どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

文字の大きさ
46 / 145
やっとこさ本編

…事態は着実に動き出す…

しおりを挟む
 どこからそんな発想が出てくるの!?もう弟の言葉とは思えません。
 「何でそうなるの!?」
 「そう見えてるからだよ、前々からいつか言ってやろうと思ってたんだ。それとも他に好きな人でも?」
 その時ふっと輝君の事を思い出しました。今晩のうちにメールしようと思ってたんだ。きちんと彼の人柄を知った上で考えよう、まずはコミュニケーションを取るために僕の連絡先を教えるつもりなんです。
 「……その方向で考えようかな?って人はいる」
 「ふぅん、多分無駄骨だと思うけど」
 勇は僕の淡い悩みをばっさりと切り捨ててきやがります。そんなの分かんないじゃない!
 「何?嫌な言い方するね、始まってもいないのに」
 「そりゃさ、宿命までは変えられないからね。その気になって変えられるのは運命までだよ」
 それにさ。勇は元に戻った大きな目を僕に向けてきました。
 「悪いけど伽月君以外の人は認めないよ」
 「別に認めてもらわなくて良いもん、何で僕の恋人選びに勇の許可が要るのさ?」
 「今に分かるよ、僕の言ってる事がね。それとさ、もし伽月君と付き合う事になったら兄ちゃんのクラスメイト紹介してよ」
 「紹介したって子供は相手にされないよ」
 「そんなの分かんないじゃないか!」
 分かるね。この年頃の女の子は基本歳上を好むものなのさっ、まぁ伽月君の前カノみたいな事もあるけどそれは多分見た目だってあったと思うよ。
 「伽月君は歳上と付き合ってた!」
 「畠中家と小田原家とのルックスの出来の差を考えなさい」
 うっ……勇はガックリと肩を落としてしまいます。思春期の男の子には厳しい話かも知れませんが、現実はしっかりと受け止めようね、弟よ。僕は洗い物を終えたので、もう少し絵本の構想を練ろうと部屋に戻ります。
 「部屋に戻るね、宿題残ってるから」
 「うん……でもさっき言った事忘れないでよ」
 分かったよ……一応そう返事はしましたが多分これまでと変わらないと思うよ。それにしても随分と押してきたなぁ、普段こんな事なかなか無いのでそれが逆に僕の頭から離れなくなりました。

 日付変わって、普段通り学校に到着した俺は、おはようと声を掛けられた。聞き馴染みのある声だったので振り返ると遵斗がにこやかにこっちにやって来る。
 「うす、今日遅くないか?」
 「あぁ、電車がちょっと遅れてさ」
 そっか。俺たちは何気無い言葉を交わしてごく普通に並んで歩く。一年生の教室は二階にあって、階段を昇って左折するとABC組、右折すると俺たちDEF組になってる。
 「テスト月末だな、ちょっと息抜きに金曜の放課後遊ばね?」
 「金曜かぁ……バイトなんだよ」
 「何時に終わるんだ?実は知り合いからライブハウスのチケット譲ってもらったんだ」
 遵斗はケータイを取り出してライブハウスの場所の地図を見せてくる。商店街の地下エリアかぁ、バイト先から一駅だし土曜は数学無いから行こうかな?
 「四時に入って七時に終わる、間に合うか?」
 「前座があるから間に合わなくてもいいよ、それよりバイト先から近いのか?」
 「あぁ、電車で一駅」
 「それなら大丈夫だよ、決まりだな」
 「一応保護者にメールだけしとく」
 「何でだよ?別にいちいち言わなくても……」
 遵斗はケータイを取り出してメールを打つ俺を変な顔で見る。
 「俺居候だからさ、保護者の一人は体弱いから余計な心配かけない様にしてるだけだよ」
 へぇ。その返答が俺にはちょっと引っ掛かったけど、その時は大して気にも留めずに波那ちゃんにメールを送信した。

 で、教室に入るともうほとんどのクラスメイトが顔を見せてて賑やかな状態になってた。その中で輝は一人席に着いてニタニタしてる。
 「うす、何ニタニタしてんだよ?」
 俺は自分の席に着いて隣の輝に声を掛ける。
 「あぁ、おはよう。一歩前進したよ」
 前進?そうか、誠の奴昨日のうちにメールしたんだな。
 「何がだよ?」
 俺と一緒に居る流れで遵斗も話に参加する。
 「“白雪姫”からメールが来たんだ、ちょっとした自己紹介だけだったけど、ですます調が可愛くて」
 「それってよそよそしい感じしないか?」
 「変に馴れ馴れしいのより全然良いよ」
 「何か変にご機嫌伺われてる様で嫌だけどな」
 そお?輝と遵斗の会話が盛り上がり始めたので俺は何となく気持ちが離れてよそ見すると、教室の入口付近で田丸が何か言いたげにこっちを見てる。普段ならずかずかと中に入ってくるのに……立ち上がろうとする俺の腕に物凄い負荷が掛かってきた。
 「どこ行くんだよ?もう一~二分もしたら予鈴鳴るぞ」
 「あぁ……そっか」
 腕の負荷は遵斗によるもので、時計を見ると確かにもうすぐ予鈴の時間だ。廊下に立ってる田丸に今は無理だと視線を送ると、アイツも分かったと胸辺りで右手の平を見せると教室に戻っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

処理中です...