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やっとこさ本編
語り部ジャック 波那編 皆で息子を甘やかす
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翌朝、今日は泰地が朝食を作ってくれました。僕たちにはご飯と味噌汁に焼きナスのお浸し、伽月にはお粥。それを持って伽月の部屋に運びに行って戻ってきたところでちょっと神妙な顔付きになっています。
「何かぶり返してるみたいなんだ。さっき熱測らせたら七度八分あってさ」
「疲れさせちゃったかな?」
昨日は声が出ない以外は至って元気だったんだけど……。
「う~ん、そう思って波那ちゃんと同じくらいの時間に休ませたんだ。眠れなかった可能性はあるかも知れない」
ずっとモソモソしてたから。泰地は昨夜伽月の部屋で寝たみたいです。
「昨夜ちょっとケータイいじってて……ほどほどにしとけ、って言ったらすぐに止めてたんだけど」
「確かにアレ案外疲れるから、かと言って取り上げちゃうのも違うよね?」
「そうだね、そこまでする必要は無いか……それと二人の弁当、作ったんだ」
ホントに?実は今朝起きられなかったんだよね……自作弁当じゃないから品評会には参加出来ないけど、泰地の気配りには感謝感謝です。
「ありがとう、助かっちゃった」
「俺今日牟礼さんと取引先に行くんだ、出先の公園ででも食うよ」
星哉も嬉しそうにお弁当を見つめています。彼女も基本お弁当持参だからね。
「たまちゃんとパートナー組んで何年になる?」
あっ、補足説明をすると『たまちゃん』は牟礼さんの事ね。名前が珠希だから、今や恒例のバーベキューメンバーの間ではそう呼ばれてるんです。今年は久し振りに参加予定、楽しみ♪
「三年半くらいかな。そこらの男社員より仕事出来るし、さすが“ワンフォーオール”の派遣社員だよ、教育がしっかり行き届いてる」
たまちゃんは今や営業部唯一の派遣社員さんで、一時期流行った“派遣狩り”もどこ吹く風状態で正社員以上の働き者なんです。だから信頼度も高いし、言われなければ分からないくらいに江戸食品の中に溶け込んでます。“ワンフォーオール”の話は今必要じゃないからここでは割愛するね。僕たちは今日も泰地に留守を任せて仕事に向かいましたが、やっぱり気になる“息子”の様子……。
それは星哉も同じみたいで、お中元商戦真っ只中のこの時期には珍しく定時で帰宅してきます。
「それが出来るなら普段も早く帰ってきてよ」
なんてプチ嫉妬したりしつつも、弟可愛さに甲斐甲斐しく看病しています。
「何か欲しいもんあるか?」
「どっか不自由してる事ねぇか?」
……と“溺愛”と言うか“甘やかし”状態なので伽月は苦笑いしてるけど、それでもお兄ちゃんに構ってもらえて嬉しそうです。僕が知り合った頃にはすっかり健康体だったから風邪もほとんど引かなかったし、どこか泰地に対しては『これ以上甘えちゃいけない』って思い込んでるみたいで。泰地本音ではもっと甘えて欲しいんだよ、いくつになっても可愛い弟だからね。
「今の兄さん孫を溺愛するお爺ちゃんみたいだな」
確かにその表現が一番しっくりきます、十五歳を構いまくる三十一歳のお爺ちゃん……って事は僕もお爺ちゃん?
「俺これまで伽月に優しくしてやれなかったから……」
「そんな事無いよ、何だかんだで泰地を一番信頼してる。ただ自分のせいで泰地の将来を狭めた、とは思い込んでるみたいだけど」
「それは違うんだけどね、この機会にちゃんと話そうと思ってるんだ。これまでずっと後回しにしちゃってたから」
泰地はお母さんが亡くなられた時点で、自分自身の青春は高校迄に悔いなく謳歌する事は決めてたみたいなんです。だから勉強も部活動も真剣に取り組んで、部活動でしてたラグビーは地区予選敗退のチームを全国大会出場に貢献する活躍をしたから、本人は「やりつくした」って満足してるんです。彼の母校は今やラグビーの強豪校、一昨年遂に全国優勝したからね。
当然の様に実業団とか大学からの推薦はわんさかとあったらしいし、お父さんにはラグビーを続けるよう進言されてたそうなんだけど、部活動を引退した時にそれで上を目指す気はもう無かったんだって。で、お祖母さんのご友人が社長を務めてる今の会社で、アルバイトを経てそのまま正社員になって今に至る、と。
「仮にラグビーを続けてたとして、自分がプロの選手として活躍出来るなんて思わないよ。あの学校で、あのメンバーだったからあそこまでの成績を残せたんだと思う。それに俺の稼いだお金がアイツの成長に役立ってると思うと、仕事なんていくらでも頑張れるし良いモチベーションにもなるんだよ」
ホント泰地立派だよ、僕仕事にウエイト置いてないから凄く尊敬する。まぁ出世がどうとか元々興味無いし、今は星哉や伽月がいかに快適に暮らせる家庭を作れるかの方が重要事項だからね。そう言えば今日の夕飯は伽月のリクエストで冷やし中華作るんだった、錦糸玉子焼かなきゃ!
「何かぶり返してるみたいなんだ。さっき熱測らせたら七度八分あってさ」
「疲れさせちゃったかな?」
昨日は声が出ない以外は至って元気だったんだけど……。
「う~ん、そう思って波那ちゃんと同じくらいの時間に休ませたんだ。眠れなかった可能性はあるかも知れない」
ずっとモソモソしてたから。泰地は昨夜伽月の部屋で寝たみたいです。
「昨夜ちょっとケータイいじってて……ほどほどにしとけ、って言ったらすぐに止めてたんだけど」
「確かにアレ案外疲れるから、かと言って取り上げちゃうのも違うよね?」
「そうだね、そこまでする必要は無いか……それと二人の弁当、作ったんだ」
ホントに?実は今朝起きられなかったんだよね……自作弁当じゃないから品評会には参加出来ないけど、泰地の気配りには感謝感謝です。
「ありがとう、助かっちゃった」
「俺今日牟礼さんと取引先に行くんだ、出先の公園ででも食うよ」
星哉も嬉しそうにお弁当を見つめています。彼女も基本お弁当持参だからね。
「たまちゃんとパートナー組んで何年になる?」
あっ、補足説明をすると『たまちゃん』は牟礼さんの事ね。名前が珠希だから、今や恒例のバーベキューメンバーの間ではそう呼ばれてるんです。今年は久し振りに参加予定、楽しみ♪
「三年半くらいかな。そこらの男社員より仕事出来るし、さすが“ワンフォーオール”の派遣社員だよ、教育がしっかり行き届いてる」
たまちゃんは今や営業部唯一の派遣社員さんで、一時期流行った“派遣狩り”もどこ吹く風状態で正社員以上の働き者なんです。だから信頼度も高いし、言われなければ分からないくらいに江戸食品の中に溶け込んでます。“ワンフォーオール”の話は今必要じゃないからここでは割愛するね。僕たちは今日も泰地に留守を任せて仕事に向かいましたが、やっぱり気になる“息子”の様子……。
それは星哉も同じみたいで、お中元商戦真っ只中のこの時期には珍しく定時で帰宅してきます。
「それが出来るなら普段も早く帰ってきてよ」
なんてプチ嫉妬したりしつつも、弟可愛さに甲斐甲斐しく看病しています。
「何か欲しいもんあるか?」
「どっか不自由してる事ねぇか?」
……と“溺愛”と言うか“甘やかし”状態なので伽月は苦笑いしてるけど、それでもお兄ちゃんに構ってもらえて嬉しそうです。僕が知り合った頃にはすっかり健康体だったから風邪もほとんど引かなかったし、どこか泰地に対しては『これ以上甘えちゃいけない』って思い込んでるみたいで。泰地本音ではもっと甘えて欲しいんだよ、いくつになっても可愛い弟だからね。
「今の兄さん孫を溺愛するお爺ちゃんみたいだな」
確かにその表現が一番しっくりきます、十五歳を構いまくる三十一歳のお爺ちゃん……って事は僕もお爺ちゃん?
「俺これまで伽月に優しくしてやれなかったから……」
「そんな事無いよ、何だかんだで泰地を一番信頼してる。ただ自分のせいで泰地の将来を狭めた、とは思い込んでるみたいだけど」
「それは違うんだけどね、この機会にちゃんと話そうと思ってるんだ。これまでずっと後回しにしちゃってたから」
泰地はお母さんが亡くなられた時点で、自分自身の青春は高校迄に悔いなく謳歌する事は決めてたみたいなんです。だから勉強も部活動も真剣に取り組んで、部活動でしてたラグビーは地区予選敗退のチームを全国大会出場に貢献する活躍をしたから、本人は「やりつくした」って満足してるんです。彼の母校は今やラグビーの強豪校、一昨年遂に全国優勝したからね。
当然の様に実業団とか大学からの推薦はわんさかとあったらしいし、お父さんにはラグビーを続けるよう進言されてたそうなんだけど、部活動を引退した時にそれで上を目指す気はもう無かったんだって。で、お祖母さんのご友人が社長を務めてる今の会社で、アルバイトを経てそのまま正社員になって今に至る、と。
「仮にラグビーを続けてたとして、自分がプロの選手として活躍出来るなんて思わないよ。あの学校で、あのメンバーだったからあそこまでの成績を残せたんだと思う。それに俺の稼いだお金がアイツの成長に役立ってると思うと、仕事なんていくらでも頑張れるし良いモチベーションにもなるんだよ」
ホント泰地立派だよ、僕仕事にウエイト置いてないから凄く尊敬する。まぁ出世がどうとか元々興味無いし、今は星哉や伽月がいかに快適に暮らせる家庭を作れるかの方が重要事項だからね。そう言えば今日の夕飯は伽月のリクエストで冷やし中華作るんだった、錦糸玉子焼かなきゃ!
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