どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

文字の大きさ
59 / 145
やっとこさ本編

……何だかとってもほっこりしてます

しおりを挟む
 それから一週間が経過して、僕たちは期末テストに臨みます。前回はちょっと良くなかったんだよね、赤点こそありませんでしたが。今日は保育と数学です、僕今回保育の試験勉強結構頑張ったよ!まんべんなく勉強したつもりだけど、ことごとくヤマが外れたらちょっとショックかも……。
 「始めっ!」
 先生の合図と共に裏返っている問題用紙を表に向けると……うわっ!いきなり分かんないよ!授業でやった問題ばかりのはずなのに。仕方無い、次の問題に向かいます。らっきぃ♪この問題は解けます、だってさっき教科書に載ってたのを暗記した項目だったから。
 きっと僕以外の皆もそんな事を思いながら一喜一憂して試験に臨んでいたと思います。地獄の試験も金曜日の倫理を最後に、出来はともかく何とか無事に乗り切る事が出来ました。

 「あ~今回の被服悲惨かも……」
 テストを終えた僕たちは、以前伽月君と輝君と出会った大型スーパーのフードコートでたむろしてます。ひかりちゃんは飲み物を持って席に着くなりおっさんみたいな溜め息を吐いてテーブルに突っ伏しています。
 「何言ってんの?技能あんなに得意なのに」
 「筆記はダメなの、あんなの頭で学ぶモンじゃないってぇ」
 やべぇよぉ~。彼女時々言葉遣いが粗野になります、折角の美人が台無しだよ、このあと颯天君と待ち合わせなんだから。
 「〇〇高校ってテスト明日までだよね?」
 「うん、そう聞いてるけど一科目だけなんだって」
 ……このところ伽月君から連絡が無いんです、先週末の試験勉強以来〇〇高校の事はほぼ輝君からの情報なんです。僕たちは毎日の様にメールのやり取りをしています、テスト期間中も『頑張ろうね!』とお互いを励まし合って試験に臨んでいました。僕はお蔭様で前回よりも出来は良かったと思います、彼の優しい気遣いと励ましは僕にたくさんの力をくれました。来週末に老舗の遊園地で遊ぶ予定なんです、今からドキドキワクワクしながら彼に会えるのを指折り数えて待っているんです。こんな気持ち初めてかもしれません、心がとってもほっこりしてて、つまらないと思っていた毎日に色が増えたみたいにいつもと違う様に見えるんです。日常生活って案外幸せなんだな、そんな事を考えている小田原誠です。
 「ゴメン、ホームルーム長引いちゃってさ」
 颯天君がひかりちゃんに嬉しそうに声を掛けています。あれ?今日一人じゃないんだね……って、て、輝君!?
 「お邪魔します、付いて来ちゃいま……誠君!?」
 輝君も僕を見てびっくりしてるみたいです、だって約束してこうなってる訳じゃないもんね。僕は何だか戸惑ってしまいます、心の準備全然出来てなかったよ……。
 「まさかここでも会えるとはね」
 輝君はすっと僕の隣の椅子に座ります。
 「うん、びっくりしちゃった」
 彼は今日も変わらず綺麗な笑顔を見せてくれます。僕の心はちょっぴりときめいて自然と笑顔になってしまいます。颯天君とひかりちゃんはすっかりラブラブモード、ピンクのハートがゴロゴロと転がってきます。
 「伽月も誘ったんだけど……」
 そうなの?こういうの基本断らないのに、珍しい事もあるもんだなぁ。
 「因みに明日は?」
 「数学だよ、ただ一昨日辺りから体調悪そうなんだよね……」
 そうだったんだ……日曜日に『テスト頑張ろうね』ってメール送ったきりだもんね。この前会った時は元気だったのに、ちょっと心配だなぁ……。
 「風邪でも引いたのかな?」
 「う~ん、昨日病院に行ってきたらしいんだけど、ウイルス性のものじゃないって。それでも咳が止まらなくて、最近ずっとマスク着けてるよ」
 丈夫そうな印象あったんだけど。最近知り合った輝君にはそう見えても当然だと思います。僕も話でしか知らないけど、彼子供の頃は喘息持ちだったそうで、気管支は本当に弱いんです。
 「明日でテスト終わるから、日曜日にでもお見舞いに行ってみない?」
 「うん、先にご家族の方に聞いてみる、返答貰えたら連絡するね」
 「そうだね、いきなり押し掛けるのもご迷惑になりかねないから」
 僕はケータイを取り出して波那ちゃんにメールを送信します、今は仕事中だろうからお昼過ぎに返信ありそうだな。
 この後颯天君とひかりちゃんは一足先にここを出て二人きりの時間を過ごし、僕たちはここで軽食を摂ってから図書館の近所にある歴史博物館へ行きました。輝君は歴史が好きみたいで色んな事を教えてくれました。そして初めて手を繋いで歩き、恥ずかしさもあったけど優しくエスコートしてくれる彼に、僕の気持ちは完全に傾き始めていました。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

処理中です...