どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

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やっとこさ本編

……白雪姫を演じられたお蔭で

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 芸術家風のおじさんから木製の球体を受け取った伽月君はそれをじっと見つめています。早速構想でも練ってるのかな?でも何で心臓なの?
 「さっきの話に戻るが、お前さんその子が抑止力になっとるんじゃないんか?」
 おじさんは僕の顔を見て優しく微笑んでくれます。えっ……?そう言うのって個人的な性格の問題なんじゃないの?だって外的要因だとしたら親が同じなら子供全員がグレちゃうって理屈になるもんね。伽月君って今でこそ派手目なルックスの割にくそ真面目なところあって、泰地君の背中見てたらグレてられないって考えてそうだもん。
 きっと僕と出逢わなくても彼は真面目に生きてるよ……僕は何となく伽月君を見上げてしまいます。伽月君は球体から視線を外して僕のを見下ろしてきたので目が合ってしまいました。何だろ?これまでと見え方が違う様な気がする……。
 「確かにいくらかはあると思います」
 彼はそう言っておじさんの方に視線を戻しました。
 「それでも兄の事が第一にありますね、自分のしたい事を諦めたり我慢して俺を養う選択をしてるだけに、あまり不要な心配掛けたくないんです」
 「そうかい……ただ兄さんはお前さんが思ってるほど我慢はしとらんと思うぞ。変な引け目はかえって失礼だ」
 「……仰る、通りかも知れません」
 伽月君は再び球体をじっと見つめています、今何考えてるんだろ……?
 「誠」
 ん?僕は伽月君を見上げると、相変わらず真剣に球体を見つめています。ど、どうしたの……?何故かちょっぴり素敵に映っちゃって心なしかドキドキしてしまいました。
 「……腹減った、パフェ食わせろ」
 「はあっ!!?」
 それ今言うかっ!?さっきのドキドキ返してよ!
 「じゃあな、おっちゃん。また来るよ」
 彼はおじさんにビラビラと大きな手を振って店をあとにします。目上の方なんだからせめて丁寧語使おうよぉ……僕はおじさんに一礼して後を追おうとしました。
 「おチビちゃんよ、ちょいと良いかい?」
 僕は足を止めて振り返ると、おじさんはチラシらしき紙を手渡してきました。
 「ワシがここに居る日が書いてあるからさっきの青少年に渡してくれ。それともう一個」
 僕はチラシを受け取って次の言葉を待ちます。
 「この手を離さないでやってくれ」
 え……?僕は何の事を仰ってるのかすぐには理解出来ませんでした。するとおじさんは僕の右手を取って微笑みかけてくれました。
 「近い将来恋人が出来たりもするだろうけど、何があってもあの子を見放さないでほしい」
 「はい、彼はいつだって僕を支えてくれてますから、一生掛けて恩返ししたいんです」
 僕はおじさんに頷いてみせましたが、何故かホッホッホ、と笑われてしまいました。
 「君はまだ気付いとらんみたいだな……どんな形であれこれからも仲良くな」
 はい。僕はおじさんと握手を交わして一礼してから、先に行ってしまった伽月君を追い掛けました。

 ……で、今は新しく出来たカフェで、男二人でパフェを食べてます。僕はセットメニューの抹茶パフェを頼んだのでパフェは小さめ。伽月君はキングサイズのチョコレートパフェを嬉しそうに頬張って、近所の席の女の子たちの注目の的になってます。多少好奇の視線ではあるのですが、彼高身長のイケメンなのでこう、女性の多く集まる場所だとどうしても目立ってしまいます。しかも普段から二人分食べるからその食欲で注目されちゃう事も……。
 『あの男の子細いのに凄い食欲ね』
 『でも見た目可愛くない?』
 なんてヒソヒソ話も聞こえてきますが、ここは一切視界に入れないのが一番。まぁ噂されてる本人は慣れっこなのか全く気にせず調子よくパフェを消費中なので。……っと、お姉ちゃんからメール来た。
 『今着いた、何処に居るの?』
 僕は六階のカフェに居る、と入力して送信します。伽月君は一旦手を止めて綾姉さんか?と訊ねてきました。
 「うん、今着いたって。もうすぐ来ると思うよ」
 お姉ちゃんにたかろうかな?そんな事を考えながらパフェを口に入れると、二人組の女子大生っぽい方が僕たちのテーブル席にやって来ました。な、何のご用でしょうか……?
 「ねぇ、君たち高校生?」
 えっ?これってもしかしてナンパってヤツですか?でも僕ちっとも嬉しくない、まぁお二人とも伽月君しか視界に入ってませんけどね。僕は伽月君を見ると……全くの無視で相変わらずパフェに夢中です。どうしよう、無視するのもなぁ……したいけど。
 「この後予定とかあるの?」
 「えぇ、家族と待ち合わせを……大荷物なので」
 「それなら荷物だけ預けて私たちと遊ばない?」
 嫌です。本音はそうですが宿題が多くて……と何とか退いてもらおうとしますが……ホント時には諦めも肝心だよ。お目当ての伽月君には相手されてないし、お姉ちゃん来たらどうなっても知らないよ。
 
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