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やっとこさ本編
……桃のゼリー
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ΔΔΔ区立病院から戻った僕は、何だか落ち着かなくてキッチンに立っています。作ってるのは桃のゼリー、今朝テレビで流れてたあのレシピです。伽月君に持って行こうと思ってたんだけど……お水飲むのも辛そうにしてたからかえって迷惑かな?それに検査入院で立て続けに見舞いに行くのも変なのかな?波那ちゃんにはまだ伝えていませんが、結局明日予定してたお見舞いの話は輝君と話し合って取り止める事にしたし、今してる事もひょっとして無駄なのかな?
体調悪くて声が出なくなっちゃったのもあるのかも知れないけど、今日の彼凄く素っ気なかった気がします……ほとんど目も合わせてくれなくて、手を握ってみても握り返してくれなかったんです。それが何だか寂しくて、これまでの関係に急激な変化が起こってるような気がして怖くなってしまいました。
輝君とも伽月君とも仲良くしたいと願うのは贅沢なんでしょうか?僕は輝君も伽月君も大好きなのに、どうしてこんなに寂しい気持ちになるんでしょうか?僕は小鍋に入っている砂糖水とゼラチンの液体をクルクルと混ぜながらその事で頭が一杯になっていました。ゼリーは滞りなく完成して冷蔵庫の中で冷やしていますが、どんな作業をして作り上げたのか、記憶に留まっていないんです。美味く出来てると良いのですが……。
夕飯時になるとゼリーは綺麗に固まっていました。念のためお見舞い用と家族用に分けておいたので、美味しく出来たらご自宅の方に持って行こうかな?と考えています。
今日の夕食はお父さんが担当してくれます。僕は食器を並べたり洗い物をしたりとサポート役です。それにしてもいつ見てもお父さんの手際は素晴らしく、包丁さばきも見事です。調理師資格を持ってるので高校生の僕ごとき足元にも及ばないのは当然なのですが、もっともっと上達して家みたいな家庭を作れるようになりたいなぁ……保育士の夢と共にずっと持っている夢、なんです。表向きは保育士の事しか言いませんが、それでも笑われる事があって正直何度か不本意な思いをしたものです。
「誠、マヨネーズ出して」
はい。僕は冷蔵庫に走ってマヨネーズをお父さんに手渡します。今日はエビマヨ、晋のリクエストで天麩羅から急遽変更となりました。その晋は今日も深夜アニメの録画を見ています。勇はお風呂、お母さんとお姉ちゃんはもうすぐ帰宅、とメールがありました。
するとリビングに置いてあるお父さんのケータイが震え出して、晋が録画再生を中断させて画面を覗いています。
「お父さーん、お姉ちゃんからだから僕出てもいい?」
「あぁ、頼む」
晋はお父さんのケータイを掴んで通話に出ています。
「今お父さん夕飯の支度してるんだ、お母さんはまだ……まこ兄ちゃんはお手伝い、さむ兄ちゃんはお風呂……事故?大丈夫なの?……振替輸送のバスに乗るんだね……そう伝えとく……分かった」
晋は通話を切るとお父さんのところに駆け寄ってきます。
「お姉ちゃん遅くなるって。電車が事故に遭っちゃって、三つ前の駅で強制的に降ろされて、振替輸送のバスに乗るって言ってたけど、JR駅着だから一時間ほどかかるみたいだよ」
「そうか。そしたら綾に『JR駅に着いたらお父さんのケータイに連絡しなさい』ってメール送って。誠は続きを頼むよ」
「うん、分かった」
お父さんはダイニングを出て奥の寝室に向かいます、そこにお父さんとお母さんの着替えがあるんです。すると勇が不思議そうな顔をしてお風呂から上がってきました。
「今お父さん寝室に入ってったけど」
「お姉ちゃんを迎えに行くって。電車が事故って振替輸送のバスでJR駅までしか戻れないんだって」
「早朝出勤明けに二十分も歩きたくないよな……それより洗濯物、他にある?」
このところ勇はこの台詞を日課の様に言ってます。毎日のように部活動でたくさん汗をかくから、一晩おくのも嫌なんだって。水曜日には地区大会、背番号十一をもらった弟は部活動に大忙しです。
「僕のはもう入れてるよ」
と晋。僕も昼に着てたのは洗濯機に入ってます。
「僕のも洗濯機に入ってる」
「じゃあ一緒に洗っちゃうね、乾燥まで済ませちゃうよ」
うん。勇は僕たち兄弟の返事を聞いてから洗面所に行きました。
「行ってくるよ、後ヨロシクね」
いってらっしゃい。お父さんは外に出られる服に着替えてJR駅へと出掛けて行きました。晋は途中になってたアニメの録画を再び再生させて、僕はキッチンに入って夕飯の支度を再開しました。
体調悪くて声が出なくなっちゃったのもあるのかも知れないけど、今日の彼凄く素っ気なかった気がします……ほとんど目も合わせてくれなくて、手を握ってみても握り返してくれなかったんです。それが何だか寂しくて、これまでの関係に急激な変化が起こってるような気がして怖くなってしまいました。
輝君とも伽月君とも仲良くしたいと願うのは贅沢なんでしょうか?僕は輝君も伽月君も大好きなのに、どうしてこんなに寂しい気持ちになるんでしょうか?僕は小鍋に入っている砂糖水とゼラチンの液体をクルクルと混ぜながらその事で頭が一杯になっていました。ゼリーは滞りなく完成して冷蔵庫の中で冷やしていますが、どんな作業をして作り上げたのか、記憶に留まっていないんです。美味く出来てると良いのですが……。
夕飯時になるとゼリーは綺麗に固まっていました。念のためお見舞い用と家族用に分けておいたので、美味しく出来たらご自宅の方に持って行こうかな?と考えています。
今日の夕食はお父さんが担当してくれます。僕は食器を並べたり洗い物をしたりとサポート役です。それにしてもいつ見てもお父さんの手際は素晴らしく、包丁さばきも見事です。調理師資格を持ってるので高校生の僕ごとき足元にも及ばないのは当然なのですが、もっともっと上達して家みたいな家庭を作れるようになりたいなぁ……保育士の夢と共にずっと持っている夢、なんです。表向きは保育士の事しか言いませんが、それでも笑われる事があって正直何度か不本意な思いをしたものです。
「誠、マヨネーズ出して」
はい。僕は冷蔵庫に走ってマヨネーズをお父さんに手渡します。今日はエビマヨ、晋のリクエストで天麩羅から急遽変更となりました。その晋は今日も深夜アニメの録画を見ています。勇はお風呂、お母さんとお姉ちゃんはもうすぐ帰宅、とメールがありました。
するとリビングに置いてあるお父さんのケータイが震え出して、晋が録画再生を中断させて画面を覗いています。
「お父さーん、お姉ちゃんからだから僕出てもいい?」
「あぁ、頼む」
晋はお父さんのケータイを掴んで通話に出ています。
「今お父さん夕飯の支度してるんだ、お母さんはまだ……まこ兄ちゃんはお手伝い、さむ兄ちゃんはお風呂……事故?大丈夫なの?……振替輸送のバスに乗るんだね……そう伝えとく……分かった」
晋は通話を切るとお父さんのところに駆け寄ってきます。
「お姉ちゃん遅くなるって。電車が事故に遭っちゃって、三つ前の駅で強制的に降ろされて、振替輸送のバスに乗るって言ってたけど、JR駅着だから一時間ほどかかるみたいだよ」
「そうか。そしたら綾に『JR駅に着いたらお父さんのケータイに連絡しなさい』ってメール送って。誠は続きを頼むよ」
「うん、分かった」
お父さんはダイニングを出て奥の寝室に向かいます、そこにお父さんとお母さんの着替えがあるんです。すると勇が不思議そうな顔をしてお風呂から上がってきました。
「今お父さん寝室に入ってったけど」
「お姉ちゃんを迎えに行くって。電車が事故って振替輸送のバスでJR駅までしか戻れないんだって」
「早朝出勤明けに二十分も歩きたくないよな……それより洗濯物、他にある?」
このところ勇はこの台詞を日課の様に言ってます。毎日のように部活動でたくさん汗をかくから、一晩おくのも嫌なんだって。水曜日には地区大会、背番号十一をもらった弟は部活動に大忙しです。
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と晋。僕も昼に着てたのは洗濯機に入ってます。
「僕のも洗濯機に入ってる」
「じゃあ一緒に洗っちゃうね、乾燥まで済ませちゃうよ」
うん。勇は僕たち兄弟の返事を聞いてから洗面所に行きました。
「行ってくるよ、後ヨロシクね」
いってらっしゃい。お父さんは外に出られる服に着替えてJR駅へと出掛けて行きました。晋は途中になってたアニメの録画を再び再生させて、僕はキッチンに入って夕飯の支度を再開しました。
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