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第二章 《最凶の天空迷宮編》
第七十話 駆け引きの中で
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『くだらん』
自身へと肉薄する炎の弾丸を見ながら、報復者はつまらなそうに吐き捨てる。
それから、右手を前に突き出してぼそりと呟いた。
『《空気障壁》』
刹那、大気を圧縮して作られた壁が彼我の間を隔てる。
高速で飛翔する三発の炎は、いともたやすく防がれた。
『大方、俺を倒せばこの崩壊も収まると考えたんだろうが……貴様に勝ち目はない』
「やってみなくちゃ、わからないだろ!!」
叫びながら、スキル《衝撃拳》を両足に起動。
大気を蹴り、衝撃波の反動で一気に加速する派生技――衝撃促進で、一息に距離を詰める。
瞬時に報復者の上をとり、右手を振りかざした。
「《 冷却波》―氷点下掌打ッ!!」
触れた対象を瞬時に凍らせるスキルを起動し、掌を空気障壁にぶち当てる。
大気の塊は瞬く間に凍り付き、粉々に四散した。
それを好機と、一気に畳みかける。
「《閃光噴射》ッ!!」
超至近距離からの光魔法攻撃。
幾条もの光線が、敵を貫こうと迫り――
『《深淵穴》』
だが、報復者は一切焦りを見せず、闇魔法を起動。
ほぼゼロ距離と言っても過言じゃない光魔法の攻撃を、片っ端から暗黒の中に引きずり込んだ。
『なかなかやるが、決定打にかけるな』
「くっ!」
『次はこちらの番だ――《身体能力強化》』
自身の身体能力をブーストするスキルを起動した報復者は、ガラ空きになった僕へ拳を叩き込もうとする。
「《龍鱗》ッ!」
拳が胸部を捕らえるすんでのところで、龍鱗を生やした両腕を交差させ、ガードする。
それでも、痛みはなくとも衝撃までガードすることはできない。
強力な一撃で僕の身体は、数メートル上空へ打ち上げられた。
『今のを防ぐか……反射神経には、目を見張るものがあるな』
「思ってもないことを……!」
相手はそう言うが、実際に思ってはいまい。
なぜなら、この僅かな駆け引きの間に、相手の方が数段反射神経も戦闘センスも、何もかもが上だと悟ったからだ。
おまけに、相手の顔には絶えず余裕の笑みが浮かんでいる。
まるで、勝つことが確定している勝負を楽しんでいるかのように。
男を油断なく見すえながら、僕は《サーチ》を起動する。
◆◆◆◆◆◆
報復者
Lv 666
HP 14890
MP 2080/2530
STR 2290
DEF 2032
DEX 348
AGI 301
LUK 199
スキル(通常)《 空気障壁》 《サーチ》 《睡眠》 《気配消去》 《幻影》 《身体能力強化》 《念波》 《保存》 《飛行》
スキル(魔法)《 氷柱弾》 《深淵穴》 《紅炎極砲》 《上昇烈風》 《暗黒呪縛》 《光裂剣》
ユニークスキル 《報復》 《与魂》
アイテム 《HP回復ポーション》×444 《MP回復ポーション》×398
個人ランクS
所属 ―
◆◆◆◆◆◆
(――レベルは僕より断然上、ユニークスキルも二つ持ち……分が悪いな)
強いて言えば、ユニークスキルのうち《与魂》の方はほぼ無視して構わないが……それでも相手の方が一枚上手だ。
けれど、負けるわけにはいかない。
この男のやろうとしていることは――許せないから。
だから、この世界を救って、必ずグーで殴ってやる。
そう決意を固めた瞬間、間合いを取っていた相手の方から、突っ込んで来た。
自身へと肉薄する炎の弾丸を見ながら、報復者はつまらなそうに吐き捨てる。
それから、右手を前に突き出してぼそりと呟いた。
『《空気障壁》』
刹那、大気を圧縮して作られた壁が彼我の間を隔てる。
高速で飛翔する三発の炎は、いともたやすく防がれた。
『大方、俺を倒せばこの崩壊も収まると考えたんだろうが……貴様に勝ち目はない』
「やってみなくちゃ、わからないだろ!!」
叫びながら、スキル《衝撃拳》を両足に起動。
大気を蹴り、衝撃波の反動で一気に加速する派生技――衝撃促進で、一息に距離を詰める。
瞬時に報復者の上をとり、右手を振りかざした。
「《 冷却波》―氷点下掌打ッ!!」
触れた対象を瞬時に凍らせるスキルを起動し、掌を空気障壁にぶち当てる。
大気の塊は瞬く間に凍り付き、粉々に四散した。
それを好機と、一気に畳みかける。
「《閃光噴射》ッ!!」
超至近距離からの光魔法攻撃。
幾条もの光線が、敵を貫こうと迫り――
『《深淵穴》』
だが、報復者は一切焦りを見せず、闇魔法を起動。
ほぼゼロ距離と言っても過言じゃない光魔法の攻撃を、片っ端から暗黒の中に引きずり込んだ。
『なかなかやるが、決定打にかけるな』
「くっ!」
『次はこちらの番だ――《身体能力強化》』
自身の身体能力をブーストするスキルを起動した報復者は、ガラ空きになった僕へ拳を叩き込もうとする。
「《龍鱗》ッ!」
拳が胸部を捕らえるすんでのところで、龍鱗を生やした両腕を交差させ、ガードする。
それでも、痛みはなくとも衝撃までガードすることはできない。
強力な一撃で僕の身体は、数メートル上空へ打ち上げられた。
『今のを防ぐか……反射神経には、目を見張るものがあるな』
「思ってもないことを……!」
相手はそう言うが、実際に思ってはいまい。
なぜなら、この僅かな駆け引きの間に、相手の方が数段反射神経も戦闘センスも、何もかもが上だと悟ったからだ。
おまけに、相手の顔には絶えず余裕の笑みが浮かんでいる。
まるで、勝つことが確定している勝負を楽しんでいるかのように。
男を油断なく見すえながら、僕は《サーチ》を起動する。
◆◆◆◆◆◆
報復者
Lv 666
HP 14890
MP 2080/2530
STR 2290
DEF 2032
DEX 348
AGI 301
LUK 199
スキル(通常)《 空気障壁》 《サーチ》 《睡眠》 《気配消去》 《幻影》 《身体能力強化》 《念波》 《保存》 《飛行》
スキル(魔法)《 氷柱弾》 《深淵穴》 《紅炎極砲》 《上昇烈風》 《暗黒呪縛》 《光裂剣》
ユニークスキル 《報復》 《与魂》
アイテム 《HP回復ポーション》×444 《MP回復ポーション》×398
個人ランクS
所属 ―
◆◆◆◆◆◆
(――レベルは僕より断然上、ユニークスキルも二つ持ち……分が悪いな)
強いて言えば、ユニークスキルのうち《与魂》の方はほぼ無視して構わないが……それでも相手の方が一枚上手だ。
けれど、負けるわけにはいかない。
この男のやろうとしていることは――許せないから。
だから、この世界を救って、必ずグーで殴ってやる。
そう決意を固めた瞬間、間合いを取っていた相手の方から、突っ込んで来た。
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