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やっとこさ本編
…化学反応がおきました…
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「いらっしゃい、来てくれて嬉しいよ」
伽月君の自宅にお邪魔した僕を、波那ちゃんは優しく迎え入れてくれました。ミソラちゃんも僕の事覚えててくれてるみたいで、今は僕の隣で寝そべっています。
「ご無沙汰してます、突然お邪魔してすみません」
「そんな気遣わなくていいよ、いつでもおいで」
ありがとうございます。僕は波那ちゃんに一礼して、手芸店で買った物を取り出して一つ一つチェックします。うん、買い忘れ無し!ミソラちゃんは手芸用品に興味津々で匂いを嗅いでいます。子犬の時に暴れ盛りで伽月君のノートをボロボロにしちゃって、彼泣いて怒ってた事もあったっけ。大型犬とは言っても室内で育ててるから、今やすっかりお行儀の良いワンちゃんなんです。
チェックした物を再び袋に収めていると、家中が甘い香りに包まれます。きっと『アレ』かな?
「波那ちゃん、手伝おうか?」
コンロの前で焼きものをしている波那ちゃんの背中に声を掛けて、僕は彼の作業を覗いてみました。やっぱり『アレ 』です、フライパンに小さな円盤状の生地が弱火でじっくりと焼かれています。
「じゃあ、これ泡立ててくれる?砂糖はすり鉢に入ってるのを使ってね」
はい。僕は生クリームの入っているボウルにすり鉢の中で砕かれた黒糖を入れました。それを用意されてある氷水の入った大きなボウルの中に入れ、泡立て器でホイップします。傍らにはこし餡、やっぱり『アレ』だ、僕たち三兄弟が訪ねると大概出してくれるおやつ、僕も何度かチャレンジしましたが彼の味が出せないんです。
僕たちは子供の頃から『アレ』こと波那ちゃんのお手製どら焼が大好きです。きっと僕がここに来ると聞いて急遽作ってくれているんだと思います。こうして目の前で作っているのを見るのは初めて、何か技が盗めたら、と思いながらお手伝いをしていました。
俺は波那ちゃんと一緒にキッチンに居る誠を何となく見つめてた。俺なんかより全然料理上手だし、そう言えば『アレ』を作れる様になりたい、とか言ってたな……。
確かに誠の作るどら焼も美味いんだ、でもどうしても波那ちゃんの作る物とは違う。きっと波那ちゃんにしか出せない味なんだと思うけど、誠の奴えらく真剣に手伝いしてんだよな。
そう言えば兄さん時々ここで波那ちゃんの姿見てニタ付いてるよな……俺自身母親の記憶が残ってないから波那ちゃんって何て言うかお母さんみたいな感覚があるんだけど、それを手伝う誠はさしずめ娘、ってところかな?最近ちょっと雰囲気似てきてるんだよ、あの二人。でもこういう家庭的な嫁さんが良いな、どうせ結婚するならさ……って俺は何言ってんだ!?男二人の炊事する姿から慌てて視線を逸らしてテレビを点ける。
オイオイ、誠は一生涯の友達なんだ、俺たちが結婚(?)なんて有り得ない。何でそんな事考えたんだ?俺どうかしちまったのか?とにかくその事を頭の中から消し去りたくてテレビに集中しようとしてたら脚に重みが掛かってきた。見るとミソラが頭を置いて俺を上目遣いで見つめてる。こういう時の動物の目って純粋さが際立って心の中を見透かされてる様な気分になる。頼むミソラ、今の俺を見ないでくれ……。
それから少しして兄さんが帰宅したので、ミソラの興味は俺から兄さんにとって変わっていた。誠は家に泊まったんだけど、学校の課題の事で波那ちゃんと話し込んでいて、俺はほとんど兄さんと一緒にいた。
そして決戦(?)の日、仲介人の俺は颯天と一緒に老舗の遊園地前で待ち合わせをする。
「ホントにあの『リカちゃん』なのか?」
颯天の奴、浅元ひかりさんの話をしてから定期的にその質問をぶつけてくる。他に言う事は無いのか……?と思いつつ、俺の返答も人の事は言えず、それを直接確かめて欲しい、と今日までに何度吐いたか分からない。
そんなやり取りをしていると、浅元さんはほぼ定刻通りに一人でやって来た。私服姿の彼女はこの前よりも少し大人びて見え、隣に居る颯天をチラ見すると、顔に出ないだけ判りづらいけどガチガチに緊張してやがる。
「お待たせしました、もう少し早く着きたかったんですが……」
「大丈夫だよ、こっちもさっき来たとこだし。早速なんだけど彼が丹波颯天。で、彼女が浅元ひかりさん」
「た、丹波颯天です……怪我の方はもう大丈夫です、よね?随分昔の事なのに何言ってんでしょうね、俺……」
「そんな事ありません……私の事を覚えていただけてるだけでも感激です……」
二人は顔を合わせた瞬間、俺の事などそっちのけですぐに仲良くなった。まぁでも両片想い同士を最高の形で仲介出来た安堵感の方が勝ってたし、この引き合わせ自体勝算もあったから一人蚊帳の外でも大して気にならなかった。
伽月君の自宅にお邪魔した僕を、波那ちゃんは優しく迎え入れてくれました。ミソラちゃんも僕の事覚えててくれてるみたいで、今は僕の隣で寝そべっています。
「ご無沙汰してます、突然お邪魔してすみません」
「そんな気遣わなくていいよ、いつでもおいで」
ありがとうございます。僕は波那ちゃんに一礼して、手芸店で買った物を取り出して一つ一つチェックします。うん、買い忘れ無し!ミソラちゃんは手芸用品に興味津々で匂いを嗅いでいます。子犬の時に暴れ盛りで伽月君のノートをボロボロにしちゃって、彼泣いて怒ってた事もあったっけ。大型犬とは言っても室内で育ててるから、今やすっかりお行儀の良いワンちゃんなんです。
チェックした物を再び袋に収めていると、家中が甘い香りに包まれます。きっと『アレ』かな?
「波那ちゃん、手伝おうか?」
コンロの前で焼きものをしている波那ちゃんの背中に声を掛けて、僕は彼の作業を覗いてみました。やっぱり『アレ 』です、フライパンに小さな円盤状の生地が弱火でじっくりと焼かれています。
「じゃあ、これ泡立ててくれる?砂糖はすり鉢に入ってるのを使ってね」
はい。僕は生クリームの入っているボウルにすり鉢の中で砕かれた黒糖を入れました。それを用意されてある氷水の入った大きなボウルの中に入れ、泡立て器でホイップします。傍らにはこし餡、やっぱり『アレ』だ、僕たち三兄弟が訪ねると大概出してくれるおやつ、僕も何度かチャレンジしましたが彼の味が出せないんです。
僕たちは子供の頃から『アレ』こと波那ちゃんのお手製どら焼が大好きです。きっと僕がここに来ると聞いて急遽作ってくれているんだと思います。こうして目の前で作っているのを見るのは初めて、何か技が盗めたら、と思いながらお手伝いをしていました。
俺は波那ちゃんと一緒にキッチンに居る誠を何となく見つめてた。俺なんかより全然料理上手だし、そう言えば『アレ』を作れる様になりたい、とか言ってたな……。
確かに誠の作るどら焼も美味いんだ、でもどうしても波那ちゃんの作る物とは違う。きっと波那ちゃんにしか出せない味なんだと思うけど、誠の奴えらく真剣に手伝いしてんだよな。
そう言えば兄さん時々ここで波那ちゃんの姿見てニタ付いてるよな……俺自身母親の記憶が残ってないから波那ちゃんって何て言うかお母さんみたいな感覚があるんだけど、それを手伝う誠はさしずめ娘、ってところかな?最近ちょっと雰囲気似てきてるんだよ、あの二人。でもこういう家庭的な嫁さんが良いな、どうせ結婚するならさ……って俺は何言ってんだ!?男二人の炊事する姿から慌てて視線を逸らしてテレビを点ける。
オイオイ、誠は一生涯の友達なんだ、俺たちが結婚(?)なんて有り得ない。何でそんな事考えたんだ?俺どうかしちまったのか?とにかくその事を頭の中から消し去りたくてテレビに集中しようとしてたら脚に重みが掛かってきた。見るとミソラが頭を置いて俺を上目遣いで見つめてる。こういう時の動物の目って純粋さが際立って心の中を見透かされてる様な気分になる。頼むミソラ、今の俺を見ないでくれ……。
それから少しして兄さんが帰宅したので、ミソラの興味は俺から兄さんにとって変わっていた。誠は家に泊まったんだけど、学校の課題の事で波那ちゃんと話し込んでいて、俺はほとんど兄さんと一緒にいた。
そして決戦(?)の日、仲介人の俺は颯天と一緒に老舗の遊園地前で待ち合わせをする。
「ホントにあの『リカちゃん』なのか?」
颯天の奴、浅元ひかりさんの話をしてから定期的にその質問をぶつけてくる。他に言う事は無いのか……?と思いつつ、俺の返答も人の事は言えず、それを直接確かめて欲しい、と今日までに何度吐いたか分からない。
そんなやり取りをしていると、浅元さんはほぼ定刻通りに一人でやって来た。私服姿の彼女はこの前よりも少し大人びて見え、隣に居る颯天をチラ見すると、顔に出ないだけ判りづらいけどガチガチに緊張してやがる。
「お待たせしました、もう少し早く着きたかったんですが……」
「大丈夫だよ、こっちもさっき来たとこだし。早速なんだけど彼が丹波颯天。で、彼女が浅元ひかりさん」
「た、丹波颯天です……怪我の方はもう大丈夫です、よね?随分昔の事なのに何言ってんでしょうね、俺……」
「そんな事ありません……私の事を覚えていただけてるだけでも感激です……」
二人は顔を合わせた瞬間、俺の事などそっちのけですぐに仲良くなった。まぁでも両片想い同士を最高の形で仲介出来た安堵感の方が勝ってたし、この引き合わせ自体勝算もあったから一人蚊帳の外でも大して気にならなかった。
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