売られた元令嬢は自分を買った伯爵閣下のもとで幸せになります

rifa

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真実を知る

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 ノックをして入る許可をもらうと、ダイナ様は椅子に座って何か資料を読んでいた。私が部屋に入りドアを閉めると、ダイナ様は私の方へ視線を向け、そして顔をしかめた。
「寝巻きを着せてもらわなかったのか?」
「あ、いえ、今日は趣向を変えて、この服でしようと思いまして……」
「……そうか」
「もしかして、お気に召しませんでしたか……?」
「……いや」
 ダイナ様はしかめた表情のまま資料を机に置き、ズボンを脱ぎ、ベッドに腰かけた。
 これが最後のお仕事。
 満足してもらえる仕事をしなければと、いつも以上に気合いを入れてダイナ様の剥き出しのおちんちんを口に含もうと近づいた。だが。
「今日は君も服を脱げ」
「え?」
「いいから脱げ」
 ダイナ様を気持ちよくさせるのに、私が脱ぐ必要はないのでは? と首を傾げたが、これも仕事の内ならば、とワンピースを脱いだ。
「その服をこっちへ渡せ」
「は、はい……」
 素直に渡す。ダイナ様はそれを丁寧に畳んで、ベッドサイドに置く。
 ダイナ様の部屋は暖かいが、さすがに衣服を脱ぐと身体が冷える。
 そんな私の様子を見ていたダイナ様が、「寒いか?」と尋ねるので頭を振る。
「無理をするな。寒いのなら正直に言え」
 正直に言え、と言われたので、素直に「少し……」と答えた。
「そうか。なら、こちらへおいで」
 そう言って両手を差し出すダイナ様。
 もしや抱きしめようとしているのではないかと察し、後ずさりした。
「離れろとは言っていない。こっちへ来い」
「い、いえ……」
 拒むと、ダイナ様はムッとした表情をする。そして自身の着ていたチュニックも脱ぎ、それは床に放った。
「オレは寒いな」
 衣服を脱いで裸になっていれば、それは寒いに決まっている。
「で、でしたら服を……」
「こっちへ来い」
 ダイナ様が再度、私を呼ぶ。これでは、もう抱き合おうとしているようにしか思えない。
「な、何故……?」
「何故、はオレのセリフだ。なんで拒むんだ?」
「そ、それは仕事ではないからです」
「……いや、話を脱線させるのは良くないな。何を考えているんだ?」
「え?」
「まさかとは思うが、ここを出て行こうと考えているんじゃないだろうな?」
 ずばり言い当てられて、全身の血の気が引いた。
 だが、言い当てられたからなんだというのだ。私は覚悟を決め、ダイナ様から視線を外して答えた。
「……今まで、こんなに良い暮らしをさせていただき、ありがとうございました。ですが、私は用済みです。もうここでお世話になる理由がありません」
「なんで用済みなんだ?」
 ダイナ様が驚いたような声で尋ねる。
「……これ以上ダイナ様に迷惑をおかけすることは出来ません」
「誰が迷惑だと言った?」
「私がいては、あの方とダイナ様が結婚される弊害にしかなりません」
「……あの方?」
「……はしたないことですが、日中、庭園でダイナ様と……豊満なお身体の女性が親しそうに話されているのを、お見掛けしてしまいました。申し訳ありません」
「なにがはしたないのかわからないが、……その女性というのは、ジュリアのことか?」
「……ジュリア様は、ダイナ様の好みに合った大変美しいお方だと思います。お二人が幸せになる道を、私は邪魔したくは……」
「待て、ちょっと待て?」
 慌てた様子でダイナ様が私の顎を指先で捉え、無理やり視線を合わせられた。
 彼は驚きに満ちた、けれど真剣な眼で私を見据えていた。
「誰が、誰と幸せになるって?」
「……? ダイナ様と、ジュリア様が……」
「それは、もしや恋愛的な意味で、と言っているのか?」
 改めて口にしろと言われ、悲しみがこみあげてくる。しかし、言えと言われるのなら、言うしかない。
「……はい」
「兄妹で?」
「はい。…………え?」
「ジュリアはオレの妹だが?」
「………………え??」
 しばらくぽかんとしていると、私の様子を見ていたダイナ様が「ぷっ」と吹き出し、それから大笑いした。
「どんな勘違いだよ。たしかにあいつは君と同じくらいの年齢だが、オレはそんな目で妹を見たことはない」
 耐えきれないというように笑い続けるダイナ様を見続け、ようやく本当に自分の勘違いなのだと知った。
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