どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

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やっとこさ本編

……ところが週末に緊急事態発生!

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 土曜日の午前中、僕は昨日のドキドキを心の中で反芻しながら上機嫌な休日を過ごしています。波那ちゃんからもお見舞いの許可も頂いているので、明日伽月君の自宅へ輝君と一緒に行く事にしました。何かお見舞い用にお菓子でも作ろうかな?そんな事を考えながらリビングで一人の時間を過ごしています。お父さんは家に居るけど昨夜遅く帰ってきたので多分まだ寝てると思います。
 ちょっと料理番組でも、とテレビを点けると桃の缶詰めを使ったゼリーを作っています。彼はどら焼に次いでゼリーが大好きなんです、僕は慌てて録画ボタンを押してレシピのメモを取りました。これでお見舞い品も決まった、番組終わったら作ってみようと決めたところでケータイが震え始めました。輝君から通話着信です、一体どうしたのかな?もしもし、彼の声は何だか慌ててる様でした。
 『伽月が倒れた、ご家族の方に連絡してもらえるかな?』
 えっ……?確かに体調不良とは聞いていましたが、まさか倒れるほどの事態になるなんて……僕は想像以上のショックで言葉が出てきません。
 『誠君、聞いてる?』
 「……分かった、連絡する」
 僕は放心状態のまま通話を切り、波那ちゃんのケータイ番号に通話発信します。三回ほどのコールではい、と穏やかな声で通話に出てくださいます。
 「誠です」
 『うん、どうしたの?』
 「今伽月君のクラスの子から『倒れた』って電話かあって……」
 『分かった、星哉には僕が連絡する。今学校に向かってるから』
 「えっ?」
 『テスト終わってすぐに病院に連れていく予定にしてたんだ。今日は熱っぽかったみたいだし、子供の頃掛かり付けだった病院で改めて診てもらおうところで思って。ΔΔΔ区立病院だよ』
 分かりました。僕は通話を切り、居ても立ってもいられなくて何故か身支度を始めてしまいます。そのタイミングでお父さんが起きてきて、どうしたんだ?と訪ねてきます。
 「お父さん、ΔΔΔ区立病院に行ってくる」
 何で?お父さんは不思議そうに聞いてきます。ΔΔΔ区は伽月君と泰地君が春先まで住んでいた所です、ここからだと交通機関を使って一時間ちょっと掛かります。
 「伽月君が倒れた、って……彼の学校の友達から連絡があったんだ。波那ちゃんにその事伝えたら『ΔΔΔ区立病院に連れていく』って。星哉君もう学校に向かってるんだって」
 「って事はまだ病院に着いてないだろうし、入院すると決まった訳でもないだろ?ちょっと落ち着きなさい」
 お父さんは僕の二の腕を擦りながら言います、子供の頃から僕たちが慌てた行動を起こし出すとこうやって気持ちを鎮めてくれるんです。
 「まずはその連絡をくれた子に波那ちゃんに伝えた事と病院名を教えてあげなさい。それと泰地君に連絡して、今は波那ちゃんからの連絡を待ちなさい。身支度はそれから」
 はい……僕は身支度を止めてケータイを掴み、輝君に波那ちゃんに伝えた事と病院名とメールで知らせました。その後泰地君に通話発信すると、ワンコールもしないうちに通話に出てくれました。
 『伽月、倒れたんだってな。今颯天から連絡もらったんだ、さすがに兄さんと波那ちゃんの連絡先までは知らなかったみたいで』
 午前中で仕事は切り上げるよ、泰地君はそう言いました。
 『喘息がらみの事だと俺しか分かんないから。会社に帰省出来るか掛け合ってみる』
 泰地君は仕事中だったのでそれで通話は切りましたが、颯天君の機転も手伝って少し落ち着いてきましたが、やっぱり伽月君が心配です。
 「お父さん……」
 「分かった、もしもの時は病院まで車で行こう。そうなると波那ちゃんも連れていく必要があるからね」
 顔洗ってくる。お父さんは洗面所に向かい、僕は波那ちゃんからの連絡を待ちました。

 ーーそれから一時間ほどが経過してーー
 ブーッ、ブーッ、ブーッ。
 「はい」
 僕は画面もろくにチェックせずに通話に出てしまいましたが、波那ちゃんの優しい声で、誠君?と聞こえてきました。
 『伽月入院だって、一泊か二泊程度だそうだけど』
 そうですか……僕は一緒に待機してくれてるお父さんを見ます。
 「代わるよ、今のうちに支度してきな」
 「波那ちゃん、ちょっと待って。お父さんと代わるから」
 えっ!?波那ちゃんはびっくりした声を上げていましたが、僕はお父さんにケータイを渡して身支度を再開します。その間お父さんが波那ちゃんと通話して、ΔΔΔ区立病院へ波那ちゃんも一緒に乗せて行く話がまとまりました。
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