~~っ! わ、わざわざ言い直したんだから突っ込まないで! うぅ~、恥ずかしい」
朝比奈はまたも顔を赤くして、自身の顔を手で覆う。
「別に恥ずかしがることないんじゃない?」
「だって、高校生にもなってママとパパって、なんか子どもっぽいじゃん。梨々香は、母さん父さんって呼んでるのにぃ」
むしろギャップ萌えでキュンときました。
それはともかく。
「そんなことないって。家族仲がいい証拠だよ。それに、朝比奈さんの妹さんは、自分のこと名前で呼んでるでしょ。だからお相子じゃない?」
「そ、それもそうね……」
朝比奈は納得したような顔をする。
「それじゃあ、僕はこのへんで」
僕は踵を返し、朝比奈の家を後にしようとする。と――
「待って!」
不意に呼び止められ、振り返ると朝比奈が顔を赤くしてもじもじしていた。
「朝比奈さん?」
「えと、その……梨子、でいいよ」
「え?」
「だから、呼び方! 私も梨々香も、朝比奈だから。その、困るでしょ?」
「それは確かに……」
でも、別にまた彼女の家に来るとも限らないし、学校で話す分には朝比奈でいいと思うのだが。それを問い詰めるのは、野暮というものだ。
「わかった。その代わり、僕のことも名前で呼んで」
「! うん!」
嬉しそうに微笑む朝比奈――いや、梨子。
よかった。さっきまで落ち込んでいたけれど、今はすっかり立ち直ったみたいだ。
「それじゃあね。梨子さん」
「うん、またね。楓くん」
僕は、梨子に見送られて朝比奈家を後にした。
僕は、既に食卓に座っていた朝比奈と妹さんの2人の前に、湯気の立つ皿を置いた。
「ほほう、ミートスパゲッティとな?」
興味深そうに皿の上に盛り付けられたミートスパゲッティを見つめる妹さん。
「では、いざ実食」
「いただきます」
妹さんと朝比奈は、ほぼ同時にミートスパゲッティを口に運ぶ。
二口、三口……あれ? 感想は?
ちょっと不安になった頃、妹さんがフォークを置いた。
「あの、お口にあわないなら。無理しなくても……」
「――あなた、境楓さんと言いましたね」
「はい、そうだけど……」
「――すか?」
「え、何?」
「いつお姉ちゃんと結婚するんですか!?」
「はぁ!?」
「ブフォッ!」
あ、朝比奈さんが吹き出した。
スパゲッティを喉に詰まらせたのか、ゲホゲホとむせている。
てか、この子今なんて言った!?
「なんですかこのめちゃ旨スパゲッティ! 天才ですか神なんですか! 市販のミートソースの缶詰をどうアレンジしたらこんなに美味しく――」
「あ、いや缶詰は使っていないんだ」
「はい!?」
そこ、驚くところなんだ。
「てことは、これソースも一から手作り……缶詰以外の選択肢が、ミートソースにあったとは。盲点です」
それはそれで大丈夫か、朝比奈家の食卓。
いろいろ心配になっていると、ようやく気管の危機から解放された朝比奈が、口を挟んでくる。
「ちょっと梨々香、いきなり何を言うの! わ、私と境くんが、その……け、けけ、結婚なんて!」
顔を真っ赤にして否定する朝比奈。
「え? じゃあ梨々香が貰ってもいい?」
「「はぁっ!?」」
今度は2人揃って叫んでしまった。
この子、本当にお淑やか属性の朝比奈と血縁関係なんだよな? 実は血が繋がってませんでしたとか言われても、全く驚かない自信があるぞ。
「ていうのは冗談……でもないけど、とにかく梨々香の胃袋がガッチリホールドされてしまったのは確かです。いいお嫁さ――旦那さんになりそうですね、楓さん」
「今お嫁さんて言いかけなかった? ねぇ、言いかけたよね」
僕はジト目で妹さんを見る。
「ね。姉さんもそう思うでしょ?」
「うぇっ?」
まだ顔が赤いままの朝比奈は、僕の方をちらりと見て言った。
「そ、そうね。い、いい旦那さんになりそうとか、そういうのはわからないけど……このスパゲッティは、すごく美味しいよ」
「あ、ありがと」
耳まで真っ赤に染めてそう言ってくる朝比奈に、僕まで恥ずかしくなってしまう。
「ふむ。これはこれは」
1人、僕と朝比奈を見る妹のニヤケ面が、若干キモかった。
――。
「悪いね、僕までご馳走になっちゃって」
「いいの。境くんが作ったんだし、余らせてもママ――じゃなくて母さん達に、変な勘ぐりされちゃうから」
夕食をご馳走になったあと、僕は玄関で靴を履きながら朝比奈と話していた。
ていうか――
「なるほど。朝比奈さんは、ママ呼びか」
「~~っ! わ、わざわざ言い直したんだから突っ込まないで! うぅ~、恥ずかしい」
朝比奈はまたも顔を赤くして、自身の顔を手で覆う。
「別に恥ずかしがることないんじゃない?」
「だって、高校生にもなってママとパパって、なんか子どもっぽいじゃん。梨々香は、母さん父さんって呼んでるのにぃ」
むしろギャップ萌えでキュンときました。
それはともかく。
「そんなことないって。家族仲がいい証拠だよ。それに、朝比奈さんの妹さんは、自分のこと名前で呼んでるでしょ。だからお相子じゃない?」
「そ、それもそうね……」
朝比奈は納得したような顔をする。
「それじゃあ、僕はこのへんで」
僕は踵を返し、朝比奈の家を後にしようとする。と――
「待って!」
不意に呼び止められ、振り返ると朝比奈が顔を赤くしてもじもじしていた。
「朝比奈さん?」
「えと、その……梨子、でいいよ」
「え?」
「だから、呼び方! 私も梨々香も、朝比奈だから。その、困るでしょ?」
「それは確かに……」
でも、別にまた彼女の家に来るとも限らないし、学校で話す分には朝比奈でいいと思うのだが。それを問い詰めるのは、野暮というものだ。
「わかった。その代わり、僕のことも名前で呼んで」
「! うん!」
嬉しそうに微笑む朝比奈――いや、梨子。
よかった。さっきまで落ち込んでいたけれど、今はすっかり立ち直ったみたいだ。
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僕は、梨子に見送られて朝比奈家を後にした。
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