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だから、これで良かったのに
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ここでの生活は理解に苦しむ。
朝起きるとまず朝食を食べるのだ。食事とは、その日に働いた報酬として夜だけ振舞われるものだ。
少なくとも、何もしていない朝から振舞われるものではない。
しかも、ボリュームもすごかった。
今までは堅いパンと具の入っていないスープがご馳走だった。それなのに、ここの食事は朝も昼も夜も、それ以上に豪華なものを振舞ってくる。
「私、なにもしていないのに……」
この屋敷のメイドたちのような働きもしない、ただ食べて寝て、しかも快適に食べて寝て、それだけの生活しかしていないのに食べるわけにはいかなかった。
はじめはそう言って頑なに拒み、食事に手をつけることはなかった。
侯爵閣下に「毎日しっかり寝て食べることがお前の仕事だ」と言われるが、そんなものは仕事ではない。
朝起きたら温かいお湯で顔を洗い、メイドに髪を梳かしてもらい、肌に何か塗られ、朝ご飯を振舞われる。
その後閣下に身体を乞われることもなく昼食を振舞われ、その後も同じように何もないまま夕食も振舞われる。
そんなものは仕事ではない。仕事をしていないのにこんなもてなしを受ける意味がわからないまま、毎日されるがままであった。
服も、ボロなチュニック一枚ではなく、小屋の隙間から見ていた、外を歩く町娘のようなワンピースだ。
分不相応な生活のはずなのに、何故か、どこか懐かしくて、涙が出そうになるのを必死に堪える。
こんな生活に慣れてしまったら今までの生活に戻ることが出来なくなると、本能がそう告げ、警鐘を鳴らしていた。
だから、これで良いのだ、と安堵した出来事が訪れた。
それは、この侯爵家に来てひと月が経った頃、今までの小汚かった私が、鏡で見て別人かと見まごうほど綺麗になった時、この屋敷の使用人らしき黒スーツの男が三人、ニタニタと『よく知る』笑みを浮かべて私を見下ろしていた。
傍らについていたメイドに、「旦那様に用事があると呼ばれていたぞ」と告げその場を立ち去らせると、男たちは本題に入った。
「ここに来る前、身体を売っていたらしいじゃねえか」
「そんな小汚い身体で賓客のような扱いされるなんて、分不相応だとは思わないのか?」
思う。
だがそんな私の意見などどうでもいいはずだ。
男たちの言いたいことは、もうすでに分かっている。
「お前に相応しい扱いを教えてやるよ」
そう言い、私をひと気のない物置のような部屋へ連れ込んだ。
そうして私の着ていたワンピースを脱がせると、男たちも服を脱いだ。
「ほら、奉仕してみろよ」
男たちの男根がそそり立っている。
彼らは私がよく知る男の顔をして、私の髪を掴んでくる。
昔のようにごわつかない髪でも、掴まれれば同じような気がする。
無理やり男根を咥えさせられる。そんなことをしなくても、咥えろと言われれば抵抗をすることなくするつもりだったが、どうやらこの男たちは『無理やり』することを望んでいるらしい。
ならば、それなりに嫌がってやるのも仕事のうちだろうと、抵抗する『そぶり』をする。
「やっ……ぁ」
それが男たちを一層興奮させたようだ。
だから、もっと悦ばせようと声を上げて抵抗してみた。
「あああっ、やめ、助けて……たすけ……!」
今まではそうすることで男たちは一層興奮していたが、この男たちは妙に慌てた様子で私の口を押さえつけた。
「何抵抗してんだよ、売女のくせに! 売女は売女らしく、大人しくオレらに穴だけ突き出していればいいんだよ!」
まだ何か不満だったのだろうか、これでは食事をいただくことが出来ないと考え、私は一層抵抗して見せた。
声を荒げて必死に嫌がって見せる。そうすれば、押さえつけ、無理やり私の身体を犯して悦べるはずだと思っていた。
それなのに男たちはなぜか引いてしまったようだ。
(あれ、どうしよう。なにか間違えたかな? ここは抵抗しないで、大人しくマグロになるほうがよかったのかな?)
謝って今からやり直そうとしたが、いつの間にか口も布で塞がれてしまい、何も言えないし出来なくなった。
「ん~! んん~~!」
この布と手首の紐を外してほしくて訴えるが、どうも伝わっていないようだ。
男たちが私の抵抗の仕方に不安を抱いたように見ていると、突然部屋のドアノブがガチャガチャと音を立てた。
「! か、鍵が……」
男の一人が声を上げた次の瞬間、扉が開かれた。
扉の向こうに立っていたのは、ダイナ・スタンフォール侯爵閣下だった。
「ひっ……!」
使用人の男たちがたじろぐ。
閣下は口を布でふさがれ、後ろで手を縛られ裸で転がっている私を見て、顔を翳らせていく。
「これはどういうことだ?」
男たちへ問う閣下の声が、部屋の空気を震わせた。
朝起きるとまず朝食を食べるのだ。食事とは、その日に働いた報酬として夜だけ振舞われるものだ。
少なくとも、何もしていない朝から振舞われるものではない。
しかも、ボリュームもすごかった。
今までは堅いパンと具の入っていないスープがご馳走だった。それなのに、ここの食事は朝も昼も夜も、それ以上に豪華なものを振舞ってくる。
「私、なにもしていないのに……」
この屋敷のメイドたちのような働きもしない、ただ食べて寝て、しかも快適に食べて寝て、それだけの生活しかしていないのに食べるわけにはいかなかった。
はじめはそう言って頑なに拒み、食事に手をつけることはなかった。
侯爵閣下に「毎日しっかり寝て食べることがお前の仕事だ」と言われるが、そんなものは仕事ではない。
朝起きたら温かいお湯で顔を洗い、メイドに髪を梳かしてもらい、肌に何か塗られ、朝ご飯を振舞われる。
その後閣下に身体を乞われることもなく昼食を振舞われ、その後も同じように何もないまま夕食も振舞われる。
そんなものは仕事ではない。仕事をしていないのにこんなもてなしを受ける意味がわからないまま、毎日されるがままであった。
服も、ボロなチュニック一枚ではなく、小屋の隙間から見ていた、外を歩く町娘のようなワンピースだ。
分不相応な生活のはずなのに、何故か、どこか懐かしくて、涙が出そうになるのを必死に堪える。
こんな生活に慣れてしまったら今までの生活に戻ることが出来なくなると、本能がそう告げ、警鐘を鳴らしていた。
だから、これで良いのだ、と安堵した出来事が訪れた。
それは、この侯爵家に来てひと月が経った頃、今までの小汚かった私が、鏡で見て別人かと見まごうほど綺麗になった時、この屋敷の使用人らしき黒スーツの男が三人、ニタニタと『よく知る』笑みを浮かべて私を見下ろしていた。
傍らについていたメイドに、「旦那様に用事があると呼ばれていたぞ」と告げその場を立ち去らせると、男たちは本題に入った。
「ここに来る前、身体を売っていたらしいじゃねえか」
「そんな小汚い身体で賓客のような扱いされるなんて、分不相応だとは思わないのか?」
思う。
だがそんな私の意見などどうでもいいはずだ。
男たちの言いたいことは、もうすでに分かっている。
「お前に相応しい扱いを教えてやるよ」
そう言い、私をひと気のない物置のような部屋へ連れ込んだ。
そうして私の着ていたワンピースを脱がせると、男たちも服を脱いだ。
「ほら、奉仕してみろよ」
男たちの男根がそそり立っている。
彼らは私がよく知る男の顔をして、私の髪を掴んでくる。
昔のようにごわつかない髪でも、掴まれれば同じような気がする。
無理やり男根を咥えさせられる。そんなことをしなくても、咥えろと言われれば抵抗をすることなくするつもりだったが、どうやらこの男たちは『無理やり』することを望んでいるらしい。
ならば、それなりに嫌がってやるのも仕事のうちだろうと、抵抗する『そぶり』をする。
「やっ……ぁ」
それが男たちを一層興奮させたようだ。
だから、もっと悦ばせようと声を上げて抵抗してみた。
「あああっ、やめ、助けて……たすけ……!」
今まではそうすることで男たちは一層興奮していたが、この男たちは妙に慌てた様子で私の口を押さえつけた。
「何抵抗してんだよ、売女のくせに! 売女は売女らしく、大人しくオレらに穴だけ突き出していればいいんだよ!」
まだ何か不満だったのだろうか、これでは食事をいただくことが出来ないと考え、私は一層抵抗して見せた。
声を荒げて必死に嫌がって見せる。そうすれば、押さえつけ、無理やり私の身体を犯して悦べるはずだと思っていた。
それなのに男たちはなぜか引いてしまったようだ。
(あれ、どうしよう。なにか間違えたかな? ここは抵抗しないで、大人しくマグロになるほうがよかったのかな?)
謝って今からやり直そうとしたが、いつの間にか口も布で塞がれてしまい、何も言えないし出来なくなった。
「ん~! んん~~!」
この布と手首の紐を外してほしくて訴えるが、どうも伝わっていないようだ。
男たちが私の抵抗の仕方に不安を抱いたように見ていると、突然部屋のドアノブがガチャガチャと音を立てた。
「! か、鍵が……」
男の一人が声を上げた次の瞬間、扉が開かれた。
扉の向こうに立っていたのは、ダイナ・スタンフォール侯爵閣下だった。
「ひっ……!」
使用人の男たちがたじろぐ。
閣下は口を布でふさがれ、後ろで手を縛られ裸で転がっている私を見て、顔を翳らせていく。
「これはどういうことだ?」
男たちへ問う閣下の声が、部屋の空気を震わせた。
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