どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

文字の大きさ
55 / 145
やっとこさ本編

……今日は来客多し

しおりを挟む
 「こんにちは~」
 はぁい。晋が玄関へ駆けていく、隼人君です。お昼ご飯も出来てるよ、本日は簡単で大量に作れるカレーライスにしました。
 「うわぁ、カレーだ♪」
 小学生の男の子は基本カレーライスが大好きです、今日は定番の具材であるニンジン、タマネギ、ジャガイモ、チキンで作りました。夏野菜カレーも考えましたが、隼人君はナスが苦手なので取り止めです。
 「まこちゃん、僕お手伝いする!」
 隼人君は早速手を洗ってカレー皿の準備をしてくれます。晋は……冷蔵庫から麦茶を出して三人分のグラスに注ぎ分けてます、偉いぞ、弟よ。
 二人の手伝いのお陰で支度はスムーズに進んで正午のサイレンを待たずに昼食、いただきます。隼人君も晋も美味しそうに食べてくれる、僕は自分の作った料理を食べてくれる姿を見てると幸せな気持ちになります。
 「ねぇまこちゃん」
 隼人君は一旦手を休めて僕の顔を見つめてきます。口の端っこにカレーがちょっと付いてる、僕は自分の口の端を突っついてティッシュの箱を差し出すと、頬を赤くして慌ててティッシュで口を拭ってます。可愛いなぁ。
 「どうしてそんなにお料理上手なの?」
 えっ?そ、その質問難しいなぁ……僕そこまで料理上手じゃないし、最近毎日台所に立ってないからなぁ。でも強いて答えられるとしたら……。
 「出来る限り食事の支度の手伝いはするようにして、お父さんやお母さんが台所に立つときはなるべく隣に居て手さばきを見てたんだ。覚えてきたらそれを真似てみて、練習を積んだら上手になってくる……と思うよ」
 「やっぱりお手伝いしないとダメだよね?」
 「少しずつで良いと思うよ、嫌な時までする必要無いって」
 うん。隼人君はにっこりと微笑みを見せて頷きました。ホント可愛いんだ、彼。この前親御さんは『誠君の言うことだけは素直に聞く』なんて仰ってたけど、真っ直ぐな良い子だと思います。だた一人の例外を除いては……。
 と昼食を摂ってる矢先にメールが、伽月君だ。
 『もう着くぞ~、腹減った』
 ……ホント口癖みたくなってるじゃない、二言目には『腹減った~』って。僕は食事を中断して伽月君とお友達の分……要るよね?お口に合うかなぁ?ちょっとドキドキしながらも二人分のカレーライスとポテトサラダを準備します。伽月君の分は大皿で、お友達は……普通サイズで良いよね?
 そんな風に変な気を回してる間にインターフォンが鳴ります。
 「僕が出るね」
 晋が玄関のドアを開けると伽月君の声が聞こえてきました。もう一方の声を聞こえてきます。
 『初めまして、田丸礼於梛と申します。お近づきの印のどうぞ』
 『ありがとうございます、どうぞ御上がりください』
 ん?この声どこかで聞いた事が……友達ではないけど知ってる方だと思います。彼は晋の案内でキッチンに入ってきた様です、隼人君もこんにちは、と挨拶する声が聞こえてきました。僕はガスを使ってるので音で様子を伺っているのですが……伽月君が最後に入ってきた途端隼人君の態度は一変します。
 「まぁた来やがったか、伽月ぃ」
 「相も変わらず態度でけぇなお前、たまにしか来ねぇ割には」
 ……また始まりました、隼人君彼に対してだけは生意気少年に早変わりしてしまうんです。晋に言わせると『ライバル視してる』らしいのですが……。
 「今日こそ決着を付けてやるっ!」
 「何のだよ?連戦連敗のへなちょこが」
 ったく、伽月君も大人げないなぁ……小学生vs高校生、ましてアナタ大柄なんだから。まぁ手加減はしてる様だけど。
 「こんにちは、お邪魔してます」
 はっ!そうだ、伽月君のお友達……僕は支度の手を止めて振り返ると、パンダ模様の子猫をすぐに思い出しました。
 「あっ!あの時の……」
 「良かった、覚えててくださって。田丸礼於梛と申します」
 「小田原誠と申します……宜しければ昼食、いかがですか?」
 「僕も頂いちゃって良いんですか?」
 「もちろんです、お口に合うかは分かりませんが是非……」
 いただきます。田丸君はとっても綺麗な笑顔を見せてくれた上にお手伝いまで買って出てくださいます。
 「お、お客様にそんな事……」
 「気にしないでください……それより敬語止めましょうか、同い年だから」
 「そ、そうですね……じゃなかった。そう、だね」
 慌てて訂正する僕を見て、田丸君はふふふと上品に笑いました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

処理中です...