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やっとこさ本編
眩しく見えて仕方ない……
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地獄の数学に精も根も尽き果ててる俺は、ヘロヘロになりながらも誠と待ち合わせしてる大型雑貨店の入り口前にいる。そう言えばここ新しいスイーツの店が入ったっつってたな……うしっ、今日は奢ってもらうぞ、誠。因みに今アイツは商店街にある手芸店での買い物を済ませてこっちに向かってるらしい。あっ、来た。
「お待たせぇ~。生地選びに悩んじゃって」
見ると両手一杯の買い物袋、それでここの買い物出来んのか?……で俺を呼んだ訳か。
「おい、タダで荷物係させようって訳じゃないよな?」
「分かってるよ、ここのパフェが食べたいんでしょ。それに今日はお姉ちゃんが迎えに来てくれるから、家まで運ぶ心配しなくて良いよ」
やった♪パフェはタダで食えるし綾姉さんのお迎え付き、数学でくたびれてる俺には誠の自宅までこれを運ぶのはちょっと辛い。
「それにしても今日何だか萎れてない?」
「あぁ~、数学のせいだよ。ったく、史生谷のヤロー」
史生谷?誠は意外なところに反応する。
「あぁ、それがどうかしたか?」
「うん、僕のクラスの先生も史生谷って名前なんだ。因みにどんな字書くの?」
「歴史の“史”に“生“きるに”谷”で史生谷、だけど?」
「一緒だ、ご親戚とかなのかな?」
「さぁな、その話は後にしないか?さっさと買い物済ませてパフェ食おうぜ」
「もぅ、僕の買い物興味無いでしょ?」
当たり前だろ。俺は憎たらしく毒づいてやると、誠の後に付いて画材売り場に向かう。
相変わらず時間のかかる買い物ではあったけど、今回はいつもと違ってかなり積極的な“時間のかけ方”だったと思う。昔は店員さんに声をかけるなんて事出来なかったのに、今日は頭の中にある構想を店員さんに伝えて、色々テスターを使わせてもらいながら一生懸命チョイスしてたんだ。高校生になった誠は物凄い勢いで殻を突き破ってる、心なしか垢抜けてきたようにも見えてくる。
「ゴメンね、時間かかっちゃった」
買い物を終えた誠はご満悦な表情で俺の所にやって来た。その頃退屈しのぎに彫刻刀のテスターで板を彫って遊んでた。
「構わないよ、これで遊んでたから退屈しなくてさ」
俺は会心の出来を誠に見せる。
「……何これ?」
「毛細血管」
「あっ、そう……」
何なんだよ、その反応の薄さは。この細さを維持するには結構な技術が要るんだぞ。するといかにも芸術家風のおっちゃんが俺たちの傍にやって来る。
「ほぉ、これお前さんが?」
はい。俺はおっちゃんにそれを見せると、なかなか筋が良いと褒めてくれた。
「して、これは何だ?」
「毛細血管です」
むむっ、おっちゃんは会心の出来を見て唸ってる。
「そのセンスはさっぱり分からんが……ワシならこうやるかな」
そう言っておもむろに一本の彫刻刀を掴んで物凄い早さで何かを彫り始めた。俺はその刀さばきに見惚れてると、おっちゃんはあっと言う間に完成させてた。
「す、凄ぇ~」
「まぁ経験の賜物だ、続けりゃこんくらいはすぐ出来るようになるさ」
イヤイヤイヤ、俺たちは麗未ちゃんどころじゃないレベルを見せ付けられて閉口してると、さっき彫った物を朱色の絵の具で刷った紙をくれた。おぉ~、毛細血管と判るように手の形にして、刷る事も考えて浮き彫りにしてあるんだ。こうすると一目見て毛細血管を表現してるって分かるもんな。この人マジで芸術家だったりして……。
「こうすると毛細血管って分かるね、伽月君のじゃ分かんないもん」
あのさぁ、それとなく俺の“作品”けなすなよ。すると誠の接客をしてたお店のお姉ちゃんが、先生とおっちゃんに声を掛けた。
「今日も宜しくお願いします、それにしてもお早いですね」
「散歩コースのパチンコ屋が臨時休業しててな……ところで君、大学生か?」
おっちゃんは俺に年齢を訊ねてくる。あの、一応制服着てるんですけど。
「高校生です」
「細身だがなかなか良い体格しとるな、スポーツは何か?」
「一昨年まで相撲を、今は何も」
「そうか、まぁ細過ぎて当たり負けするんだな。時々グレちまうガキんちょがおるんだがお前さんは大丈夫そうだな」
「はい、親居ないんでちょっとした事で悪目立ちするんです」
なるほどな。おっちゃんはそう言って木製の球を差し出してきた。
「君ならこれで何を作る?」
「心臓の模型を作ります」
「ほほほ、随分と大作を……出来上がったら見せてくれんか?」
はい。俺はおっちゃんとささやかな約束を交わして球体を受け取った。
「お待たせぇ~。生地選びに悩んじゃって」
見ると両手一杯の買い物袋、それでここの買い物出来んのか?……で俺を呼んだ訳か。
「おい、タダで荷物係させようって訳じゃないよな?」
「分かってるよ、ここのパフェが食べたいんでしょ。それに今日はお姉ちゃんが迎えに来てくれるから、家まで運ぶ心配しなくて良いよ」
やった♪パフェはタダで食えるし綾姉さんのお迎え付き、数学でくたびれてる俺には誠の自宅までこれを運ぶのはちょっと辛い。
「それにしても今日何だか萎れてない?」
「あぁ~、数学のせいだよ。ったく、史生谷のヤロー」
史生谷?誠は意外なところに反応する。
「あぁ、それがどうかしたか?」
「うん、僕のクラスの先生も史生谷って名前なんだ。因みにどんな字書くの?」
「歴史の“史”に“生“きるに”谷”で史生谷、だけど?」
「一緒だ、ご親戚とかなのかな?」
「さぁな、その話は後にしないか?さっさと買い物済ませてパフェ食おうぜ」
「もぅ、僕の買い物興味無いでしょ?」
当たり前だろ。俺は憎たらしく毒づいてやると、誠の後に付いて画材売り場に向かう。
相変わらず時間のかかる買い物ではあったけど、今回はいつもと違ってかなり積極的な“時間のかけ方”だったと思う。昔は店員さんに声をかけるなんて事出来なかったのに、今日は頭の中にある構想を店員さんに伝えて、色々テスターを使わせてもらいながら一生懸命チョイスしてたんだ。高校生になった誠は物凄い勢いで殻を突き破ってる、心なしか垢抜けてきたようにも見えてくる。
「ゴメンね、時間かかっちゃった」
買い物を終えた誠はご満悦な表情で俺の所にやって来た。その頃退屈しのぎに彫刻刀のテスターで板を彫って遊んでた。
「構わないよ、これで遊んでたから退屈しなくてさ」
俺は会心の出来を誠に見せる。
「……何これ?」
「毛細血管」
「あっ、そう……」
何なんだよ、その反応の薄さは。この細さを維持するには結構な技術が要るんだぞ。するといかにも芸術家風のおっちゃんが俺たちの傍にやって来る。
「ほぉ、これお前さんが?」
はい。俺はおっちゃんにそれを見せると、なかなか筋が良いと褒めてくれた。
「して、これは何だ?」
「毛細血管です」
むむっ、おっちゃんは会心の出来を見て唸ってる。
「そのセンスはさっぱり分からんが……ワシならこうやるかな」
そう言っておもむろに一本の彫刻刀を掴んで物凄い早さで何かを彫り始めた。俺はその刀さばきに見惚れてると、おっちゃんはあっと言う間に完成させてた。
「す、凄ぇ~」
「まぁ経験の賜物だ、続けりゃこんくらいはすぐ出来るようになるさ」
イヤイヤイヤ、俺たちは麗未ちゃんどころじゃないレベルを見せ付けられて閉口してると、さっき彫った物を朱色の絵の具で刷った紙をくれた。おぉ~、毛細血管と判るように手の形にして、刷る事も考えて浮き彫りにしてあるんだ。こうすると一目見て毛細血管を表現してるって分かるもんな。この人マジで芸術家だったりして……。
「こうすると毛細血管って分かるね、伽月君のじゃ分かんないもん」
あのさぁ、それとなく俺の“作品”けなすなよ。すると誠の接客をしてたお店のお姉ちゃんが、先生とおっちゃんに声を掛けた。
「今日も宜しくお願いします、それにしてもお早いですね」
「散歩コースのパチンコ屋が臨時休業しててな……ところで君、大学生か?」
おっちゃんは俺に年齢を訊ねてくる。あの、一応制服着てるんですけど。
「高校生です」
「細身だがなかなか良い体格しとるな、スポーツは何か?」
「一昨年まで相撲を、今は何も」
「そうか、まぁ細過ぎて当たり負けするんだな。時々グレちまうガキんちょがおるんだがお前さんは大丈夫そうだな」
「はい、親居ないんでちょっとした事で悪目立ちするんです」
なるほどな。おっちゃんはそう言って木製の球を差し出してきた。
「君ならこれで何を作る?」
「心臓の模型を作ります」
「ほほほ、随分と大作を……出来上がったら見せてくれんか?」
はい。俺はおっちゃんとささやかな約束を交わして球体を受け取った。
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