どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

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やっとこさ本編

…皆グルですか?…

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 「「……//」」
 今僕たちはミソラちゃんの策略(?)によってベッドの上で抱き合っている状態です。彼女はそれを見ると静々と部屋を出て後ろ足で器用にドアを閉めました。取り残された僕たち二人、気まずさと気恥ずかしさの中どうしたものかと思案中です。伽月君、アナタ恋愛経験あるんだからこの状況何とかしてぇ〜!
 「誠」
 ん?何か良い案浮かんだ?
 「とっ取り敢えず離れ……」
 「キスしよっか」
 「はあぁっ!?」
 なっ何言ってんの!?キスならさっきしたよね!?僕は伽月君の体を押してみましたがビクともしません。よくそんな事恥ずかし気も無く言えるよね?外国人じゃないんだからそんなしょっちゅうするものじゃありません!僕がおかしいのかもしれないけど、キスは大事なものなんですっ!!!と脳内で反発してる間にされちゃいました……//
 「んん……っ」
 キスって想像してたものより壮絶(?)だったから氷泉のはホントに嫌だったんだけど……何か猛獣に喰われる〜っ!みたいな感覚あるし、舌が入ってきてイヤらしい音もするし……でも伽月君とのキスって何と言うか頭がふわふわしてきて体の力も抜けちゃって……ヤバイ!ぼぅっとしてきました。
 もう抗うのはやめよう……そう気持ちを委ねていくとちょっと怖さもあったディープキスが段々と気持ち良くなってきました。ただそれはきっと伽月君とだからなんだろうな……僕は大きな体に身を預けて彼を真似て舌を絡めると、まるで褒めてくれるみたいに髪の毛に手を入れて優しく撫でてくれました。
 恋愛絡みの事は能動的になると心も体も満たされる……十五歳最後の今日僕が学んだ事柄でした。

 それから俺たちは五人で夕飯を食べ、さっき兄さんが誠を送りに出て行ったところだ。
 今日は濃い一日だったな……午前中こそ暇だったけど、田丸が来てなぎさも来て。あの二人俺の気持ちなんかお見通しで、その度にワタワタして半端なく疲れた。でも夜になって誠が来て、勇気振り絞って告ったら気持ち通じ合えてまさかキスまで出来るとは思わなかった……。
 体の方は全快じゃなかった分今めちゃくちゃグッタリしてるけど、気持ちの方は自分でも信じられないくらいに満たされてて、さっき熱測ったらほぼ平熱に戻ってた。こんな事今までなかった……ってここ数年風邪もまともに引かなかっただけの話ではあるが、やっぱり俺には誠が必要なんだって事を思い知った。
 そろそろ寝るか……俺はベッドに身を預けて目を閉じる、ほんの少し残っている誠の甘い匂いとミソラの獣臭を感じながら。この感じだと明日病院に行かなくて良さそうだな……そんな事を考えながらうつらうつらしてるとコンコンとノック音が聞こえてきた。
 『伽月、寝たか?』
 入るぞ。声の主である兄貴は風呂上がりなのかサパっとしててお気に入りのスウェットを着ている。推定六〜七年は着てるよな?父さんが生きてた頃……どころか俺が一桁の年齢の頃からだよな?
 「それ何年着てんだよ?新しいの買うくらいの金持ってんだろ?」
 「まぁそうなんだけどコレが一番馴染むんだよ」
 うん、確かにそういうの服に限らずあるけどさ。
 「そんな事より誤解解いときたくてさ」
 誤解?何のだ?いきなりそう言われても俺にはピンとこなかった。
 「俺が自分のやりたい事諦めて今の人生歩んでるって思ってるだろ?」
 えっ?違うのか?だって高校時代最後の全国大会で活躍したから、大学とか実業団のスカウトいっぱい来てたじゃねぇか。でも父さん死んじゃって両親共に居なくなって俺まだ小学生だったから……。
 「ラグビー続けたかったんじゃ……それに成績も良かったんだから奨学金制度利用すれば大学にだって行けてたはずなのに」
 「いや、あそこで終わらせるためにベストを尽くしたら結果が付いてきただけ。母さんが死んだ時点でそれはずっと考えてたし、仮に上を目指したところで活躍してなかったよ」
 「そんなの分かんないじゃねぇか」
 「自分の実力程度なんてすぐ分かるさ」
 兄貴はさらっと言ってのけて笑顔を見せてくる。

 『兄さんはお前さんが思ってるほど我慢はしとらんと思うぞ。変な引け目はかえって失礼だ』

 俺は画材店で出会ったおっちゃんの言葉を思い出す。小さい頃は病気がちで、それが過ぎたらデブになっていじめ回避に相撲始めて、やりたい事があったとは言え超学費の高い私立高校に入学させてくれて……なんて感激してると今度は眉をハの字にしてあのさ、と話題を変えてきた。
 「ゴメンっ!俺波那ちゃんにお前の事話した!……言い訳すると“とっくに”バレてた」
 どおりで皆このところ過保護だった訳だ……えっ!?何だって!?“とっくに”だぁ!?
 「何なんだよ“とっくに”って!?」
 「言葉のままだよ、無自覚だっただけにだだ漏れだったんだぞ。今だから言うけど何で大して好きでもない女の子と付き合ってんだ?って思ってヤキモキしてたんだ。なぎさちゃんに対しては適当交際じゃなかったから容認してたけど」
 あの子自身も良い子だしな。兄貴は空いてるスペースに布団を敷いてごろんと横になる。俺もベッドに横たわり、おやすみと言って電気を消した。
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