どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

文字の大きさ
41 / 145
やっとこさ本編

……隠し事って気持ち悪くて

しおりを挟む
 夕食を済ませて、僕と伽月君は部屋に戻って勉強……ではなくほぼお絵描き中です。言い訳させてもらうと僕は一応勉強だよ!どんな絵にするかとかの構想も含めてのお絵描きですから。伽月君は一体何の絵を描いているのか、訊ねても教えてくれません。
 「完成したら見せてやる」
 との事、ぼやっと想像は付いてるんだけど……彼美術系得意だから、相撲を諦めた時一瞬そっちに進路変更するかと思ったくらいだもん。彼は僕以上に一心不乱に画用紙に向かっていて、まさに“真剣そのもの”です、ただ……。
 「何で僕より先に新品使うの?」
 「ん?この色が俺に使ってくれ~、って言うからさ」
 「またそのくだり?絶対言わないから……」
 「お前は心が澄んでないから聞こえないんだ、よーく耳をそばだててみろ」
 伽月君は買ったばかりのクーピーに耳を付けています。僕にもそれをやれってか……?や、やんないからね。
 「そういう勝手な事言う人にはもう貸してあげない」
 僕は自分の都合の良い言い訳ばかりする彼にプチお仕置きをしてやります。伽月君の持ってるクーピーを取り上げてケースに戻しました。
 「おいっ、まだ使ってんだぞ」
 「使うのは構わないけど、借り物って意識持たない人には貸してあげない」
 僕はわざと怒った素振りで絵の具とクーピーを片付けます。どのみち使うからほとぼり冷めたら出しますけどね。
 「一旦は合意してんじゃねぇかよ、ケチ臭い事すんな」
 「だからって多少の気遣いはあったって良いでしょ?」
 「気遣いなら最低限してるだろうが」
 ……まぁ、彼物の取扱いは丁寧な方だから。そこを怒ってるんじゃなくて!……ってアレ?となると僕も大概勝手だな。その考えに行き着いた途端今の行動が急に無駄に思えてきました。感情としては出来れば新品は僕が先に使いたい、でも言われた通り貸すこと自体はちゃんと合意してるんだよね。そう思い直した僕は片付けるつもりだった画材道具をテーブルの上に戻しました。伽月君はその様子を不思議そうに見つめていますが、今の僕にその視線はちょっと痛いです……。
 「誠?」
 「……うん」
 「いや、『うん』じゃ分かんねぇ」
 伽月君は眉間のシワを寄せて怪訝そうな顔つきになります。
 「だから……ゴメン」
 「何に対して謝ってんだ?ここ二~三日変だぞ」
 変……自分でもそう感じてます、だって夕飯時みたいなの嫌だもん。
 「何かさ、学校でウ〇コ我慢してる小学生みたいな顔してんぞ」
 「もう少しマシな表現無いの!?」
 「しょうがねぇだろ、それが一番しっくりきたんだからさ」
 ううっ、それ言われるのちょっと厳しい。やっぱり彼に隠し事は無理だよぉ~!僕は意を決して今持ち込んでいるモヤモヤを吐き出す決意をしました。
 「あのさ、話脱線しても良い?」
 ん?伽月君は座り直して僕の方に体を向けてきます。
 「輝君家が『マカロワさん』って名前のお弁当屋さんなのは知ってるよね?」
 「あぁ、◇◇高のすぐ近所なんだろ?」
 うん。余談の様な気もしましたが、輝君と呼ぶようになったくだりも話した方がスッキリしそうです。
 「十日ほど前学校帰りに偶然会って、その時ちょっとだけ二人で話したんだ。それで『同い年なんだから輝って呼んで』って事になって……」
 「……そうか」
 「その時はそれだけで別れて、一昨日僕のクラスの劇が終わって、伽月君と家族が教室に来てくれた少し前に輝君も来てくれたんだ。その時に花束もらって告られて……」
 「あぁ、知ってる。アイツ筒抜けになる覚悟をしてたみたいだ」
 昨日聞いた。僕はその言葉に力が抜けてしまいました。
 「……知ってたの?」
 「まぁ……バイトの後会ったんだ」
 そうだったんだ……輝君僕たちの事ちょっと勘繰ってるみたいだったから。ただ〇〇高校の他の生徒の方からもラブレターめいたもの頂いちゃってるんだよねぇ……その方はお断りするつもりなんだけど、彼結構なイケメンだったなぁ。
 「お前、光畑諒って男にも告られたんだろ?昼飯ん時輝に宣戦布告しに来たからな」
 ええっ!?それも知ってたの?僕の体が熱っぽくなってきます、多分顔真っ赤になってるハズ。
 「か、彼の方はお断りするつもり。だって……」
 「輝の事で手一杯なんだろ?」
 「それだけじゃないよ……彼にときめきは感じなかったから」
 「そうか。そう言えば輝から連絡先くらいはもらってんだろ?」
 「うん。ただ何を話せば良いのか分かんなくて」
 「まずはメールでいいから返してやれ、なるべく早めにな。んで一回くらいデートしろ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

処理中です...